「ツバル」はどんな国? 温暖化で沈む島、ドメイン売却など、国の話題・特徴・有名スポットを紹介【親子で学ぶ世界地理】

ツバルは南太平洋にある国。9つの環礁・島々から構成されています。9つの島の全部の面積をあわせても26㎢しかなく、世界的に見てもとても小さな国です。地球温暖化の影響を受けて、海面上昇によって“沈む国”とも言われています。そんなツバルについて、基本情報をまとめました。

ツバルってどんな国?

太平洋の南側。ツバルは、ニュージーランドとハワイのちょうど中間あたりに位置する島国です。

ツバルは9つの島で構成されていますが、人が住んでいるのは8つの島であることから、現地の言葉で「立ち上がる」を意味する「ツ」と、「8」を意味する「バル」を組み合わせて、「立ち上がる8つの島」という言葉からツバルという名前が付けられました。

ツバルはかつてイギリスの植民地であり、現在もイギリス連邦の一員です。

ツバル基本情報

まずは、ツバルがどこにあるのか、面積、人口といった基本情報から見てみましょう。

国名

ツバル

首都

フナフティ

場所

ツバルがあるのは、南太平洋。日付変更線と赤道が交差する場所の南西にあります。ニュージーランドやフィジーの北にあたります。

南太平洋に位置するツバルの島々

日本との時差

3時間
ツバルのほうが日本より3時間進んでいます。

面積

26㎢
東京都品川区の面積が約23㎢ですから、ツバルの面積は品川区の面積とほぼ同じです。

エリア

首都フナフティがあるのはフナフティ島。そのほか、ナヌメア島、ニウタオ島、ナヌマンガ島、ヴァイツブ島、ニウラキタ島、ヌイ環礁、ヌクフェタウ環礁、ヌクラエラエ環礁で構成されています。

人口

11,204人
日本では、岩手県岩手郡岩手町、神奈川県足柄下郡箱根町など、小さな自治体の人口とほぼ同じです。

言語・公用語

英語、ツバル語

ツバル語はポリネシア系の言語で、サモア語に近いです。

通貨

ツバルドル(オーストラリアドル)
1 オーストラリアドル=100円(2024年4月8日現在)

ツバルドルはオーストラリアドルと等価で使われ、実際にはオーストラリアドルが使われています。

宗教

主にキリスト教(プロテスタント)、ほとんどの国民がツバル教会(キリスト教プロテスタント系)に属しています。

歴史

ツバルは、1568年にスペインの探検家メンダナによって発見されました。その後も次々にツバルの島々が見つけられていき、1892年にはギルバート・エリス諸島としてイギリスの保護領、1915年には植民地化されました。その後、1978年にイギリスから独立し、ツバルが誕生しました。

ツバルはイギリスの王を元首とする立憲君主制国家で、イギリス連邦に加盟しています。ツバルは平和愛好国とのみ国交をもつとの方針を示しています。

ちなみに、第二次世界大戦では日本軍がギルバート諸島を占拠しました。これに対して、米軍がツバルのフナフティ環礁やヌクフェタウ環礁などに米軍基地を建設した経緯があります。

ツバルの国旗

天気・気候

ツバルが位置するのは赤道近く。そのため熱帯雨林気候で、一年を通して高温多湿の日が続きます。とくに雨が多く、ツバルの首都フナフティの年間降水量は、東京都の年間平均降水量の約2倍近くにもなります。

ツバルの治安・住みやすさ

ツバルの治安や住みやすさはどうでしょうか?

治安は良好

ツバルの治安はとても良く、外務省「海外安全ホームページ」でも特に危険情報は発令されていません。ただし、ナイトクラブなど飲酒できる場所では、ケンカなどのトラブルが勃発しやすいため、それらに巻き込まれないように注意するといいでしょう。

住みやすさは疑問

治安がいいツバルですが、海外諸国からの支援を受けてインフラの整備などを行っている段階。また将来的に、水没の危機に見舞われるリスクがあることを考えると、住みやすい国とは言えないかもしれません。

ツバルの見どころ・観光

ツバルを訪れたら、ぜひ行きたい場所・おすすめ観光スポットをチェックしましょう。

フナフティ島の海岸 Photo by Stefan Lins – Flickr.com, Wikimedia Commons

フナフティ海洋保全地域

首都フナフティがあるフナフティ島には、フナフティ海洋保全地域があります。透き通る海と美しい砂浜はまさに楽園。シュノーケリングなどのマリンアクティビティが楽しめます。ただし海洋保全地域では、釣りなどの行為は厳禁。ウミガメを見かけても触ったりせず、遠くから見守るよう呼びかけています。

切手センター

ツバルは美しい切手があることで有名です。資源が乏しいツバルで、特産品のひとつとして切手の販売に力を入れているんです。そのため切手の種類がとても豊富で、珍しいデザインのものや記念切手などがあります。

切手センターでは、そのような切手コレクションを見てまわって、気に入ったものは購入してお土産にもできます。

離島

ツバルを訪れる旅行者のほとんどは、フナフティ島に滞在します。日本から行くには、フィジーを経由していくのが便利でしょう。フナフティ島を拠点にして、他の島々を訪れるのもおすすめ。どこに行っても、見ごたえのある美しい景色が待っています。

ツバルの特徴・有名なもの

ツバルはとても小さな国なのに、世界にその名前がよく知られています。それは、地球温温暖化の影響を受けて“沈みゆく島”のひとつと言われているから。ツバルを有名にしていることについてご紹介しましょう。

地球温暖化で“沈む島”

地球温暖化で世界の海面が上がり、世界の多くの都市が水没の危機に直面しています。そんななか、気候変動の影響を最も大きく受けて沈む島として名前が挙がるのがツバルです。

これは、ツバルに山がなく標高は高いところでも5m程しかないから。そのため、海面上昇によって水没する危機が高いと言われているのです。

世界で3番目に人口の少ない国

2021年の世界銀行のデータによると、ツバルの人口は11,204人。日本なら、町のような小さな自治体くらいの人口しかいません。これは、世界で3番目の少なさ。1位のバチカン、2位のニウエに次いで、3番目に「人口の少ない国」になります。

ちなみに、日本の人口は約1億2500万人ですから、ツバルの人口は日本のわずか0.009%ということになります。

世界で4番目に面積の小さな国

ツバルは面積の小ささでも世界トップクラス。東京都品川区と同じくらいのわずか26㎢しかなく、東京ドームの大きさで考えると、たったの5.7個分しかありません。

これは、世界で4番目の小ささ。世界で一番面積の小さな国は、バチカンで0.4㎢。2位は2㎢のモナコ、3位は21㎢のナウルです。

ツバルのドメイン「.tv」を売却

ツバルは、インターネットで国を識別するためのアドレスを売却したことで話題になりました。

日本なら「jp」というように、インターネットには国識別アドレスが割り当てられていて、ツバルは「tv」でした。しかし、これは「テレビジョン」の略になって、世界的に使われる言葉であることから、アメリカのベンチャー企業dotTVが「tv」を使う権利をツバルから買い取ったのです。

その金額は、10年間にわたり5000万ドルという巨額。ツバルはこれを資金にして、国連に加盟を果たしたほか、さまざまなインフラの整備や道路の修復などに使ったのです。

南太平洋の小さな島ツバル

世界で3番目に人口が少なく、面積でも世界で4番目に小さな国、ツバル。美しい海に囲まれた小さな楽園ですが、地球温暖化の影響を受けて将来はなくなってしまう国かもしれません。日本から離れた小さな世界の国ですが、ときにはそんな場所に目を向けてみてはいかがでしょうか。

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