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中学一年生のスーパー・ジュニア・アーティスト Conocaさんの特別展が富山県の朝日町立ふるさと美術館で開催
富山県の朝日町立ふるさと美術館では、特別展『千葉心花(Conoca)個展 【C.C summer 2024】』を開催しています。
この個展の作者Conocaさんは、独自の技法「つぶつぶアート」を確立したスーパー・ジュニア・アーティストと評される中学一年生。
子どもにとっては、同世代のアーティストが描いたアート作品を、美術館の展示作品として楽しめるユニークな機会です。
普段、アートに興味を示さない子どもにも、年齢的な近さと親近感が、もしかすると取っ掛かりになるかもしれません。
一方で、今回の特別展を企画した同館学芸員の島瑞穂さんは、子育て中の親御さんにもぜひ鑑賞してほしいと語ります。
その言葉の背景には一体、どういった狙いが込められているのでしょうか。
どんな子にも才能は眠っていると気付かせてくれる
朝日町立ふるさと美術館の特別展『千葉心花(Conoca)個展 【C.C summer 2024】』では、今回の個展のために描き下ろしたConocaさんの最新の作品が惜しみなく展示されています。
加えて、彼女の幼い頃の「お絵描き」が、作風を成長・発展させ徐々に「作品」になっていく過程の作品群も、大きな展示空間を存分に生かして展示されています。
親御さんにも見てほしいと学芸員の島さんが語る理由は、この一連の作品群が、子どもに眠っている才能をいかに引き出すかのヒントになるから。
さらに、きっかけさえ与えれば子どもの才能は、大人の想像を超えるスピードで一気に花開くと知る糸口にもなってくれるからなのですね。
もちろん、学芸員の島さんは、Conocaさんに備わる特殊な絵画の才能を否定しているわけではありません。
「余白の取り方、構成、色のセンス、写実(デッサン)などには、ナチュラルに持ったもの、素晴らしい才能があると思います。
賢いなと思いますし、受け手の感情を読む客観的な視点も秀でていると思います」
しかし同時に、彼女の作品について「特殊能力で描かれたものでは決してないと思います」とも語ります。
彼女の作風が変化していく後ろ側には、お母さんのサポートと受容の姿勢があったと考えられるのだとか。
もちろん、Conocaさんのような才能はどんな子にもあり、その才能をおおらかに認め、引き出してあげる親の姿勢があれば、年齢に関係なく才能は一気に開花する可能性があります。
独自の技法「つぶつぶアート」を確立する前の彼女の初期作品を含めた展示内容から、そんな気付きを親御さんに持って帰ってもらいたいと学芸員の島さんは語っていました。
現に、今回の展示に、小学4年生と2年生の子どもを取材に同行させた筆者も「すごーい」と純粋に絵画を楽しんでいる娘たちの様子を見ながら、わが子の中に眠っている(はずの)さまざまな才能を手放しに肯定したい気持ちになりました。
それくらい、Conocaさんの作品には心を動かす何かがあり、同時に、子育て中の親のサポートがどれだけ大切なのかを学べる展示内容になっているのですね。
子どもの「好き」をサポートする親の心構えにも注目
では、具体的に、Conocaさんは、どのような周囲の導きによって豊かな才能を早々に開花させたのでしょうか。
「子どもの関心を尊重し、どんどん紙と色鉛筆を与え、スイッチを入れるきっかけ(公募展への出品など)まで与えて、わが子の素質を引き出したお母さんの育て方が、今の作品群をつくらせたとも言えます。
だからといって、子どもを追い込んでいるわけでもなく、なんというか、とことんおおらかなのですよね。
『それでいい』という振り切った受容の姿勢があり、結果として、多様性が尊重されているような。
それこそ、作品を預かりにご自宅までお邪魔した時にも、ご自宅で飼っている小型犬が2匹、作品の側を横切ることがありました。
学芸員の立場から『あー!』と叫んでしまったのですが、お母さまも彼女も『いいの、いいの』とおおらかに笑っていました」(島さん)
親が描かせたいから無理に描かせているわけではない、子どもが好きだから親としてサポートしてきたお母さんのスタンスが、よく分かるエピソードではないでしょうか。
「年齢の近い子どもたちは、子ども同士だからこそ、彼女が楽しんで描いていると直感で分かると思います。
楽しんで描いている様子が伝われば『好きな何かを続けていけば彼女のようになれるかも』と感じてくれる可能性もあります。
そうなれば、今以上に社会は多様性に満ちていくと思います」(島さん)
Conocaさんの作品を通じて、自分の「好き」な気持ちをとことん追求し、他の子どもたちにも多様性に満ちた人生を切り開いてもらいたい。
その一方で、「好き」を突き詰める子どもを受容して、才能をいかんなく発揮させるような親が増えてほしい。
そんな願いが、特別展の裏側には込められているのですね。
「つぶつぶアート」をおいしく体験できる特別メニューも
美術館内の喫茶室『スープとスイーツ 七星』では『つぶつぶアートのストロベリースムージーラテ』も楽しめます。
千葉心花(conoca)さんの現在の作風である「つぶつぶアート」をおいしく体験できる特別メニュー。注文数には限りがありますので、美術館に到着した段階で喫茶室に顔を出し「食べたい」と事前に伝えておくと安心みたいですよ。
特別展『千葉心花(Conoca)個展 【C.C summer 2024】』開催概要
今回紹介した、特別展『千葉心花(Conoca)個展 【C.C summer 2024】』は9月29日(日)まで開催中。
■開催期間:2024年7月26日(金)~9月29日(日)まで
■開館時間:午前9時半~午後4時半(入館は午後4時まで)
■休館日:火曜日
■観覧料:大人600円、小中高生200円(20名以上の団体は2割引)
■開催場所:朝日町立ふるさと美術館(〒939-0724 富山県下新川郡朝日町横水300)
夏の終わりに、親子で足を運んでみてはいかがでしょうか。
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プロフィール
2011年東京生まれ。6歳の時に幼稚園で描いた絵が『世界児童画展』にて佳作に選ばれる。7歳のころからインスタにて作品を投稿。都内中心に名古屋・関西にてフェスやグループ展に参加。9歳のころに現在のスタイル『つぶつぶアート』を確立。
Conocaちゃんの【公式】サイトはこちら>>
取材・写真・文/坂本正敬