算数や数学問題を解くには思考力が必要?
タカタ先生:教育の現場も常に変化しているので、最近の算数には思考力が必要になる部分もあります。ですが思考力が大事とはいえ、基礎が一番大事というのは変わらないと思います。
例えば図形の問題で補助線を引かないと解けない問題があります。苦手な子は、こんなのセンスがないから無理だと言うけれど、できる人はセンスで線を引いているわけではありません。
例えば、問題で与えられている条件と最終的に求めたいゴールの情報から詰将棋をするような感覚で情報を絞ると、3通りくらいの補助線に絞れると思うんですよね。
―そうやって日頃から考える癖をつけておくと、思考力系の問題ができるようになりそうですね
最近教員仲間で話しているのは、いまの学習に必要なのは「How」から「Why」へのシフトチェンジです。
「How」とは、この問題はこうやって解きましょうという土台で、ある程度知っておかないといけないし、反復練習して条件反射で解けるようにしなくてはいけません。
今まではそれだけで良かったのですが、これからはなぜそのやり方で問題が解けるのか、与えられた条件と最終的に求めたい答えをどう繋ぐのかというように、ゴールから逆算して考える「Why」の部分が大事になってきます。
大学入試を見ると学習の変化がわかりやすく、ここ数年は問題文がとても長くなっています。でもそれをしっかり読んでいたらとても時間内には終わらないので、問題を解くのに必要な情報だけを迅速にピックアップする能力も求められています。
―そうなると、算数の問題を解くのに読解力が必要になるということですか?
タカタ先生:数学の伸び悩みの原因として、読解力がないというパターンもよくありますね。特に「How」ばっかりやってきた子の方がそこの落とし穴に落ちやすいのかなという気はしますね。
―思考力がアップするような勉強のコツはありますか?
タカタ先生:ゲーミフィケーションという言葉があるのですが、ゲームって子どもに限らず大人もはまりますが、あれはすごく上手く考えられていて人間って簡単すぎるものをやるとモチベーションが下がり、難しすぎても下がる。ちょっと頑張ればクリアできるような課題をずーっと与えられ続けると人ってハマっていくんですよね。
それにプラスして、クリアした時にすぐに承認してもらえるのもハマる条件の一つなんです。特に最近のスマホゲームなどは、人工知能機能でこの課題は難しいかなとなったらちょっとレベルを下げた問題が与えられ、クリアできたら承認されるといった仕組みになっているので、ハマる人が多いんですよね。
ですが教育はアナログなものだとそれが難しくて、親御さんができることは適切な課題を与え続けることです。ただし、これには注意が必要で子どものモチベーションは上げるのは難しくて下げるのって超簡単(笑)。基本的には親がやれっていったことはやりたくないとと思うので、環境だけ用意して子どもが自然と手に取るのを待つことが大切なのかなとは思います。
【高学年編】タカタ先生のオモシロ算数解説!
一発でできちゃう!億より大きな数字のかけ算
小学4年生になると、大きな数の計算を学びます。桁数が増えるほど計算が難しく感じますが、問題を解くときのコツはあるのでしょうか?
大きな数の計算に挑戦してみましょう。1万円札が1万枚あったら、いくらになるでしょうか?
答えは1億円ですね。
それでは、1万円札が1億枚あったらいくらになるでしょうか?
答えは1兆円です。ゼロが増えるほど計算が難しくなりますね。
では、これは一体なんでしょうか?
海外のお札ですが、ゼロがたくさんついていますね。
ジンバブエという国のドル(お金)を拡大したものなのですが、1枚のお札で100兆ドルという世界最強のお札です!
それでは、問題です。
1万円が1億枚だと1兆円ですが、100兆ドルが1億枚だと、いったい何ドルになるのでしょうか?
難しいように感じますが、ある法則を覚えればこれが簡単に解けるようになります!
大きい数の読み方を理解しよう!
大きい数のかけ算を始める前に 大きい数の読み方を理解する必要があります。
ゼロが4つずつで万(まん)、億(おく)、兆(ちょう)、京(けい)、垓(がい)となります。
続いて…
秭(じょ)、穰(じょう)、溝(こう)、澗(かん)、正(せい)、載(さい)、極(ごく)、恒河沙(ごうがしゃ)、阿僧祇(あそうぎ)、那由他(なゆた)、不可思議(ふかしぎ)、無量大数(むりょうたいすう)
と大きな数の単位はたくさんありますが、まずは、万、億、兆、京、垓の5つを覚えましょう。
つづいて指を画面の絵に合わせて、万から1本ずつ増やしてみましょう。
これができれば、大きな数の計算が簡単にできるようになるのですよ!
では問題です
億×億=?
億のときは、指が2本でしたね。
それを合わせると4本になります。4本指の数は、京ですね。ということで、答えは京になります。
この方式で答えを求めていくと…
万×万は、指が2本で億になり、万×億は、指が3本で兆です。
それでは、はじめの問題を解いてみましょう。
100兆ドルが1億枚だといったい何ドルになるのでしょうか?
兆×億は、指が5本で垓になる。1×100に単位をつけて、答えは100垓ドルになります!
簡単ですよね!? ぜひ、みなさんも指を使って大きな数のかけ算をマスターしてください。
面積を求める計算法を考えてみよう
算数の問題で答えを求めるときの計算法は、ひとつではありません。それでは、いままで学んできた計算法を取り入れて問題に挑戦してみよう!
ホワイトボードに書いた、この問題のハテナの部分を求めなさいと言われたら、みなさんはどのように解きますか?
面積の縦の長さを求めて計算してもいいのですが、整数にならないので暗算では難しそうです・・・・
その場合、このように線を引くとどうでしょうか?
このように線を引くと、横の長さが2:3になるから面積も2:3になります。
すると求める四角形の面積は、25×3=75となり、簡単に答えを求めることができます。縦の長さを求めて計算するよりも、ずっと早く答えがわかりますね。
これは、比の考え方が入っています。面積を比で捉えられれば、このような簡単な計算法で解くことができるんです!
1つの問題から、さまざまな解き方を見つけてみよう!
算数の問題には、解き方がたくさんあります。その中で、どの解き方が正解ということはなく、学習の段階に合わせて自分がやりやすい方法をみつけてみてください。計算、比、分数を数の世界だけで留めず、図形の世界や表に結び付けていくとより、算数の世界が広がっていきますよ!
タカタ先生の笑える算数で計算が楽しくなる♪
学校で教えてくれる計算法とはまた違う角度で考える、タカタ先生の授業はナゾ解きをしているみたいでおもしろい!難しいから楽しいに変われば、算数に苦手意識を持っている子も算数がきっと好きになるはずです。
記事で紹介した問題をぜひ、親子で挑戦してみてください♪大きい数の計算は、指も使うので手遊び感覚で盛り上がりますよ。
YouTubeのほか、タカタ先生のオンライン授業やイベント情報は公式ホームページで確認できます。
公式ホームページ
お話を伺ったのは・・・
1982年12月29日 広島県廿日市市生まれ
東京学芸大学 教育学部 数学科 卒業
2020年に開設した世界一楽しい授業チャンネル「スタフリ」(
2023年に開講した「タカタ先生の算数わくわく探検隊」(
著書『小学生のためのバク速!計算教室』(フォレスト出版)
低学年編・他の記事を読む
撮影/五十嵐美弥
取材・文/やまさきけいこ