「上意下達」とは?
読み方と意味
まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『上意下達』と書いて「じょういかたつ」と読みます。
上位の者や上層部の命令・意向を、下に伝えることを表す言葉です。「じょういげたつ」と読みたくなりますが、間違いですので気をつけましょう。
「上意下達」の由来・語源
『上意下達』とは、上の者(主君や君主)の意見を下の者・下々の者に伝えるという意味です。
江戸時代では、特に将軍の命令「上意」といいました。主君の思いや命令を伝える書のことは「上意書(じょういがき)」と呼ばれ、機密文書として扱われていました。下々の者たちへ将軍の命令を伝えるということから、『上意下達』という言葉が生まれたと言われています。現在でも、特に組織の上の立場の人が下の者たちに伝える際に耳にする言葉となっています。
使い方を例文でチェック!
では、『上意下達』の使い方を例文でチェックしていきましょう。
1:上意下達の企業では新人の意見が尊重されることは少ないだろう。
会社の方針が『上意下達』であれば、新人時代は意見が通らないこともありそうです。
2:全員が同じ目的に向かう軍隊では、上意下達の方式が効果的だ。
統制の取れた行動が必要な軍隊では『上意下達』の組織であることも必要です。
3:最近は情報も多く、上意下達方式だけでは社員の信用は得られない時代になった。
『上意下達』が古い考え方だと感じる社員も増えているので、組織のあり方も変わってきています。
類語や言い換え表現は?
では、『上意下達』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『上意下達』に似た状況を指す言葉を探してみました。

1:トップダウン
『上意下達』と同じく、組織の上層部(トップ)が意思決定を行い、その決定を現場の従業員(ダウン)へ指示・命令として伝達する意思決定スタイルの「トップダウン」。現代の職場でもよく使われる言葉です。
2:思し召し(おぼしめし)
「思う」の尊敬語である「思し召す」の名詞形「思し召し」。身分の高い人の考えや気持ちのことを表した言葉です。『上意下達』と同じく、反対できない言葉という意味では『上意下達』と似た表現と言えそうです。
3:お達し(おたっし)
『上意下達』と同じく、上位の役所や役人、立場が上の者から、下位の役所、役人、または管下の者へ出される指示や命令のことを表す言葉です。
4:ワンマン経営(けいえい)
経営者が全てを決定し、その指示が実行される体制の「ワンマン経営」。『上意下達』と同じく、下位の声が届かない様子を表します。
対義語は?
では、『上意下達』の反対の意味に当たりそうな言葉にはどんなものがあるのでしょうか?

1:下意上達(かいじょうたつ)
下の者の気持ちや意見が上位にある人に届く意味の「下意上達」。意味も見た目も『上意下達』とは逆の意味と言えそうです。
2:ボトムアップ
現場から上がってきた提案を企業経営の上層部が承認する意思決定スタイルである「ボトムアップ」。こちらも『上意下達』とは逆の意味の言葉です。
3:下剋上(げこくじょう)
地位が下の者が実力で自分より上の者を倒し、その地位や権力を奪う行為である「下剋上」。『上意下達』とは逆に、低い地位のものが力を持つ様子を表しています。
英語表現は?
では、『上意下達』は、英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『上意下達』の英語表現と言えそうな言葉をご紹介します。

1:Command hierarchy
『上意下達』と同じく、上位のものから命令する方式を表す言葉です。
2:Top-down system
日本語でもカタカナで表現されるトップダウン。英語でも『上意下達』の意味で使われます。
3:Downward communication
“下の地位へ向けたコミュニケーション”という意味で、こちらも『上意下達』と同じ意味の表現と言えそうです。
「上意下達」の意味と由来を知って、正しく使いましょう
普段使うことはあまりない『上意下達』という言葉。組織などで感じたときには使ってみてください。
あなたにはこちらもおすすめ
構成・文/kidamaiko