目次
①優しい光と音で未就学児〜小学生におすすめ「ノモの国」

まず、はじめにご紹介するのは、未就学児のお子さんから大人まで幅広い年齢層におすすめなパナソニックグループパビリオン「ノモの国」です。
「ノモの国」はやさしい光や音と手で触れる感覚を大切にしているので、小さなお子さんと一緒に安心して楽しめるパビリオン。また、α世代の子どもたちの「気づく」体験を重視しているとのことで、ぜひ、お子さんと体験してもらいたいです。
結晶(デバイス)を使って楽しむ「ノモの国」

「ノモの国」では光・音・振動など立体音響や360°の映像に包まれながらの未知の知覚体験や、巨大なミストスクリーンに映し出される映像、さらには結晶(デバイス)を手にする冒険などから、まだ自分でも気づいていない可能性に気づく体験ができます。
グループごとに4つのゾーンをめぐる「Unlock体験エリア」と、自由観覧の展示エリア「大地」があります。
ノモの国を体験する「ZONE1〜3」

「ZONE1:カガミイケの奥深く」で「ノモの国」に迷い込みます。そして次の「ZONE2:ノモの森」で「結晶デバイス」を岩や木を表現した展示物にかざし、音や光の反応を楽しみます。こちらは、デバイスをかざすだけというシンプルな体験なので、小さなお子さんはもちろん、大人も童心に帰って楽しめます。
その後、ミストが体験できる「ZONE3:古木の谷・滝」、最後の「ZONE4:大空」へと進んでいきます。
ノモの国を体験する「ZONE4:大空」

最後の「ZONE4:大空」は、21台の高輝度プロジェクターによって360°の空間に映像が映し出されます。音と映像が立体的に連動するダイナミックなイマーシブシアターです。
体験者が結晶デバイスを指定の場所にかざすと床面に蝶が生まれ、「葉っぱ=うちわのようなデバイス」をもって風を起こすと、さまざまな音を奏でながら大空へ羽ばたきます。参加者全員の蝶が羽ばたいていく様子は、光と音で奏でる幻想的な空間を生み出し、圧倒的な体験でした。
エピローグ
体験終了後、結晶デバイスを指定の場所へ返却すると、体験結果が反映された一人ひとりの「Unlockカード」が出てきます。カードに記載されたQRコードにアクセスすると「ノモの国」での体験を振り返ることができます。
あのヘラルボニーのアーティストの作品も!

野外には、障がいのある作家が描くアート作品を手がける株式会社ヘラルボニーとのコラボ作品もありました。輪島 楓さんによる「かえでのチョキチョキ」を「発電するガラス」のガラス型ペロブスカイト太陽電池で表現する作品が設置されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
>>>パナソニックグループの「ノモの国」についてはこちら
②高学年以上のお子さんにはぜひ体験してもらいたい「いのちの未来」

大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、「いのち」がテーマでもあります。そのため「いのち」という名前が付いたシグネチャーパビリオンがいくつかあって、特に注目したいパビリオンです。
ただ、テーマが「命」や「死」を扱うものなので、どのパビリオンがどの年齢に合うか気になりますよね。「いのちの未来」「いのちめぐる冒険」「いのち動的平衡館」を体験してきましたので、比較して紹介します!
アンドロイドやロボットが30体!「いのちの未来」

まずは、アンドロイドで注目の「いのちの未来」からご紹介します。「いのちの未来」は、3つのゾーンで構成。先端技術を駆使した約50体のアンドロイド・ロボット・CGキャラクター等のアバターが来館者を出迎え、展示空間には約30体が出演しています。
ツアー形式でグループに分かれ、スマホ型のイヤホンデバイスを装着して館内をまわります。
導入部となる「ゾーン1」の「いのちの歩み」では、太古の土偶から江戸時代の文楽の人形、そして現代のアンドロイドに至るまで、日本人が「モノ」にいのちを宿してきた歴史が展示されています。
アンドロイドと暮らす50年後の未来

続く「ゾーン2」の「50年後の未来」で展開されるのは、高度な技術を用いたさまざまなプロダクトを活用しながら暮らし、人間がアンドロイドと共存する50年後の未来です。

電車の座席でアンドロイドの少年と相席するなど、まるで物語の世界に入ったように未来を体験できます。また、話題のマツコ・デラックスさんをモチーフとした「マツコロイド」のトークの演出も!
1000年後はどうなっている?

最後の「ゾーン3」の「1000年後のいのち “まほろば” 」では、1000年後の世界をイメージした音と光に包まれた幻想的な空間の中で、科学技術と融合し、「からだ」の制約から解き放たれた1000年後の人間と出会うことができます。
ふさわしい年齢は?

