0,1,2歳児の予防接種|接種時期やワクチン一覧、副反応について解説【小児科医監修】

0〜2歳児 予防接種の基礎知識

病気の中には、予防接種によって防げるものがあります。 集団生活を送る園で深刻な病気を流行させないためにも、 病気の種類に応じて、適切な時期に ワクチンを接種しておくことが大切です。

予防接種の種類は2種

予防接種には、「定期接種」「任意接種」の2種類があります。定期接種は、個人と集団の健康を守るために国が接種をすすめるもの。「予防接種法」という法律に基づいて行われており、保護者には、「子どもに受けさせるように努力する義務」があります。決められた期間内であれば、無料で受けることができます。
任意接種は、希望者が受けるもの。原則として費用は自己負担ですが、補助制度を設けている自治体もあります。保護者の努力義務などはありませんが、園で集団生活を送るなら、任意接種もきちんと受けておきたいものです。園でも入園時・進級時などに接種状況を確認し、必要に応じて保護者に情報提供をしていきましょう。

予防接種が必要な理由

子どもがかかりやすい病気の中には、重症化すると命にかかわったり、後遺症が残ったりするものがあります。こうした病気の対策として大切なのは、「治療」より「予防」です。そして、子どもが深刻な病気にかかるのを防ぐために最も有効なのが、ワクチンを接種(体内に入れる)することなのです。
ワクチンの効果は、ふたつあります。ひとつ目が、その病気にかかる危険性を大幅に下げること。ふたつ目が、万が一かかった場合、症状を軽くすることです。ワクチンがある病気には、人から人へうつるものがあります。本人を病気から守るのはもちろん、病気を広げないためにも積極的に接種することが大切です。

入学前に接種するワクチン一覧

予防接種を受ける際の注意

予防接種を受ける際は、当日の体温や体調などを記入した予診票を提出します。そして接種が可能かどうか、医師が最終的に判断します。ただし、予防接種の効果を十分に生かすためには、健康な体に接種するのが一番。日程の都合などもあるでしょうが、できるだけ子どもの体調がよいときを選ぶようにしましょう。また、病気にかかったあとに予防接種を受ける場合、治ってからある程度の間隔をあける必要があります。ワクチンとは別の種類のウイルスが体内にあると、ウイルス同士が影響しあって、ワクチンによる予防効果が薄れてしまうことがあるからです。

病気が治ってからワクチン接種までの間隔

麻疹:4週間以上あける
水痘:2〜4週間以上あける
風疹:2〜4週間以上あける
流行性耳下腺炎:2〜4週間以上あける
その他の病気:治ってから1~2週間あける

ワクチンの「副反応」って?

予防接種は、人の体に備わった「免疫」の働きで病気を防ぐ方法です。ワクチンは、病気の原因となるウイルスや細菌の毒性を弱めたりなくしたりしたもの。ワクチンの接種によって、体内で抗体(ウイルスなどを体の外に出す働きをするもの)をつくり出すことが狙いです。
ワクチン接種後はその病気に軽くかかった状態になったり、ワクチン成分の刺激に反応したりするため、「副反応」が現れることがあります。副反応はワクチンの種類によって異なりますが、ほとんどは一時的なもの。実際に発病したときのように重症化することはほぼありません。副反応を心配しすぎるより、接種をせずに病気にかかってしまった場合のリスクを知り、予防接種の意味と役割をきちんと理解しておきましょう。

(比べてみて!)麻疹ワクチンの副反応と麻疹を発病したときの症状

保護者の接種状況なども確認を

子どもをもつ親御さんは、自分自身のワクチン接種状況も正しく知っておく必要があります。予防接種の方法は時代によって異なるため、年齢によっては接種率が低かったり予防効果が不十分だったりすることもあるからです。また、ワクチンの接種後、その病気を発症した人と接すると免疫は強まっていきますが、その機会が少ないと、正しく接種していても予防効果が低下している可能性もあります。そのため、大人もかかりやすい病気や、大人がかかると重症化しやすい病気については、必要に応じて接種しておくとよいでしょう。
ワクチンの接種歴は、母子手帳で確認することができます。母子手帳が手元にない場合や、予防効果の低下が気になる場合は、医療機関で抗体検査(免疫があるかどうかを調べる血液検査)を受けることができます。免疫が十分にある状態でさらに接種しても問題はないので、抗体検査をせずに接種しても構いません。

大人も接種を考えたほうがよいもの

□麻疹、風疹、百日ぜき、日本脳炎→免疫が弱まっていくことがわかっているもの

□水痘、おたふくかぜ→大人がかかると重症化しやすいもの

ワクチンの接種時期(0〜2歳児)

 

スケジュールの組み立て方

0〜2歳の期間に受けておきたいワクチン(任意接種も含める)は、上の表の、日本脳炎を除く10種類です。複数回受けなければならないものも多く、子どもの体調にも左右されるため、スケジュールづくりは複雑になりがちです。
基本は、接種可能な時期を確認したうえで、その時期にかかりやすいもの、重症化しやすいものを優先すること。そして、次のワクチンを接種するまでに、生ワクチン(※3)は4週間以上、不活化ワクチン(※4)は1週間以上あけることです。
効率よく接種するためには、複数のワクチンを同じ日に接種する「同時接種」もとり入れましょう。ワクチン1種類につき1回の注射(または服用)が必要ですが、有効性に問題はなく、副反応の現れ方に影響を及ぼすこともありません。

※3 毒性を弱めたウイルスや細菌からつくられるもの。
※4 感染する能力を失わせたウイルスや細菌からつくられるもの。

予防接種のスケジュールの例

・同時期に接種するものは、同時接種も可能(生ワクチンと不活化ワクチンを同時に接種することもできる)。
・前回接種したワクチンの種類(生ワクチン、不活化ワクチン)によって、次に接種する時期を考える。

監修/澁谷紀子先生
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

出典/『0.1.2歳児の保育』 文/野口久美子

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