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10月30日は「たまごかけごはんの日」
「たまごかけごはんの日」は、2005年10月30日に島根県雲南市で開催された「第1回日本たまごかけごはんシンポジウム」に由来して制定されました。主催は日本たまごかけごはん楽会(現・日本たまごかけごはんシンポジウム実行委員会)で、記念日は日本記念日協会により認定・登録されています。
卵かけご飯は、炊きたてのごはんに生卵と醤油を合わせる日本の家庭の定番。手早く作れて栄養もとりやすく、忙しい朝の心強い味方です。記念日をきっかけに、家族で“わが家の卵かけご飯”を探してみるのも楽しいですね。
意外と知らない! 卵かけご飯の基本
卵かけご飯をもっとおいしく、安全に楽しむために、知っておきたい“基本のポイント”があります。
たとえば、炊きたてのご飯が熱すぎると、卵の白身が固まってしまい食感や風味が変わってしまうと指摘されています。また、混ぜる順番によって味わいが変わるという研究も。ご飯に先に醤油をかけて混ぜ、その上から溶いた卵をかけるのが“究極の卵かけご飯”になるという意見も。
さらに、ご飯と卵をそれぞれ扱う際の細かなコツも、以下の通り紹介します。
ご飯の温度とお米の状態
温かいご飯が基本ですが、あつあつすぎると卵の白身が“ゆで卵状態”になってしまうことも。やや冷ませて“卵とご飯が馴染む温度”にするのがおすすめです。
醤油の量と種類
醤油は少量でも風味がしっかりと出るので、お茶碗1杯のご飯(約150 g)に対して醤油7 g(小さじ1強)という目安も紹介されています。また、薄口醤油や卵かけご飯専用の醤油を使うと、卵のコクを活かしながら味を調えられます。
混ぜる順番と食べ方
①ご飯に醤油をかけて軽く混ぜる
②その上に溶いた卵をかけて、全体をさっと混ぜる
この手順により、醤油の旨味がご飯に先に染み込み、卵の風味が際立つ“至高”の一杯が完成します。
卵の選び方と安心ポイント
卵を生で食べる文化がある日本では、流通における衛生管理が非常に高く設定されています。安心して生のまま楽しめる背景がある一方で、冷蔵保存や賞味期限の目安など、家庭でも基本に忠実な対応が安心につながります。
卵かけご飯は何歳から食べられる?

卵かけご飯は手軽で栄養も豊富なメニューですが、生卵を使うため、食べ始める時期には注意が必要です。
厚生労働省や消費者庁の指針では、2歳以下の乳幼児には生卵を避けるよう指導しています。食中毒のリスクを考えると、3歳以降で体調が安定してからがより安心です。
ただし、発達のスピードや体質には個人差があります。少量から始めて様子を見るようにしましょう。
生卵を食べる前に気をつけたいこと
生卵にはサルモネラ菌などの細菌による食中毒のリスクがごくわずかにあります。日本の卵は衛生管理が厳しく行われていますが、賞味期限内の卵を冷蔵保存し、割ったらすぐに食べるなど、家庭での扱い方も大切です。
また、発熱や体調不良時は生卵を控えるのが安心です。
卵アレルギーがある場合
卵白に含まれる「オボアルブミン」や「オボムコイド」などはアレルギーを起こしやすい成分です。医師から指導を受けている場合は、自己判断での摂取は避けましょう。
乳幼児などが初めて食べるときは、加熱した卵から少しずつ試すようにしてください。
加熱アレンジで安心に楽しむ
「小さい子どもに生卵はまだ心配…」という場合は、しっかり加熱するのがおすすめです。
ご飯の熱で軽く火を通す程度の“半熟”や“温泉卵”は、乳幼児には避けるようにとされています。完全に火を通した「炒り卵」「卵そぼろ」「卵焼き」などで、まずは卵の味に慣れていくのが安心です。
卵かけご飯の栄養とカロリー

