「虚心坦懐」とは?
まずは『虚心坦懐』の読み方と意味を押さえておきましょう。
読み方と意味
この言葉は、『虚心坦懐』と書いて「きょしんたんかい」と読みます。「不安やわだかまりのないさっぱりとした心境」「先入観やとらわれの心を持たない素直な心」や「そういった心境で物事に取り組むさま」を意味する言葉です。
「虚心」と「坦懐」ふたつの語から成る言葉
『虚心坦懐』は、「虚心」と「坦懐」というふたつの言葉が組み合わせられた四字熟語です。
「虚心」とは先入観やわだかまりのない素直な心の状態を指し、「坦懐」もまた、わだかまりのないおおらかな心のことを指します。近い意味を持つふたつの言葉を重ねることで、わだかまりがないことを強調しています。
使い方を例文でチェック!
さっそくここからは、『虚心坦懐』の具体的な使い方をチェックしていきましょう。例文とともにご紹介いたします。
1:就活面接は緊張するが、【虚心坦懐】を心がけて臨むつもりだ。
大切な場ではついつい緊張してしまうものですが、できるだけ冷静かつおおらかな精神状態で臨みたいものです。【虚心坦懐】はこのようなシーンで「平常心」のような意味合いで使うことができます。
2:どんなクレームにも、まずしっかりと耳を傾けるあのスタッフは【虚心坦懐】な人だと言える。
『虚心坦懐』は、先入観やとらわれの心を持たない素直な心境を指します。どんな理不尽なクレーマーに対しても、先入観を持たずに、ひとまず話を聞いてみるような人は『虚心坦懐』な人と言うことができるのではないでしょうか。
3:色々な問題を扱う会議であったが、【虚心坦懐】に話し合うことができた。
少々かしこまったニュアンスのある『虚心坦懐』は、ビジネスシーンでもよく使われます。素直に腹をわって意見を交わすことができた際などに、このような表現をすることができます。
類語や言い換え表現は?
『虚心坦懐』にはどのような類語があるのでしょうか。言い換えに使用できる表現をご紹介します。
1:平常心(へいじょうしん)
「ふだんどおりの平穏な心境」を意味する『平常心』という言葉。「不安やわだかまりのないさっぱりとした心境」を指す『虚心坦懐』の言い換え表現として使うことができます。
2:虚心平気(きょしんへいき)
先入観やわだかまりのない素直な心の状態を指す「虚心」と、「平静心」を意味する「平気」の二語から成る『虚心平気』。『虚心坦懐』と同じく「穏やかで素直な心境」を言い表す代表的な類語です。
3:明鏡止水(めいきょうしすい)
「邪念がない落ち着いた心境」を、曇りのない鏡と流れの止まった水にたとえた『明鏡止水』。「わだかまりのない平穏な心境」を意味する『虚心坦懐』に近い言葉と言えますね。
対義語は?
では、『虚心坦懐』と反対の意味を言い表したいとき、どのような言葉を使うことができるのでしょうか。明確な対義語は存在しないため、ここでは『虚心坦懐』の反対に近い意味を持つ言葉を考えてみます。
疑心暗鬼(ぎしんあんき)
『疑心暗鬼』とは、「疑う気持ちがあることによって、さらに何でもないことをより深く恐ろしく思ったり、怪しく感じたりすること」を指す四字熟語です。「疑いや先入観、とらわれの心を持たない素直な心境」を意味する『虚心坦懐』とは反対の言葉といえます。
焦心苦慮(しょうしんくりょ)
『焦心苦慮』とは、「さまざまなことに思いを巡らせて、心を痛め、悩むこと」を意味します。「焦心(=思い煩うこと)」と「苦慮(=思い悩むこと)」の似た意味の2つの語を組み合わせているという語源は『虚心坦懐』と共通していますね。しかしながら、「不安やわだかまりのないさっぱりとした心境」を表す『虚心坦懐』とは反対に近い意味を持つ言葉といえます。
英語表現は?
『虚心坦懐』は英語ではどのように表現することができるのでしょうか? 最後に、『虚心坦懐』と似た意味を持つ英語表現をご紹介します。
open minded
「偏見のない」「広い心の」といった意味を持つ“open minded”。「不安やわだかまりのないさっぱりとした心境」の意味を持つ『虚心坦懐』の英語表現として使うことができます。“He is an open minded person(彼は寛大な人だ)”のように形容詞として使える言葉です。
frank
“frank”は「率直な」「偽りのない」という意味の英語の形容詞です。「先入観やとらわれの心を持たない素直な心」を指す『虚心坦懐』と似た意味を持つ英語表現と言えます。
副詞として使う場合は、“frankly”と形を変えて、“I talked frankly about the incident.(わたしはあの事件について素直に話した)”のように用いることができます。
緊張する大事なシーンでこそ『虚心坦懐』を意識しましょう
今回は、『虚心坦懐』の意味や読み方、語源、使い方までをご紹介してきました。誰もが常に心がけたい精神状態を言い表した言葉でしたね。不安を抱いたり緊張したりしてしまうような大事なシーンでこそ、『虚心坦懐』を意識したいものです。
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文・構成/羽吹理美