送り仮名のルール
漢字そのものは正しく書けても、送り仮名を間違えて覚えてしまうこともあります。例えば「表す」と「表わす」、「省る」と「省みる」、「確める」と「確かめる」は、どちらの送り仮名が正しいかわかるでしょうか?
ここでは送り仮名を正しく書けるよう、国語表記の基準となっている「内閣告示・内閣訓令」のうち「送り仮名の付け方」を元に、基本となるルールをチェックしましょう。
動詞・形容詞・形容動詞は活用語尾を送り仮名にする
動詞・形容詞・形容動詞は、文章の中でどのように用いるかによって単語の形が変わります。この変化が活用です。
例えば「話す」は「話さない」「話します」「話せ」と活用します。このように活用する動詞・形容詞・形容動詞は、活用しても形が変わらない語幹の部分を漢字で、活用したときに形が変わる活用語尾を送り仮名にしてひらがなで書くのが基本のルールです。
ただし例外として、語幹が「し」で終わる「正しい」「楽しい」などの形容詞は「し」から送り仮名にします。
また形容動詞の中には、「静かだ」「健やかだ」「明らかだ」などのように、「か」「やか」「らか」が語幹に付く語があります。これらの場合「か」「やか」「らか」から送り仮名にします。
他に以下の語も例外として、送り仮名は記載してある通りに付けます。
●味わう
●食らう
●明るい
●大きい
●冷たい など
名詞は送り仮名を付けないのが基本
「花」「空」「土」など名詞には送り仮名をつけません。
ただし「自ら」「幸い」「全て」などは最後の音節を送り仮名にします。音節とは母音一つか、子音+母音の組み合わせで、ひらがな1字のことです。
例えば「自ら」は「み」「ず」「か」「ら」の四つの音節で構成されています。最後の音節は「ら」のため、「ら」は送り仮名です。
また数字を数えるときの「一つ」「二つ」「三つ」などは「つ」を送り仮名にします。
加えて動詞・形容詞・形容動詞から転じた「動き」や「祭り」などの名詞や、活用のある語に「さ」「み」「げ」などの接尾語が付いた「大きさ」「暑さ」などの名詞は、元の語に合わせて送り仮名を付けるのが基本です。
ただし「光」や「氷」などは送り仮名を付けません。
副詞・連体詞・接続詞は原則として最後の音節が送り仮名
「必ず」「及び」などの副詞・連体詞・接続詞は、最後の音節が送り仮名です。ただし以下の語は例外で、最後の音節以外も送り仮名となります。
●明くる
●大いに
●直ちに
●並びに
●若しくは
加えて他の語を含む副詞・連体詞・接続詞は、含まれている語の送り仮名の付け方に合わせて記載します。例えば「少なくとも」は「少ない」に合わせて「なくとも」を送り仮名とするのがルールです。
さらに「又」には送り仮名を書きません。
漢字2字以上の語はそれぞれの語の送り仮名に合わせる
漢字を2字以上使う「申し込む」「長引く」「心細い」「生き物」「早起き」などは、それぞれの漢字の送り仮名のルールに合わせて記載するのが基本です。
ただし読み間違えの心配がない場合や、一般的によく使われている表記の場合には、送り仮名の省略もできます。例えば「申し込み」は「申込み」とも「申込」とも書くことが可能です。
参照:文化庁|送り仮名の付け方
送り仮名もバッチリ! 漢字学習のコツ

送り仮名を正しく覚えるには、漢字学習への取り組みが重要です。ただし漢字の書き取り練習だけ行っても、思うように成果が出ない可能性があります。ここでは送り仮名を自然と覚えやすくなる漢字学習のコツを見ていきましょう。
文章を作る
習った漢字を正しく書けるようにするには、漢字を使って文章を作るのが有効です。文章を書くときには、言葉の意味を深く理解する必要があるため、漢字の正しい書き方が身に付きやすくなります。
例えば文章を作る中で、動詞の「話す」と名詞「話」の違いを理解できれば、送り仮名の間違いが減っていきます。
加えて、習った漢字は、国語以外の教科や日常生活の中でも使うとよいでしょう。
学習のサイクルを作る
以下のように漢字学習のサイクルを作ってもよいでしょう。
1.反復練習で漢字を覚える
2.覚えた漢字をテストする
3.テストの結果を振り返る
4.間違えた漢字を復習する
反復練習だけを繰り返していても、何も見ずに正しく漢字を書けるようになっているかはわかりません。学習のサイクルにテストや復習を取り入れれば、覚えた漢字とそうでない漢字がわかるため、より効率的に漢字を学べます。
次に何をすればよいかが明確なため、子どもが主体的に学習に取り組みやすくなるのも特徴です。
小学校で習う漢字は送り仮名も押さえよう
小学1~6年生で習う漢字(学年別漢字配当表)は1,026字です。それぞれの漢字を正しく書けるようになったとしても、送り仮名でつまずくケースもあります。
送り仮名には、動詞・形容詞・形容動詞といった活用のある言葉は活用で形が変わる活用語尾を送り仮名にする、名詞は送り仮名をつけない、などのルールがあるため、まずはこれらを押さえておくとよいでしょう。
加えて、習った漢字を使って文章を作ったり、反復練習をしてからテストに取り組んだりすることで、効果的に身に付けやすくなりますよ。
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文・構成/HugKum編集部