アンドロイドなどの興味深いテーマを、子どもにもぜひ見せてあげたいと思う方も多いと思います。
あくまでも個人的な感想ですが、小さなお子さんには、身内の死などの問題に向き合うには少し早いと感じたので、生死の概念を考えはじめ、命と向き合う心の準備ができる中~高学年以上におすすめしたいと感じました。
逆に、これからAIの時代を生きていかなくてはならない、10代のお子さんと一緒にしっかり見て、じっくり考えてもらいたいトピックとも強く感じました。
これまで、曖昧なSF映画の世界でしかなかったアンドロイドという存在を、一気に現実的に捉えることができた素晴らしい体験でした。高学年以上のお子さんのいるご家庭ではぜひ、優先して予約を取ってほしいパビリオンのひとつです。
>>>「いのちの未来」についてはこちら
③中学生以上におすすめ! 没入感が半端ない「いのちめぐる冒険」

次に紹介する「いのちめぐる冒険」は、生物多様性をテーマとし、「いのちのダイナミズム」を最新のテクノロジーを用い、体験していくパビリオンです。
映像を体験する「超時空シアター」と「ANIMA!」、そして実物の展示の「リアルティ展示」の3つに分かれており、「リアルティ展示」のみ予約なしで入ることができます。
「超時空シアター」と「ANIMA!」は別々に予約を取る必要がありますが、今回、どちらも体験できたので、比べながらご紹介しますね。
「超時空シアター」
超時空シアターでは、30人がカメラ付きVRゴーグルを装着し、VRとMRを行き来しながら宇宙スケールの食物連鎖を同時体験するイマーシブ展示です。(体験は13歳以上から)
「超時空シアター『499秒 わたしの合体』」は「マクロス」シリーズなどSF作品を生み出してきたアニメーション監督、河森正治さんと音楽プロデューサーの菅野よう子さんとの奇跡のコラボ作品です。
ともかく、没入感が半端なく、世界でここだけしかできない体験で、万博ならではの演出に感動しました。
「ANIMA!」
紗幕に映し出されるイマージブ映像と、菅野よう子氏が創り出す音の世界、そしてインタラクティブな振動と立体音響によって、参加者が全身で体験する没入型空間です。
複数の紗幕によって光や影が重なり、奥行きと立体感を演出。また、会場内の鏡によって視覚的な錯覚を生み出し、不思議な高揚感に包まれます。
こちらもこれまでにない素晴らしい体験ができますが、館内は真っ暗に暗転することもあり、床の振動も激しいです。暗闇を怖がったり、一人で立てなかったりする年齢のお子さんにはおすすめできません。小学生以上を推奨します。
ひとつだけしか予約が取れないならどちらがいい?
「超時空シアター」は13歳以上からなので、中学生以上のお子さんのいるファミリーでしたら、せっかくなので、まずは「超時空シアター」を優先するのはどうでしょうか。
13歳以下のご家族には「ANIMA!」も楽しめますし、予約不要のリアリティ展示は夏休みの自由研究や社会科見学にピッタリな内容なので、 年齢に関わらず、ぜひファミリーで訪れてもらいたいパビリオンです。
>>>「いのちめぐる冒険」についてはこちら
④全ての人におすすめ! 派手な演出はないけれど考えさせられる「いのち動的平衡館」

最後にご紹介するのが、こちら生物学者・福岡伸一氏がプロデュースの「いのち動的平衡館」。事前のリサーチでもあまり情報がなく、映像や体験も派手な演出がなく、目玉のシグニチャーパビリオンのひとつでありながら、ひっそりたたずむという印象でした。
「動的平衡」とは、細胞が分解と合成を繰り返し、バランスを保つことで生命を維持するという意味で、「いのちを知る」がテーマです。「死」についても考えることで、有限だからこそ輝く生命を表現しているそう。
圧巻の約32万個の発光ダイオードを使用した「クラスラ」の演出

展示の目玉は、約32万個の発光ダイオード(LED)を立体的に配した「クラスラ」です。点滅が生み出す光のショーで、絶えずうつろいゆく光の粒子たちが、利己ではなく利他によって紡がれてきた38億年の生命のドラマを描きます。
大きな細胞が小さな細胞を取り込み、徐々に複雑な生命へと進化する過程は壮大な絵巻物のよう。二人の子どもがいる筆者も、この絵巻物の過程を胎児を宿すという形で体感したことを思い出し、特に感慨深かったです。生命を宿すことができる女性には特に響くものがあると感じました。
また、難しいことは抜きにして、動物や鯨などの生き物モチーフもからむので、小さなお子さんも一緒に楽しめると思います。
子どもには難しい?

