北欧の人達はなぜ幸福度が高いの?「明かりで気持ちを切り替える」「子どもには暇な時間が必要」など北欧暮らし経験もつエッセイスト桒原さやかさんに訊くマインド5選

幸福度上位で知られる北欧諸国。北欧に住む人々は、なぜ厳しい環境の中でも幸福を感じられているのでしょう? 北欧流の暮らしやマインドから「これを取り入れてみたらちょっと楽になるかも」というヒントを、『北欧の日常、自分の暮らし』ほか北欧に関する書籍の著者・桒原さやかさんに伺いました。前編ではマインド面から紹介します。

北欧で見つけた暮らしのヒント5選・マインド編

はじめまして。ライター・エッセイストの桒原さやかです。スウェーデン人の夫と出会い、北欧へ行き来するようになり、ノルウェー北部の街に1年半ほど住んでいました。現在は長野県松本市で夫とふたりの子どもの4人暮らし。北欧から学んだことを、自分たちなりに日本での生活に取り入れながら暮らしています。

さやかさん・オリバーさんご夫妻と子どもたち

北欧と聞くと「幸せの国」というイメージを持っている方も多いでしょうか?
毎年国連が行っている幸福度調査では、フィンランドは6年連続首位。スウェーデンやノルウェーなど、その他の北欧の国もつねに上位を占めています。

北欧の人たちは、なぜこんなに幸福度が高いのでしょうか?

長い間その理由が私もわかりませんでした。ところが、北欧の人たちの暮らしぶりを間近で見ているうちに少しずつわかってきたのは、彼らの暮らしには「余裕がある」ということ。一日の中に自分と向き合ったり、家族と過ごしたり、趣味を楽しむ時間があるのです。これが幸せと強く繋がっていると感じました。もちろん、北欧の福祉や子育てしやすい環境が整っているおかげもありますが、どうやら、それだけじゃないようなのです。

北欧から学んだ暮らしのヒントを、日本での生活にどのように取り入れているのかについて、今回は書かせてもらうことになりました。前編では「北欧ママパパたちの子育ての考え方や、気持ちの切り替え方」についてお話ししたいと思います。

>>後編「北欧ママパパはどうやって時間を作っている?」はこちら!

北欧マインドのヒント① 明かりは気持ちの切り替えスイッチ

さやかさんのおうちでも間接照明を活用

北欧の家では柔らかい明かりのライトをいくつも灯し、家の中をやわらかく照らします。仕事が終わった後、やさしい明かりの部屋に帰ると、心もホッとするのです。北欧の人たちにとって、明かりは気持ちの切り替えスイッチのようです。

曇りの朝はキャンドルを灯す

子どもたちにも、親が一緒に炎の上に手をかざし「熱いね。だからさわっちゃダメだよ」と小さい頃から教えているそう

雨や曇りの日の朝は、気持ちがちょっと鬱々とします。そんな時は食卓の真ん中にキャンドルを置いて、朝食を食べるようになりました。ゆらゆら揺れる炎を見ていると、気持ちもふっと和みます。

北欧マインドのヒント② 食事はおしゃべりの時間

食事の時間にテレビがついているのを、北欧の家庭ではあまり見かけません。食事の時間は「家族の時間」と捉えている人が多いよう。毎日の出来事をお互いによく話しているせいか、北欧のひとたちは家族のことをよく知っているように感じます。

テレビは隠せるプロジェクターに

テレビを見たいときだけスクリーンを下ろして視聴

我が家でも家族で話す時間を大切にしたかったので、テレビではなく、プロジェクターを設置してみました。見ていない時はスクリーンをしまえるので、テレビに意識があまりいかないようで、テレビを見る時間がグンと減りました。

少しずつでも家族と向き合って話す時間を

北欧マインドのヒント③ 子どもには暇な時間が必要

子どもたちがつまらなさそうにしていると、何か楽しませてあげなくちゃと小さなプレッシャーを感じていました。ところが、北欧では「子どもたちには暇な時間が必要」と考えられていることを知りました。むしろ、自分の気持ちと向き合えて、子どもたちの心を育ててくれる時間と捉えられているようです。今では子どもが暇そうにしていても、「これは必要な時間」と思うようになり、気持ちもラクになりました。

親が「あれする?これで遊ぶ?」と一生懸命付き合わなくても、暇な子どもたちはそのうち遊びを発明

北欧マインドのヒント④ 自然の中で体を動かす

北欧では都心部でも近くに森や公園があり、多くの人が日常的に散歩に出かけます。家族で散歩している人もいますし、仕事終わりに30分ひとりで歩いている人も。自然の中で体を動かすことが、何よりもいいリフレッシュになると考えているようです。

週に一度、公園に行く

近所をハイキング

週に一度、近くの公園に家族で出かけるようになりました。子どもたちも公園で思いっきり走れまわれますし、自然を近くに感じるだけで気持ちいいです。

北欧マインドのヒント⑤ 自分の時間も楽しむ

ささっと作れる簡単な夕飯を済ませて、そのあとは、本を読んだり、編み物をしたり。北欧では子育て中の多くのママパパたちも趣味の時間を楽しんでいます。家族の時間も大切だけれど、それと同じくらい、自分の時間も大切にしていると感じます。

一日10分の自分時間

夜は上の明かりを灯して

北欧ではひとり時間を楽しむために必要なセットが決まっています。それは、ひとり掛けチェア、ライト、ラグ、コーヒーテーブルの4点。一日10分だけでもここに座って好きな音楽を聞いたり、本を読む時間があると、ちょっと元気になります。

気持ちの切り替えを上手に。そのメリハリが、小さな余裕を生み出してくれる

北欧に住む人たちを見ていつも感じるのは、気持ちの切り替えがとても上手だということ。仕事から帰ってくると、スイッチを切り替えたようにリラックスモードになり、日常の中でも自然と触れ合ったり趣味を楽しんだりして気分転換しているのです。このメリハリが気持ちに小さな余裕を作ってくれていると感じます。

後編では北欧のママパパたちが働きながらどうやって時間を作っているのかについてお話したいと思います!

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北欧で見つけた暮らしのヒント5選・時間編 ライター・エッセイストの桒原さやかです。北欧から学んだ暮らしのヒントを、日本での生活にどのように...

プロフィール

桒原さやか|ライター・エッセイスト

イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。

Instagram @kuwabarasayaka
note 桒原さやか(くわばらさやか)/スウェーデン人夫と子育て奮闘中。

 文・構成/桒原さやか 撮影/五十嵐美弥 

 

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