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シンプルだけど、工夫が詰まっている計算のためのフセン
このほど発売されたのは、一般的な正方形のふせんほどの大きさに、6×6のマス目が入っている計算用フセン”Toketa!”。ふせんの糊がついている途中には切り取り線があって、変わった仕組みになっています。
この付箋を作った、+teacher 最初のプロダクトは日本文具大賞優秀賞を受賞
+teacher初のプロダクトで国語の漢字やひらがななど文字を書くためのマス目が4つプリントされているマス目フセン”Kaketa!”は大ヒット。HugKumでもたくさんの方に記事をご覧いただきました。
こちらの商品は2023年の日本文具大賞のデザイン部門を受賞しました。
きっかけは小学校の先生からの悲痛な叫び
「いつか作らねばならないと思いつつも動き出せずにいた」。仕様を決定する難しさを想像し、動けずにいた+teacherの渡利さんの元に「これは開発しなければならない」と思わせる小学校の先生からのメッセージが届きました。
その先生は4年生を受け持っていたとのことです。掛け算や割り算のひっ算をわかりやすく教えるために「マス目をプリントし、ハサミで一つ一つカットして、位がずれないように蛍光ペンを使って縦に線を引く」それを児童のノートにノリやテープで貼っていくという作業を行なっていたのだそうです。
そこで「マス目フセンのように計算用の付箋を作ってもらいたいこと」「業務の多さもあり、手づくりに割く時間が徐々になくなって困っていた」ことが書かれていました。
その先生以外からも計算用の付箋を期待する声はあったため、プロジェクトとして動き出しました。
どんなフォーマットにすれば良いのか
渡利さんはまず、小学校6年間で学習する算数を把握するために小学校の算数の参考書を手当たり次第読みました。
また、かつて自社のサイトで商品を購入したことがあるユーザーさん(教員や保護者など)へ開発チームへのお誘いをお送りし、数十名のチームを作りました。
開発は渡利さんがアンケート形式でアイディアを出し、それに対して開発チームがフィードバックする形で実施。アンケートの返答率は100%と驚異の数字を叩き出しています。
メインに想定したのは、ひっ算の指導
メインのターゲットは小学校3〜4年生で習うひっ算の単元です。ですが、使い方はあえて限定しません。
例えば九九の計算。一桁と一桁を掛け算したときの答えは必ず1桁もしくは2桁です。かける記号とイコールを書くとピッタリ5マスまたは6マスに収まります。
「社会の勉強にも活用ができそうだ」という声もいただいた、と渡利さんは教えてくださいました。
ユーザーが使いやすいデザインとは?
渡利さんが調べた中で、お子さんがひっ算でつまづくポイントは大きくこの2つなのだそうです。
1.繰り上がり・繰り下がり
2.位取り
その中でも今回は「位取りでつまずかないことを考えた付箋」と絞り込んでデザインを行いました。
「位取り」とは1の位、10の位、100の位と……10進法で桁が一つ上がり下がりした時にどの位にあるべき数字なのかを決めることを言います。
ひっ算では列ごとに同じ位を表しますが、数字を書く位置がずれてしまうと正確な位を見失ってしまうのです。そこで、今回の計算フセン”Toketa!”では縦列は交互に背景色をあり・なしと変えることで位を意識しやすくしました。
方眼罫にも理由が
マス目を5mmの方眼罫で10mmの実線入りとしたのは、開発チームから帰ってきたアンケートの結果も関連しています。
- ・数字を綺麗に書くことを意識できる
・普段から学校で使うノートと同じだったので違和感がない(チームメンバーのお子さんの回答)
・図形が描きやすい
このような意見もあり、方眼罫としました。
紙と印刷の色味にも意味がある
マス目フセン”Kaketa!”と同じく、目で見て眩しさを感じない色合いの紙を使用。筆記の邪魔にならないように色味を決定しました。
一方で、6×6マスでは足りないこともある
様々な参考書で算数の計算を調べた渡利さんには一つ、気がかりなことがありました。それは、小数点のひっ算をした時に縦が6行では入りきらない場合があるということです。
そこで思いついたアイディアは?
1.マス目の最上段の上の線に合わせるように切り取り線を入れて切り取ることができるようにする。
2.ノリは切り取り線の下までつける
付箋そのものの特長とも大きく関わってくるのですが、付箋の紙には糊がつきにくい加工がされています。それにより1枚1枚剥がして使用することができるのです。しかしそれでは、付箋をノートなど他の紙に貼った時よりも接着強度が落ちてしまいます。
ですが、この付箋は、切り取り線の下にも糊がついており、別の付箋に繋げていくことができる仕様になっています。
この方法を使えば、縦に長くなったひっ算を書くことができます。ノートに貼った後は挟まれた状態で持ち運ぶか、貼ってある状態でノートが開かれるかです。そのため、計算用フセンとして役割は十分果たせる強度と考え、テストを繰り返したのちに、この形で結論づけました。
まだまだ「あったらいいな」はたくさんある
文中にもありましたが、「繰り上がり・繰り下がり」を学びやすくする”フセン”のほか、まだまだこんなものがあったら勉強に役に立つだろう、こんなものが欲しいという声はあるのではないでしょうか? それは教員のみならず、保護者の方々はもちろん、塾の講師や家庭教師をしている方などお子さんの学びの場所で活躍されている方すべての方が対象です。その声を受けて、+teacherは新たなプロダクトを開発していきます。
次のプロダクトはどんなものになるのか?今からワクワクしますね!
+teacherについてもっと知る>> shop.plus-teacher.com
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文・構成/ふじいなおみ