卵かけご飯は、手軽なのに栄養バランスのとれた万能メニューです。ご飯と卵を組み合わせることで、エネルギー・たんぱく質・ビタミン・ミネラルをバランスよくとることができます。
卵かけご飯1杯のカロリー
一般的な卵かけご飯(ご飯150g+卵1個+しょうゆ小さじ1)は、およそ290〜320kcalほど。糖質・脂質・たんぱく質のバランスがよく、腹持ちがよいのが特徴です。朝食や軽食にぴったりのエネルギー量といえます。
栄養素のポイント
- たんぱく質:卵1個(約6〜7g)は、筋肉や血液、ホルモンをつくる材料に。子どもの成長やパパママの体づくりに欠かせません。
- ビタミンB群:ご飯の糖質をエネルギーに変える働きを助け、疲れにくい体をサポートします。
- ビタミンD・鉄・亜鉛:免疫力や骨の発達、集中力維持にも関わる重要な栄養素。卵黄に多く含まれます。
ダイエットにもおすすめな理由
卵かけご飯は、高たんぱくで満足感があり、脂質も控えめ。
糖質の吸収をゆるやかにする「食物繊維」や「具材」をプラスすると、よりダイエット向きになります。
たとえば、雑穀米・オートミール・海苔・しらす・納豆などのトッピングで栄養価がアップします。
子どもにも、ママにもやさしい
卵は「完全栄養食品」とも呼ばれるほど栄養が豊富。
朝食で卵かけご飯をとることで、集中力アップ・体温上昇・基礎代謝アップなどのメリットもあります。
ただし、塩分の摂りすぎを防ぐためにも、醤油は少量でOKです。
基本の卵かけご飯の作り方
卵かけご飯のおいしさを追求したいという想いから設立された『日本たまごかけごはん研究所』に、基本の卵かけご飯「サンライズ」の作り方を教えてもらいました。
サンライズ

【材料】
・やや硬めに炊いたご飯150g
・醤油7g
・卵 Mサイズ1個60g

【作り方】
1.器に卵を溶いて、溶き卵を作る。
醤油ご飯を作った後に卵の準備をすると、中まで醤油が染み込んでしまいご飯の味がどこかにいってしまうので、先に卵を用意しておきます。サンライズを作るときは、白身のコシを切り全体がよく混ざるようにしましょう。

2.茶碗に硬めに炊いたご飯150gを入れ、公式醤油7gをかけて混ぜ醤油ご飯を作る。

ポイントはあつあつのご飯に醤油をかけることです。醤油の香りを楽しみ、味見をしながらおいしいと思う量が正解。グラムで量らず、自分なりのベストを作るのもおすすめです。
3.1を2に入れ、全体を素早く混ぜて「すぐに」食べる

味わいは?
素早く混ぜたらすぐ食べてください。そうするとお米に醤油、その外側に卵がコーティングされるのでひと口目に卵だけの味が楽しめます。それから醤油の塩味やコク、お米の旨味がどんどん口の中で変わり、味のグラデーションが起こります。
アレンジして楽しむ♪ 卵かけご飯
卵かけご飯のレシピは無限大♪ 基本のサンライズのほかに、気軽に楽しめるアレンジレシピも教えてもらいました。材料はサンライズと同じですが、作り方が異なります。
タイフーン
「台風」がそのまま卵かけご飯の名前となった「タイフーン」。台風の〝目〟の位置に卵の黄身が…。

【作り方】
1.はじめに、卵の白身と黄身をわける。

2.白身をご飯と混ぜ合わせる。
最初に白身とご飯を混ぜることで、白身のどろっとした感じが苦手な人も食べやすくなります。

3.2の真ん中を少しへこませ、黄身をのせる。

味わいは?
ぐるぐるとかき混ぜたご飯の真ん中に、目のように黄身がくるからタイフーン。最後に醤油をかけていただきます。卵黄の濃厚さがダイレクトにきます!
フルムーン
見た目のインパクト大の卵かけご飯が「フルムーン」。ふわふわのメレンゲが特長です。

