※この記事は『まんがで学べる!コナン博士シリーズ 名探偵コナンの防犯博士(小学館)』の一部より抜粋・再構成しています。
いつでもどこでも誰でも狙われる! 通り魔事件
これといった動機もなく、誰でもいいから傷つけたくて行われる通り魔事件。あらかじめターゲットを特定することはめったにありませんが、特に狙われやすい人はいるのでしょうか。
通り魔に狙われやすいのは次のうちどんな人?
- A:イヤホンを着用して音楽を聴く、スマートフォンを操作するなど「ながら歩き」をしている人
- B:スカートやヒールなどをはいている女性
- C:すれ違った人すべてがターゲットなので、特に狙われやすい人はいない
通り魔に狙われやすい人とは?
答えはAとB。通り魔とは、通りすがりの人に対して、凶器を用いるなどしていきなり危害を加える者のこと。つまり、最初から「この人を狙おう」と計画するのではなく、たまたま出会った人やその場に居合わせた人を襲ってくるので、いつどこで起きるかわかりません。通り魔事件を警戒するのは難しいのです。
通り魔は襲った相手に反撃されて失敗することをおそれ、自分よりも強そうな体格の大きな人をあまり襲おうとはしません。しかし女性、子ども、高齢者など、自分より体格が小さい人や身体能力が低そうな人をターゲットとする頃向はあります。さらに、スカートやヒールをはいている女性のように、走って逃げづらい服装をしている人もターゲットになりやすいのです。
また、イヤホンやヘッドホンで音楽を悪いたり、スマートフォンを見ながら街を歩いたりする「ながら歩き」は、自分のまわりに注意が向いていないため危険を察知しにくく、通り魔に狙われやすい傾向にあります。

通り魔事件は人通りが少ない場所や暗い時間帯だけでなく、繁華街の路上や電車の中など人が多く集まる場所で明るい時間帯に起きることもあります。小学校の通学路や校門前で通り魔事件が起きたこともあり、子どもも注意が必要です。

通り魔事件のニュースを見たら、次の事件に気をつけよう
毎年のように通り魔による犯行が行われていて、警察庁が発表している大きな通り魔事件の発生件数は、過去31年間を平均すると年間約6.5件。一見すると少なく感じますが、通り魔はたくさんの人を無差別に襲うケースもあるため、発生件数と被害者数は必ずしも一致しません。
また、大きな通り魔事件は、多いときは年間10件以上に達することもあります。ニュースで何度も報じられるような大事件が起こった後は、同じような犯罪を起こして社会を騒がせようと犯行におよぶ人もいます。
もしも通り魔事件のニュースを見たら、「さらに新たな事件が起きるかもしれない」と気を引き締め、事件に巻き込まれないように注意しましょう。

いかに早く異変に気づくか。「ながら歩き」は危険
通り魔事件に巻き込まれないようにするには、身のまわりの異変にいち早く気づく必要があります。通り魔が現れるなど何か異変が起きると、聞こえてくる声や雰囲気で気づくこともあるので、外出時は「ながら歩き」をせず、周囲に注意を払って警戒しながら歩くようにしましょう。
また、通り魔事件は時と場所を問わず発生するとはいえ、人通りが少ない場所や夜道のほうがより危険なので、子どもが塾などで遅く帰るときはなるべく明るく安全な道を通るよう伝えましょう。
日ごろから子どもに助けを求めるための防犯ブザーやホイッスルなどを持たせていると安心です。異変に気づいたらすぐに走って逃げられるよう、通学など1人で出かけるときは動きやすい服装で行動させましょう。
さらに、交番、コンビニエンスストア、子ども110番の家など、いざというときに逃げ込んで助けてもらえる場所を子どもに教えることも有効です。

全国各地の最新の取り組みは?
さて、全国各地ではさまざまな防犯の取り組みが行われています。
「地域の安全を地域住民が結束して守る」という考えのもと、街に住む人が集まって街頭バトロールなどの防犯ボランティアを行っている地域があります。埼玉県では約6000の自主防犯活動を行っている団体があり、令和6年現在、その数は全国最多です。
また街では青色の回転灯を光らせながら走る車をよく見かけるようになりました。青色防犯パトロール(通称・青パト)といって、警察から証明を受けた自主防犯活動団体が地域の安全を守るためパトロールしています。
子どもが危険を感じたときに助けを求めることができる「こども110番の家」。それと同じ役割を果たす「こども110番の車」に社用車で協力してくれる会社もあります。

若者たちによるデジタルネイティブ向けの取り組みとは
SNSなどを通じて行われる闇バイトの勧誘や特殊詐欺など、近年は若者を標的にしたサイバー犯罪が増加。犯罪の当事者たちに注意を呼びかけるため、警察ではデジタルネイティブ世代向けの取り組みを行っています。
2023年に都道府県警として全国初のサイバー局を新設した埼玉県警では、「サイバーセキュリティに関するゆっくり解説」をYouTubeに投稿。その手口や対策について、ユーモアを交えてわかりやすく説明しています。
また、埼玉県警や大阪府警などでは学生ボランティアを募集し、サイバー犯罪に関係する投稿やサイトを見つける若者たちによるサイバーパトロールを実施。彼らが提供した情報をきっかけに、警察が違法サイトを閉鎖に追い込んだ事例もあります。
全国に広がるデジタルを駆使した子ども見守りサービス
最新デジタル技術とICT(情報通信技術)を活用した子ども見守りサービスも全国各地の自治体に広がっています。
兵庫県加古川市では、小学校の通学路や学校周辺の電信柱などに、ビーコンタグ検知器を内蔵した見守りカメラを設置。位置情報を知らせるビーコンタグを持った子どもがカメラ付近を通ると、検知器がその情報を自動で記録し、保護者や家族のスマートフォンに知らせるしくみになっています。
また、東京都港区や神奈川県小田原市では、無線通信機を搭載し、ネットワークと常につながったスマート街路灯を設置。街路灯には監視カメラや各種センサーなども搭載されていて、カメラに写った画像をAI(人工知能)が分析し、あやしい人がいたら検知するなど、防犯につなげられるようになっています。

『まんがで学べる!コナン博士シリーズ 名探偵コナンの防犯博士』
この記事で紹介したのは『まんがで学べる!コナン博士シリーズ 名探偵コナンの防犯博士』からの一部。同書では、「名探偵コナン」のまんがに登場するさまざまな事件のエピソードとあわせて、犯罪の種類ごとに防犯術と対策を解説。「防犯力」が高まること間違いなしの一冊です。
▼【原作まんが】「名探偵コナン」のさまざまな事件や犯罪エピソードを楽しみながら、防犯を学べる。

▼【本格記事】危険な犯罪に巻き込まれないためにはどうすればいいのか? 今回紹介した誘拐、SNSトラブル、通り魔のほか、詐欺や闇サイト、ひったくりといった犯罪の種類ごとに最新の防犯知識と最強の防犯対策が紹介されている。

「名探偵コナン」のエピソードも楽しめるエンタテインメントに満ちた一冊で、自然に防犯意識が身につきます。ぜひ親子で共有して〝いざと言うとき〟の知恵と対策を身につけておきましょう。
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構成/国松 薫
書誌内イラスト/神内アキラ ©青山剛昌/小学館