静かに鑑賞し、考えさせられる作品です。年齢制限はなく、どの年齢でもきっと響くものはあると思います。
テーマパークのようなわかりやすい演出や派手なアトラクションを想像していくと、期待はずれになる恐れが。静かな展示で心を落ち着かせて鑑賞する哲学的な作品であるということをあらかじめ意識していけば、より展示に没入できると思います。
他のパビリオンと比べて考えるきっかけに
命は死があることで次の命を生む。AIという無限に増殖する思考がこの世を凌駕するとき、動的平衡が作用しない世界はどうなるでしょう。独裁者のような人物がアンドロイドとして復活し、永遠に残るとしたら…。他の「いのち」のパビリオンと比べて、さまざまなことを考えるきっかけにもなるでしょう。
哲学的で難しいかもしれませんが、そういう世界観があるということを知ることも良い体験なので、ぜひ年齢に関わらず、訪れてみてはいかがでしょう。
>>>「いのち動的平衡館」についてはこちら
子連れにおすすめ! パビリオンの年齢別まとめ

未就学児のお子さんには、「ノモの国」と「いのちの遊び場 クラゲ館」がおすすめ。そして、関西パビリオンも、恐竜発掘や砂丘体験など小さなお子さんから大人まで家族で楽しめますよ。
「住友館」は、ランタンを持って森を探検するというコンセプト的には小さなお子さんにも楽しそうなのですが、館内は暗いので、小学生以上が安心。ガスパビリオンはゴーグルの年齢制限がありますし、「電力館」や「EARTH MART」も、内容を理解するには小学生以上が向いていると感じました。
「いのち」シリーズは基本的には「生と死」に関するものなので、できれば高学年以上がいいでしょう。「いのち動的平衡館」は暗い空間が大丈夫であれば、内容的にはどの年齢でもおすすめできます。
海外パビリオンでは、ダントツにクウェート館がイチオシです。コモンズもスタンプ集めが楽しいです。
- 未就学児:クラゲ館、ノモの国、関西パビリオン、ORA外食パビリオン
- 低学年:ガスパビリオン、電力館、住友館、EARTH MART、大阪ヘルスケア、パソナ
- 高学年以上:ガンダム、いのちシリーズ、飯田グループ×大阪公立大学共同館、ブルーオーシャン
- 海外パビリオン:クウェート、ドイツ、オランダ、オーストラリア、カナダ、シンガポール、コモンズ
- その他の施設:遊んでい館?(室内遊び場)、光の広場(野外公園)
夏の万博はどう? 暑さ対策はどうする?! 優先チケット入場情報も!

関東からの取材は7回、訪れたパビリオンは50以上の万博オタクライターが今回、体を張って夏の万博を体験してきました。暑さが厳しく、小さなお子さんがいる場合は、暑さの落ち着いた時期がいいかと思います。
とはいえ、10月には万博は終わってしまうし、どうしても夏休み中にしか行けないという方は、暑さ対策を万全にしていけば、楽しむこともできます。夏の万博の対策についてもご紹介しますので参考にしてくださいね。
帽子、日傘、飲み物など暑さ対策アイテムは必須
帽子や日傘、飲み物、塩分入りキャンディーなど暑さ対策アイテムは必須です。半袖よりも通気性のよい長袖、長ズボンがおすすめ。キンキンに凍らせたペットボトルや冷却タオルも暑さが和らぎます。
持参した飲み物がなくなっても、ドリンクの自動販売機の他、給水所やマイボトル洗浄機があるので活用してくださいね。
日傘の貸し出しサービスもある!
入場待ち時間に、日傘の貸し出しをしているパビリオンもあります。特にNTTパビリオンの「untule(アントゥーレ)」は、UVカットに加え、傘下の体感温度を最大ー19℃下げることができるそう! 遮熱効果をぜひ、体感してみてください。
冷却アイテムを忘れたら自動販売機もある!
石のパーゴラでおなじみの休憩所2で、万博公式グッズのネッククーラー自動販売機が稼働中です! 帰ってからも使えますし、万博のお土産にもなり一石二鳥ですよ。
クールスポットやミストスポットを利用して!
万博にはクールスポットやミストが点在しているので、暑さで疲れを感じたらすぐに休んでください。万博協会のHPでは暑さ対策のアドバイスやクールスポットの場所を紹介しているので参考にしてくださいね。
>>>大阪・関西万博の暑さ対策についてはこちら
西ゲートからの優先入場も利用して
なんと! 船で行けば、西ゲートからの優先入場も可能です。しかも、西ゲート入場予約を10時から12時台まで、1時間前の時間帯に優先入場可能となります。特に、小さなお子さん連れの家族には、炎天下の中の入場の待ち時間は大変。ぜひ、こちらの入場方法もご検討ください。
>>>西ゲート旅客船利用者優先レーンについてはこちら
「コモンズ」の体験レポートはこちら!
「日本館」「大阪ヘルスケアパビリオン」の体験レポートはこちら!
立体の「iPS心臓」や「ガンダム」などの話題の民間パビリオンはこちら!
シンガポール、オーストラリア、サウジアラビアなどの気になる海外パビリオンはこちら!
文・構成/Rina Ota



