1月5日は「初水天宮」。初詣とどう違う? 参拝する場所、期待できる御利益を解説

初水天宮は、1月1〜3日に出向くことが多い「初詣」とは似て異なる行事です。初水天宮の正確な意味や期待できる御利益、参拝する日にち・場所などを紹介します。祈祷の種類や予約方法といった基本情報もチェックし、参拝に役立てましょう。
<上画像:東京都中央区日本橋蛎殻町の水天宮・本殿>

初水天宮とは?

初水天宮は、参拝の場所が決まっているのが特徴です。水天宮の歴史にも触れながら、初水天宮の意味を解説します。

1月5日に特定の水天宮を参拝すること

初水天宮とは、1月5日に東京都・福岡県どちらかの水天宮に参拝することです。

東京都にある水天宮の歴史は、江戸時代までさかのぼります。福岡県久留米市の水天宮を信仰していた久留米藩主・第9代の有馬頼徳(ありまよりのり)が、参勤交代の間、江戸でも参拝できるようにと分霊を祭ったのが始まりです。

江戸・有馬家上屋敷内の水天宮に参拝できるのは、毎月5日に限られていました。1月5日が「初水天宮」と呼ばれるようになったのは、新年を迎えてから初めて神様にあいさつする日だったためです。

東京メトロ水天宮前駅の水天宮前交差点から見える本殿

出典:祭事のご案内 | 水天宮

安産・子授けの神様が祭られている

水天宮には、次の神様が祭られています。

●天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ)
●安徳天皇(あんとくてんのう)
●建礼門院(けんれいもんいん)
●二位の尼(にいのあま)

天御中主大神は日本の神々の祖といわれており、安産・子授けにも御利益が期待できます。ある妊婦が、参拝に訪れたことを知らせる「鈴の緒」のお下がりを腹帯にしたところ、想像以上に安産だったようです。

鈴の緒には晒(さらし)が使われていたことから、水天宮では「御子守帯(みすずおび)」と呼ばれる腹帯を巻き、安産祈願をします。

安徳天皇とその母・建礼門院、祖母・二位の尼も水天宮の祭神です。わずか8歳で、壇ノ浦に身投げしたといわれる安徳天皇は、水の神・子どもの守護神として知られています。

出典:水天宮のご案内 | 水天宮
出典:戌の日について | 水天宮

より多くの御利益が期待できる「縁日」

1月5日の初水天宮は「縁日」でもあり、多くの人が参拝に訪れます。「縁日」と聞くと、出店などが並ぶ祭りを思い浮かべる人もいるかもしれません。

しかし、この場合の縁日は「有縁(うえん)の日」「結縁(けちえん)の日」の略称で、神仏の降誕や示現(じげん・神仏の力や御利益が現れること)といった、特定の日を指します。

縁日に参拝して神仏と縁を結ぶことで、より多くの御利益が期待できるといわれています。水天宮の場合は毎月5日が縁日で、初水天宮はその年で最初の縁日に当たるのです。

初水天宮の場所

初水天宮の場所は、東京都と福岡県に1カ所ずつあります。それぞれの特徴やアクセスなど、参拝に役立つ情報を確認しましょう。

東京都の水天宮

東京の水天宮があるのは、中央区日本橋蛎殻町(かきがらちょう)です。東京メトロ「水天宮前駅」からだと、歩いて約1分の場所に位置します。

境内の見どころの一つは、優しく子犬を見つめる母犬が特徴的な「子宝いぬ」の像です。犬の親子を囲むように、十二支の文字が記された球が配置されています。その十二支のうち、自分の干支をなでると安産・子授けなどの御利益が期待できるそうです。

東京日本橋の水天宮本殿と寳生辨財天(左)

さらに初水天宮を含む毎月5日には、寳生辨財天(ほうしょうべんざいてん)の扉も開きます。寳生辨財天は学業・芸能などへの御利益があるといわれているので、子どもを連れた参拝にもおすすめです。

出典:安産・子授け | 東京都中央区 | 水天宮

福岡県の水天宮

福岡県の水天宮は、JR「久留米駅」から徒歩約10分の場所にあります。安徳天皇の母・建礼門院に仕えていた按察使局(あぜちのつぼね)伊勢が、現在の筑後川(ちくごがわ)の辺りで祭ったのが始まりです。

福岡県久留米市にある水天宮は、全国にある水天宮の総本宮

境内には、合計で四つの神社があります。

●水神社
●千代松神社
●秋葉神社
●眞木神社

水の神・安産の神を祭った水神社は、左右に鎮座する「肥前狛犬(ひぜんこまいぬ)」が特徴です。「痛い部分をなでると、痛みが和らぐ」という言い伝えがあり、「なで狛犬」とも呼ばれます。千代松神社には、水天宮の創始者であり、のちに名を千代と改めた伊勢が祭られています。

出典:御祭神・由来 | 全国総本宮 水天宮
出典:全国総本宮 水天宮

初水天宮の祈祷に関するQ&A

「初水天宮で祈祷を受けたい」と、思っている人も多いのではないでしょうか?  種類や予約の必要性、持ち物など、祈祷に関する疑問をピックアップして解説します。

祈祷の種類や予約方法は?

東京都・福岡県の水天宮では、主に以下のような祈祷を受け付けています。

  • ●安産
    ●子授け
    ●厄除け
    ●七五三

東京都・福岡県いずれも、祈祷を受けるための予約は不要です。希望日の受付時間に直接水天宮へ出向き、申し込んだ順番で祈祷が進められます。

ただし祭事の予定によっては、受付時間が変更になる可能性があります。あらかじめ、公式サイトや電話で受付時間を確認しておきましょう。

出典:ご祈祷 | 水天宮
出典:御祈願案内 | 全国総本宮 水天宮

祈祷を受ける際の持ち物は?

祈祷を受けるときには、初穂料(はつほりょう)が必要です。初穂料とは、祈祷を受けたときや御札・御守を授かったときに神社に納めるお金のことです。のし袋などには入れず、そのまま神札(しんさつ)所に納めましょう。

初穂料の金額は東京都と福岡県で異なるため、公式サイトなどで確認しておくと安心です。初穂料を納めるともらえる撤下品(てっかひん・神様にお供えしたもののお下がり)には、腹帯・御守・御神酒(おみき)などが挙げられます。

なお、福岡県の水天宮では、安産祈願の際に腹帯を持参すると、一緒にお祓いしてもらうことが可能です。さらに安産祈願に限らず、祈祷後には御札・御守が与えられます。

出典:ご祈祷(御初穂料)・撤下品 | 水天宮
出典:御祈願案内 | 全国総本宮 水天宮

新年には初水天宮で御利益を授かろう

初水天宮とは、1月5日に東京都・福岡県いずれかの水天宮に参拝することです。毎月5日は水天宮の縁日とされており、初水天宮でもより多くの御利益が期待できます。

水天宮では、東京都・福岡県のいずれも予約なしで祈祷を受けられます。ただし、初水天宮は多くの参拝者でにぎわうため、祈祷を希望する場合は早い時間に出向くのがおすすめです。1月5日の初水天宮で、新年の幸福を祈願しましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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