【作り方】
1.はじめに、卵の白身と黄身をわけ、白身を泡だて器でよく混ぜメレンゲをつくる。

2.ご飯のうえにメレンゲをのせる。

3.メレンゲをつぶさないように、真ん中に黄身をのせる。

4、醬油をかけて仕上げる。

味わいは?
白身をメレンゲにすることで、食感が明らかに違い別の食べ物になります。白身が主役になる、卵かけご飯。これをオーブンで焼くと、外側のメレンゲがそのまま焼けて、黄身は半熟になりこれもまたおいしいです♪
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卵かけご飯のアレンジいろいろ!
卵かけご飯はシンプルだからこそ、少しの工夫で驚くほど味が変わります。全国にはご当地ならではの食べ方も多く、家庭でもアレンジ次第で栄養バランスをさらに高めることができます。
ご当地アレンジ
日本各地には、地域の特産品を活かした卵かけご飯があります。
島根県雲南市(旧・吉田町)は、「たまごかけごはんの日」発祥の地として知られています。この地では、専用の卵かけご飯用醤油「おたまはん」と、地元のブランド卵「彩り天佑卵(いろどりてんゆうらん)」を使った“幸せのたまごかけご飯”が名物。まろやかな卵のコクと、だしの旨味をきかせたしょうゆの組み合わせが絶妙で、全国の卵かけご飯ファンからも注目されています。
おたまはん(卵かけご飯専用醤油)

卵の風味を引き立てるために仕上げられた、卵かけご飯専用醤油。鰹だしと本みりんのまろやかな味わいが特徴で、生卵とご飯を“ごちそう”に変えてくれます。関東風・関西風の2種類があり、好みに合わせて選べます。ギフトにも人気です。
彩り天佑卵(たなべ森の鶏舎)

自然豊かな島根・雲南市の養鶏場「たなべ森の鶏舎」で平飼い・放牧されている鶏の卵。濃厚な黄身とすっきりした後味が特徴で、安全性と味の両立を目指したブランド卵です。栄養価も高く、親子で安心して楽しめます。まさに“発祥の地の味”を自宅で再現できる組み合わせ。旅行先やお取り寄せで本場の味を体験してみるのもおすすめです。
島根県雲南市以外にも、卵かけご飯に合うご当地醤油や調味料があります。
湯浅醤油 たまごかけごはん醤油(和歌山)

日本最古の醤油の産地・和歌山県湯浅町でつくられる、コク深いだし入り醤油。卵の甘みを引き立てるよう設計されており、「和のTKG」を楽しめます。
とら醤油 黄ニラしょうゆ(岡山県倉敷市)

岡山県名産の黄ニラを贅沢に使ったご当地調味料。倉敷の老舗「とら醤油」が製造し、黄ニラの香りとだしの旨味が卵のコクを引き立てます。“黄ニラ×卵黄”の黄金コンビで、卵かけご飯にごちそう感をプラス。
末廣醤油 たまごごはんにかけるクン(兵庫県姫路市)

兵庫県姫路市の老舗・末廣醤油がつくる、ユニークなネーミングの卵かけご飯専用調味料。だしの旨味と醤油のキレを両立させた味わいで、卵の甘みをしっかり引き立ててくれます。兵庫・播磨地域で長く愛される醤油蔵の伝統製法を活かした一本で、「毎朝のTKGをちょっと贅沢に」楽しみたい方にぴったりです。
トッピングのアレンジ
冷蔵庫にある身近な食材で、味も栄養もぐっとアップします。
・納豆、しらす、海苔、ねぎなどの定番具材
・チーズ、オリーブオイル、バターを加えた洋風アレンジ
・キムチ、鰹節、ごま、昆布などで大人味に
カルシウムや発酵食品を加えると、腸内環境のサポートにもつながります。
雲月「小松こんぶ(袋入り)」(京都府)

