34歳の新市長が誕生!
2025年11月、アメリカで一番大きな都市であるニューヨーク市で、新しい市長を決める大切な選挙が行われました。世界中が注目する中、見事に勝利したのはゾーラン・マムダニさんという男性。彼はなんと34歳という若さです。これはニューヨークの市長としては、ここ100年以上で一番若い記録になります。
しかも、彼はイスラム教徒(ムスリム)として初めてニューヨーク市長になるという、歴史的なニュースでもあります。これまでの市長とはまったく違う新しいタイプのリーダーとして、多くの人々が期待を寄せています。

アフリカで生まれた民主社会主義者のマムダニ氏
マムダニさんは、アフリカのウガンダという国で生まれ、7歳のときに家族と一緒にニューヨークへやってきました。映画が大好きで、選挙に勝ったときにはインドの楽しいダンス音楽を流して喜びを分かち合ったそうです。
とてもエネルギッシュで、特に若い人たちからたくさんの応援を受けています。彼は自分のことを「民主社会主義者(みんしゅしゃかいしゅぎしゃ)」と呼んでいます。これは少し難しい言葉ですが、簡単に言うと「お金持ちの人から少し多く税金をもらって、それを働く人や生活が苦しい人のために使い、みんなが平等に暮らせる社会を作ろう」という考え方です。
生活が苦しい人に寄り添った約束を掲げた
では、なぜマムダニさんが選ばれたのでしょうか。それは、ニューヨークで暮らす普通の人たちの「生活が苦しい」という悩みに、誰よりも寄り添ったからです。今のニューヨークは、家賃(やちん)や食べ物の値段がとても高く、普通の生活をするのが大変になっています。多くのお家が、家賃を払うのに精いっぱいで、中には住む場所を失ってしまう人もいました。
そこでマムダニさんは、みんなが驚くような約束をしました。一つ目は「家賃がこれ以上上がらないようにストップをかける」こと。そして二つ目は「バスの運賃を無料にする」ことです。特にバスが無料になれば、学校へ通う子どもたちや、遠くへ働きに行く人たちがとても助かりますよね。

また、タクシーの運転手さんの借金を減らす手助けをすることや、学校の給食をもっと良くすることも約束しました。この「お金持ちのためではなく、みんなが安心して暮らせる街にする」というメッセージが、多くの人々の心に強く響いたのです。
実は、選挙が始まる前、マムダニさんが勝つと思っていた人は多くありませんでした。ライバルには、元ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモさんという、とても有名で力のある政治家がいたからです。しかし、マムダニさんはあきらめませんでした。ボランティアの人たちと一緒にたくさんの家のドアをノックして話し合い、少しずつ仲間を増やして、最後には大逆転で勝利をつかみました。お金の力ではなく、人々の熱意が勝った瞬間でした。
トランプ氏と考え方が正反対。ニューヨークはどう変わっていく?
これから市長としての仕事が始まりますが、大変なこともあります。それは、アメリカの大統領であるトランプさんとの関係です。トランプ大統領とマムダニ市長は考え方が正反対で、あまり仲が良くありません。
トランプ大統領は外国から来た人たちに厳しい考えを持っていますが、マムダニ市長は「ニューヨークは移民(外国から移り住んだ人)の街であり続ける」と力強く宣言しています。
若いマムダニ市長が、世界一の都市ニューヨークをこれからどう変えていくのか、そしてトランプ大統領とどう向き合っていくのか。まるで映画のような新しい物語が今、始まろうとしています。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
