「金科玉条」とは？
読み方と意味
まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『金科玉条』と書いて「きんかぎょくじょう」と読みます。守るべき法律や、個人が拠り所となる絶対的なルールを表す言葉です。
「金科玉条」の由来・語源
『金科玉条』の由来は中国にあります。漢という時代に、王莽（おうもう）が新しい王朝を建国した際に、官吏であり、学者でもあった揚雄（ようゆう）という人がいました。この揚雄が書いた「劇秦美新（げきしびしん）」という詩集の中に出てきた言葉が『金科玉条』です。
「金」は黄金、「玉」は宝石を意味しており、「科」と「条」は法律の条文のことです。新しい王朝は、黄金や宝石のように大切な法律が隅々まで行き渡っている素晴らしい王朝である、と新しい王朝を褒めたたえる内容でした。
この『金科玉条』という言葉が日本に伝わったのは奈良時代と言われていますから、日本でも1000年以上という長い期間使われてきた言葉です。
現代では「人が大事にしている教え」という本来の意味合いで使われる一方で、融通が利かない様子を批判するために使われる場合もあります。
出典：小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
使い方を例文でチェック！
では、『金科玉条』の使い方を例文でチェックしていきましょう。
1：会社の従業員は、創業者の言葉を金科玉条として大切にしている。
社員にとって創業者の教えは、『金科玉条』と言えるものです。
2：彼は古い時代に習った手順を、いまだに金科玉条のごとく守っている。
新しい時代や制度化でも以前の手順を守る、融通が利かない様子は『金科玉条』と揶揄されることもあります。
3：このお店にとっての金科玉条はいまだに「将軍家御用達」のようだ。
はるか昔の将軍様が気に入っていたことをいまだに誇りに思っている、という融通が利かない様子も
『金科玉条』と表現されることもあります。
類語や言い換え表現は？
では、『金科玉条』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『金科玉条』に似た表現を探してみました。
1：大義名分（たいぎめいぶん）
『金科玉条』と同じく、重大な行動を起こす際の名目や根拠を表す言葉です。
2：不文律（ふぶんりつ）
明文化されていない規則や暗黙のルールを表す「不文律」。『金科玉条』と同様に大切にされているルールを表しています。
3：杓子定規（しゃくしじょうぎ）
何でも一つの規則で測ろうとする態度を表す「杓子定規」。『金科玉条』と同じく融通が利かない様子を表しています。
4：錦の御旗（にしきのみはた）
『金科玉条』と同じく、自らを正当化するための権威や大義などを形容する際に用いられる「錦の御旗」。こちらも信じたルールにのめり込みすぎている様子を揶揄する表現として使われます。
対義語は？
では、『金科玉条』の反対の意味に当たりそうな言葉にはどんなものがあるのでしょうか？
1：ケースバイケース
原則にとらわれず、ひとつひとつの場合に応じて考え、適切な処置をとる「ケースバイケース」。ルールを頑なに遵守する『金科玉条』とは逆の意味の言葉と言えそうです。
2：臨機応変（りんきおうへん）
その場所や状況に応じた適切な対応をすることを意味する「臨機応変」。こちらも規則が第一の『金科玉条』とは逆の意味の言葉と言えそうです。
3：薄物細故（はくぶつさいこ）
ささいな物事や役に立たないものを表す「薄物細故」。こちらは『金科玉条』とは逆に、どうでもいいものを表した言葉です。
英語表現は？
では、『金科玉条』は、英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『金科玉条』の英語表現と言えそうな言葉をご紹介します。
1：a golden rule
“黄金律”と訳されるこの言葉は 他人に対する行動を自分にもしてほしいと思うという考え方。『金科玉条』と同じくルールを大切にする言葉です。
2：The cardinal rule
社内ルールなどの意味で、『金科玉条』と同じく、皆で守るべきルールという意味があります。
3：blindly follow
『金科玉条』の否定的な意味に似た表現で、“盲目的に従う”という意味の言葉です。
4：rock-ribbed law
“曲げることのできない規則”という意味の言葉で、こちらも 『金科玉条』の英語表現と言えそうです。
「金科玉条」の意味と由来を知って、正しく使いましょう
大切にしているオキテを表す『金科玉条』という言葉。使う際は、意味を理解した上で使うようにしましょう。
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構成・文／kidamaiko