京都の老舗料亭「雲月」が手がける小松こんぶは、繊細な旨味が特徴の細切り昆布。炊きたてご飯やおにぎりの具として知られていますが、卵かけご飯にひとつまみ添えると、だしの風味と塩味が卵の甘みを引き立て、上品な味わいに。うま味調味料を使わず、昆布本来の香りが活きているため、子どもにも安心して使えます。
シンプルな一杯を“料亭の味”に変えてくれる、ご当地トッピングの逸品です。
ヘルシーアレンジ
ダイエット中や健康志向のパパママには、食物繊維や良質脂質をプラスしたアレンジがおすすめです
・雑穀米やオートミールご飯に変える
・アマニ油やえごま油を数滴たらす
・大葉やブロッコリースプラウトをトッピング
卵のビタミン類と合わせて、代謝アップをサポートしてくれます。
只見えごま油(福島県奥会津・只見町産)

福島県・奥会津の只見町で育てられた、えごま100%の純正えごま油。寒暖差の大きい山間地域で育つえごまは香りがよく、まろやかな風味が特徴です。搾油は低温圧搾(コールドプレス)製法で行われ、酸化しにくく、えごま本来の栄養をそのままキープ。
卵かけご飯にひと回しかけるだけで、卵のコクが引き立ち、後味にほんのりナッツのような香ばしさが広がります。α-リノレン酸を豊富に含み、子どもから大人まで、毎日の健康維持にもぴったりの“ご当地オイル”です。
子どもも喜ぶアレンジ
まだ生卵が心配な子どもには、加熱アレンジが安心です。
・「卵そぼろご飯」や「スクランブルエッグ丼」風に
・卵黄だけを使ってマイルドに
・小さじ1ほどのしょうゆ+白ごまを混ぜて香ばしく
「パパの味」「ママの味」を少しずつ教えてあげるような感覚で、親子で楽しめます。
冷凍卵アレンジ
冷凍卵は卵かけご飯がおすすめです。濃厚でクリーミーな味わいと、モチモチした食感を楽しむことができます。そこで、おすすめしたいのが、冷凍卵で作るフワフワ・モチモチの卵かけご飯と、味噌玉と一緒に食べる卵かけご飯です。
フワフワ白身とモチモチ黄身の卵かけご飯

【材料(1杯分)】
- 冷凍卵… 1個
- ご飯… 適量
- だし醤油… 適量
- 刻み海苔(お好みで)… 適量
【作り方】
1、解凍した冷凍卵を、白身と黄身に分けます。
2、白身はフォークや泡立て器などで泡立てます。
3、ご飯に泡立てた白身、黄身をのせ、だし醤油を回し入れます。
4、お好みで刻み海苔を散らせたら、できあがりです。
白身のフワフワと黄身のモチモチ、2つの食感を楽しむことができます。
味噌玉卵かけご飯

【材料(1杯分)】
- 冷凍卵… 1個
- ご飯… 適量
- 味噌… 大さじ1
- 和風だしの素… 小さじ1
- すりごま… 適量
- おろししょうが… 1かけ分
- 刻みネギ… お好みで
【作り方】
1、冷凍卵は殻をむき、解凍しておきます。
2、味噌、和風だしの素、すりごま、おろししょうがを混ぜて味噌玉を作ります。
3、ご飯の上に、解凍した卵と味噌玉、お好みで刻みネギをのせて完成です。
混ぜて食べると、しょうがが香っておいしいですよ。
地域の味を楽しみながら、“わが家の卵かけご飯”を見つけよう
全国には、卵かけご飯をもっとおいしくしてくれるご当地の醤油や調味料がたくさんあります。地域の味を取り入れながら、家族の好みに合う“わが家の卵かけご飯”を見つけてみてください。
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文・構成/HugKum編集部