「最近天気がおかしい!」の原因を易しく解説した「異常気象の教科書」
40℃超えの「酷暑日」が多発した今年の夏。近年「地球温暖化」を飛び越え「地球沸騰化」と言われることもある異常気象が続いています。
他にもゲリラ豪雨や竜巻、巨大台風やドカ雪など、過去に経験したことのない自然災害に恐怖を覚えている方も多いのではないでしょうか。そんな「気候危機」について易しく解説した児童書が話題です。
今回は「わかる化学シリーズ」で人気の齋藤勝裕氏による、異常気象について家族で学べる本『気候変動がヤバイ! 異常気象の教科書』から抜粋してご紹介します。
※ここからは『気候変動がヤバイ! 異常気象の教科書』(株式会社 カンゼン)より引用・抜粋しています。
四季が「二季」に?
かえでの紅葉日が約40年で1か月も遅くなっている!

秋には葉が黄色くなるはずのいちょうが、最近ではいつまでも緑のままだと思いませんか。そして冬に入るころになって慌ただしく黄色になったと思ったら、ほどなくして落葉してしまいます。
気温が下がらないと葉っぱを落とす準備ができず、紅葉も進めることができないことが原因です。
☑いろいろな生物の環境に異変が起きたらそれが普通になるのか考えてみよう。
冬の気温が上がっても豪雪地帯は厳しいまま?

気候変動というと、夏の気温の上昇ばかりに目が行きがちですが、実は冬の平均気温も徐々に上昇しています。
しかし平均気温が上昇するにもかかわらず、あいかわらず豪雪となる地域があります。
暖冬によって温かくなった海水は気化して水蒸気になりやすくなります。その結果、この海の上を通る風は大量の水蒸気を吸い込みます。このようにして大量の水蒸気を含んだ大気が陸上の低温地帯にくると、その水蒸気が冷えて固まって大雪となるのです。
☑冬の気温が上がると豪雪地帯の雪の状況がどうなるか考えよう。
温暖化ってどうして起こるの?
気候変動は人間の社会活動のせい?

人類は大昔から火を焚いて暖をとったり、料理をしたり、明かりを灯すなどして、熱エネルギーを利用してきました。世界人口が少なかった昔なら熱エネルギーの使用量も少なく、地球環境に影響を及ぼすほどではなかったでしょう。
しかし、世界人口は20世紀に入ったころから急激に増加し、ついに2024年には80億に達しました。これだけの人類が暖房・冷房に熱エネルギーを使っています。
さらにそれだけに留まらず、自動車・船舶・航空機などの移動手段も使用し、その上、パソコンや人工頭脳にまで熱エネルギーを消費します。それが地球温暖化、さらには気候変動となって表れたのだ、という考えもあります。
☑これ以上人口が増えたら世界的にどのようなことが問題になる?
都市を熱くするヒートアイランド現象

人為的な熱によって、都市の気温が都市以外の気温よりも高くなる現象をヒートアイランド現象と呼びます。
ヒートアイランド現象が生じる一つの原因は道路を覆う「アスファルト」や道路や建物をつくる「コンクリート」です。アスファルトやコンクリートは、日中は太陽の熱を吸収し、夜になると排熱します。そのため芝生や土の地面に比べて夜も暑くなり、昼夜問わず全体的に気温は上がります。
もう一つの原因は車です。車が使ったエネルギーは最後に、すべて「熱」になります。たくさん車が走っていること自体が、ヒートアイランド現象を誘発することになります。
またエアコンも原因の一つです。住宅用のエアコンは、室外機によって熱が外気に放出されているのです。
☑エアコンや自動車を使用するのをやめることは可能なのだろうか。
私たちにもできること
自然を再生させる

2021年にサイエンス誌に発表された研究結果によると、熱帯林は自然に、しかも比較的早く再生できることがわかったそうです。熱帯林が原生林のレベルまで回復する時間は、平均わずか20年で原生状態の約78%まで回復できると判明したのです。
広島に原子爆弾が落ちたとき、「今後75年間広島に木は生えない」と言われたそうですが、翌年には燃え残った街路樹が芽を出したといいます。自然は人間が思うより賢く、強いのです。
☑森林が再生することで何が環境に役立つのか、考えてみよう!
食品ロスを減らす

食品ロスとは食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。食品ロスの量の半分は家庭から発生しています。主に食べ残し、手つかずの食品(直接廃棄)、根菜の皮の剥きすぎ、魚料理の下手さ加減(過剰除去)などが発生原因です。
家庭で食品ロスを減らすコツは、
①「必要な分だけ買う」、
②「食べきれる量だけ作る」、
③「おいしく食べきる」
ことが基本です。
☑未開封のまま捨てられる食べ物は、どうしてこんなにたくさんあるんだろう?
江戸時代から続く日本ならではの「もったいない」を大切に受け継ぐ

江戸時代には「もったいない」という精神がありました。これは「お金の無駄使いを止めて質素な暮らしをしよう」というのとは違います。「無理に見栄を張るより、自分に合った過ごしやすい生活を送ろう」ということで、SDGsのいう「サステナブルな(持続性のある)生活を送ろう」ということなのです。
英語では「無駄に使ってしまう」という意味の「wasteful」という言葉は存在しますが、物に対する敬意までが込められているとは限らないようです。
☑古い物にも価値がある。身の回りにあるアンティークを探してみよう!
※ここまでは『気候変動がヤバイ! 異常気象の教科書』(株式会社 カンゼン)より引用・抜粋しています。
未来のために、1人の力でできることから始めよう

人口増や人間活動によるものが原因、ともいわれている最近の大きな気候変動。起きてしまった気候変動を防いでいくのも、私たち人間です。
子どもたちが再び昔ながらの美しい四季を感じられる環境を守っていきたいものですね。
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文・構成/kidamaiko