国内興行収入250.3億円のメガヒット作『君の名は。』(16)で社会現象を巻き起こした新海誠監督の最新作『天気の子』が、7月19日(日)より公開されます。夏休みのファミリー映画としても実にホットな本作の製作報告会見が、7月2日に都内で開催され、新海誠監督、声優を務める醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、音楽を手掛けるRADWIMPS、川村元気プロデューサーが登壇し、アフレコや音楽、制作の進捗を語ってくれました。
本作は、天候の調和が狂っていく時代に出会った少年と少女が、運命に翻弄されながらも、自らの生き方を選択していくという美しくも切ない物語。主人公・帆高役の醍醐虎汰朗、ヒロイン・陽菜役の森七菜というフレッシュな2人は、2000人を超えるオーディションの中から選ばれました。また、脇にも、小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、平泉成、梶裕貴など、豪華キャスト陣が集結しました。
2000人から新人2人が大抜擢された理由とは?
冒頭で、新海監督のこれまでの作品群と『天気の子』がフィーチャーしたオリジナル映像が流されたあと、会見がスタート。新海監督は、「エンターテインメント大作として絶対に面白い映画、損をさせない映画になっています」と頼もしい宣言をしてくれました。
また、醍醐くんや森さんのキャスティングについては「すごくいい声で、応援したくなるような少年少女だと思っていただけたんじゃないかと。2000人の方の声を聴きましたが、おふたりは『私を見て!』と手を挙げているような声でした。この2人が、この作品のために、この場所に、このタイミングでいてくれたと、日々確信しています」と確かな手応えを口にします。
醍醐くんは「自分自身、できあがったものをまだ観てないので、自分に対する評価はわからないのですが、新海さんに褒めていただけるのは幸せだと思います」と恐縮すると、森さんも「うれしいです。深海さんは、アフレコの演出をつけてくださる時も、やさしい言葉で言ってくださいます」と感謝していました。
アフレコのお手本は新海監督本人!
ちなみに、まだ映画が未完成ということで、Vコンテ映像で、新海監督が見本として各キャラクターの声を入れたものを観て、声優陣はアフレコに臨んだようです。醍醐くんは「何回も観たんですが、毎回泣いてしまって。監督がお上手なので、それを超えないとと思い、ものすごくプレッシャーを感じました」と心の内を吐露します。
「感情の起伏がすごく激しくて、泣いたり笑ったりする映画ですが、観終わったあと、愛について深く考えました。帆高と陽菜の恋愛物語ではあるんですが、ふたりがいろいろと行動し、観終わったあと、家族や友人など、身近な人をもっと大切にして生きよう思ったので、本当に素敵な映画になっていると思います」と、真っ直ぐな目で語った醍醐くん。
森さんも「私も、新海さんの陽菜を超えていきたいと思ったので、何回も聞きましたし、観ました。言葉にできないことも伝えていただいたので、それがそのまま受け継がれていたらいいなと思っていますし、また、私の個性も出ていればいいなと。改めて客観的に観てみると、本当に壮大な物語で、陽菜と帆高が選んだ選択を観た今、私たちならどうしようかと、考えさせてくれる映画になっていると思います」と溢れる思いを吐露しました。
本田翼のアフレコについて、新海監督は「翼さんのキャラクターが一番遠いところへ行ったと思いました。僕が予想しないアクセントや言い方ばかりだったので、びっくりしてます」と言うと、野田さんが「今の、褒めてます?」と笑いながらツッコミます。
新海監督は「もちろん褒めてます。すごく素敵でした」とキッパリ言うと、本田さんも「新海さんに挨拶をした時、『最初に聞いた声の感じがすごく好きでした』と言っていただいてので、自分の自然体である部分、素の部分を大事にやりました」とコメント。監督が「すっぴんで来てましたね」と笑うと、本田も「できるだけ素の自分に近い状態でやりたかったので」と苦笑い。また、本田はアフレコ時、裸足で臨んだことも明かされた。
『君の名は。』に続いてRADWIMPSと最強タッグ
『君の名は。』に続いて新海監督とタッグを組んだRADWIMPSは、劇中の音楽すべてを手掛けました。野田さんは、最初に脚本を読んだ時「やっぱり新海さんらしい」と喜びを感じたとか。「意外性も感じたというか、『君の名は。』の次だから、もっとわかりやすくマスに向けたものを描かれるのかなと思ったけど、すごく攻めていて、賛否を巻きおこすだろうなと。新海さんは、自分のやりたいものに向かって正直だなと思って、すごくうれしかったです。だったら僕も、この作品で僕が出せるものすべてを出そうと思いました」。
また、会見では新海監督が、人とコラボレーションをすることの面白さや奥深さについて「悪い言い方をすると、“諦めていくこと”でもあります」と発言されましたが、そこには深い意味がありました。
「それは、人が自分とは違うと知り、他の人が自分よりも良いものを出してもらうことに納得していく過程でもあります。自分のなかでは、V コンテがピーク(一番の理想)で、声の出し方もそうで、人とやっていくと『ちょっと違うな』ということが多分にあります。でも、一歩下がって考えてみると、この人たちがこれだけ考えてくれたものの方が、自分1人で考えたものよりも断然光っていると思うんです。そういう意味での諦めていくことなんです。今回、すごくキラキラしたものが集まったと思います」。
会見で聞いた各自の熱い思いを聞いて、ますます公開が楽しみになった『天気の子』。新海作品は、他の方々も口にされているように実に「壮大」で、ものの質感や光の粒子に至るまで、繊細に描かれた映像美が秀逸なので、ぜひ、ご家族みんなで劇場で観て、感動を分かち合ってください。
原作・脚本・監督:新海誠
企画・プロデュース:川村元気
声の出演:醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬…ほか
音楽:RADWIMPS
公式HP:https://tenkinoko.com/
文/山崎伸子