子どもの泌ぜんそくの原因や対処法、予防法などを小児科医の金井正樹先生にお聞きしました。
目次
はげしくせき込むのは、ぜんそくの症状?
Q : 娘がときどき激しくせき込みます。かぜのような症状はないのですが、せきをするとき、ゼイゼイと音がするのが気になります。
のどから肺へつながる空気の通り道を気管といい、左右の肺へ向けてふたまたに分かれた部分より先を気管支といいます。「小児ぜんそく」とも呼ばれる「気管支ぜんそく」は、気管支に慢性的な炎症が起こり、呼吸が苦しくなる発作を起こす病気です。
気管支ぜんそくの症状
普段は元気ですが、発作が起こると、呼吸するときにゼイゼイ、ヒューヒューと音がし(ぜん)、激しくせき込むこともあります。
気管支ぜんそくの原因は?
子どもの場合、アレルギーが原因であることがほとんどです。アレルギー反応を引き起こす原因物質(アレルゲン)は人によって異なりますが、多く見られるのがハウスダストやダニ、カビなどです。アレルギー性のぜんそくの多くは、小学校中~高学年から症状が改善しはじめ、自然に治ります。
どんなときに発作が起こる?
アレルギーが原因の場合、アレルゲンが体内に入ることで発作が起こります。急激な気温の変化や空気の乾燥といった刺激やストレスなどが発作のきっかけになることもあります。
発作が起きたらどうすればいい?
上体を起こし、抱いたり壁によりかからせたりして体を支えます。ぜん鳴が激しかったり呼吸が苦しそうだったりする場合は、すぐに病院へ。小さな子どもは、体調を言葉でうまく伝えることができません。重度の発作は命に関わることもあるので、不安を感じたときは救急車を呼んでも構いません。
どんな治療をするの?
治療には、気管支の炎症を抑える吸入薬や、アレルギー反応を抑える飲み薬が使われます。吸入薬にはステロイドが含まれるものがありますが、気管支だけに作用し、吸入量もとても少ないため、飲み薬のように全身に影響を及ぼすことはありません。副作用を過剰に心配せず、医師の指示に従って正しく薬を使ってください。
家庭で気をつけることは?
症状の改善には、発作を防ぐことがいちばんです。発作によって気管支の炎症が悪化すると刺激に敏感になり、さらに発作を起こしやすくなってしまうからです。アレルギー性の場合は、アレルゲンとの接触を避けること。ハウスダストなどがアレルゲンの場合は、掃除や換気、布団の手入れをていねいに行うようにします。また、気温が急激に3度以上下がると発作が起こりやすいことがわかっています。季節の変わりめには、室温調節や服装に気を配ることも大切です。乾燥した空気も気管支を刺激するので、加湿器やマスクなども上手に使いましょう。
せきが長引くのは、気管支ぜんそくのせい?
かぜの後などにせきが長引く症状は、「せきぜんそく」「ぜんそく性気管支炎」(※)などと呼ばれることがあります。せきは出てもぜん鳴は見られないのが「せきぜんそく」、ぜんそくのようなぜん鳴が見られ、吸入薬による治療が必要なことがあるのが「ぜんそく性気管支炎」といわれることが多いようです。どちらも正しい治療をすれば慢性化することはありません。
※どちらも正式な病名ではありません。
記事監修
東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。
2019年10月号『めばえ』 構成/野口久美子 イラスト/小泉直子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。