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「マチカドこども大学®」が目指す、地域を舞台にした学び
「マチカドこども大学®」は、小田急不動産株式会社と多摩大学が連携し、2023年にスタートした取り組みです。大学教授や大学生、地域で活躍する大人たちが講師となり、学校や塾ではなかなか学べないテーマを、体験を通して学ぶ機会を提供しています。
「マチカドこども大学®」は、どのような思いから生まれたのか、小田急不動産の菊地友佳さんと、事業全体を統括している多摩大学准教授の樋笠尭士先生に、取り組みが始まった背景や地域だからこそ実現できる学びについて伺いました。

地域交流拠点から生まれた、新しい学びの場
菊地さん:「マチカドこども大学®」を開催している小田急多摩線栗平駅前の「CAFE & SPACE L.D.K.」は、もともと小田急不動産の事業所だった場所を、地域の方々が気軽に集える交流拠点としてリニューアルしました。地域活動を続ける中で多摩大学からお声がけいただき、「学び」をテーマに一緒に取り組めないかと考えたことが、「マチカドこども大学®」の始まりです。
地域で学ぶことは、この講座だけで終わるものではありません。例えば、海洋環境学の講座をきっかけに実際に海岸清掃へ参加したり、地域のイベントや子ども食堂などの活動に参加したりする子どもたちもいます。地域だからこそ、学んだことを実際の行動につなげやすいことも、この取り組みの大きな魅力だと感じています。
学校でも塾でも学べない学びを届けたい

樋笠先生:「マチカドこども大学®」では、学校でも塾でも習えないようなことを学べる場にしたいと考えました。
参考にしたのは、ヨーロッパで始まった「子ども大学」です。とくにドイツでは、進路の選択を迫られるのが10歳と早く、大学に行くのか、職業訓練校に行くのかを決めるというので、それより前に自分の興味関心を養っておかないといけない。そこで、小学校低学年向けに大学というものを体験できる場をつくっているんですね。
その「子ども大学」をモデルにしながら、日本で重視されている探究学習や地域とのつながりを取り入れたプログラムをつくっています。
様々なテーマで知的好奇心を刺激する講座は、ご家庭でも話したくなったり、もっと調べてみたくなったりする内容で、子どもたちが自ら疑問を解決していくスタイルができればな、と。

菊地さん:お子さんたちは大体、面白そうだなと思う講座があって、それを目当てに入学してきます。でも何回か講座を受けるとどの講座も面白いというのが分かってくるので、親御さんに「次はいつあるの? ちゃんと予約してね」と、毎回楽しみにしてきてくれているようです。
樋笠先生:とくに人気だったのは「防災学」の講座。すごろく形式で災害時に必要な知識を学べる内容で、例えば「地震」のマスに止まる前に「耐震」のカードを手に入れると地震を防げるんですが、そのカードを手に入れるためには防災クイズに正解する必要がある。クイズは小学1年生にはかなり難しいのですが、大学生のお兄さん・お姉さんが間に入って分かりやすく説明してくれるので、意外と何とかなるんです。
「犯罪捜査学」の講座も評価が高かったですね。事件の証拠が部屋中に転がっていて、証人役の大学生に話を聞きに行って適切な質問をするとアリバイが割り出せる。調査シートを書いて犯人を追い詰めていくなかで、被疑者の権利などを学ぼうという内容です。後ろで大人たちも必死に推理していました(笑)。

大学教授や大学生と学ぶ!「地域活性化学」の講座をレポート
取材に伺った日のテーマは「地域活性化学」。奥多摩の自然や産業について学びながら、地域の魅力や課題について考え、最後は奥多摩産の木材を使ったまな板づくりにも挑戦しました。
今回の講座を担当したのは、多摩大学 経営情報学部の松本祐一教授とゼミ生のみなさん。松本ゼミでは地域活性化をテーマに、奥多摩町でカフェを運営したり、地域資源を生かした商品開発に取り組んだりするなど、実際の地域課題に向き合いながら活動しています。今回は、そうした活動で得た経験を生かし、子どもたちにも地域の魅力を伝える講座が行われました。

クイズを通して奥多摩の魅力を知ろう!
授業は、「町を元気にするにはどうすればよいのか」をテーマに、奥多摩町に関する三択クイズからスタート。「奥多摩町の人口は?」「町の約9割を占めているものは?」「奥多摩町にはコンビニエンスストアが何店舗ある?」などの問題が出されると、子どもたちは元気よく手を挙げて答えていました。
小学校が2校しかないことや、スーパーがなく、コンビニや病院がそれぞれ1か所しかないことが紹介されると、会場からは「えー!」「少ない!」と驚きの声も。クイズを通して、奥多摩町の豊かな自然や地域の特徴だけでなく、地域が抱える課題についても楽しみながら学んでいました。
その後は、「地域を元気にするためには仕事が必要であること」や、「仕事が生まれることで地域が活性化する理由」について学び、「地域を元気にするにはどうしたらいいだろう?」というテーマについて考えました。
奥多摩産の木で世界に一つだけのまな板づくり

授業の後半は、奥多摩産の木材を使ったまな板づくりに挑戦。子どもたちは紙やすりで角を丸く削り、木の香りや手触りを感じながら、思い思いに仕上げていきます。
各テーブルでは大学生が「もう少し削ると使いやすくなるよ」などと声をかけながらサポート。子どもたちは真剣な表情で作業に取り組み、世界に一つだけのまな板を完成させました。
完成したまな板を手にすると、「早く家で使いたい!」「自分だけのまな板ができた!」と笑顔を見せる子どもたち。地域の木材に実際に触れることで、奥多摩をより身近に感じられる体験となりました。

松本先生:小学1年生から6年生まで幅広い学年の子どもたちが参加するため、みんなが理解しやすく、楽しみながら学べる内容をゼミ生と一緒に考えました。実際に木に触れながら学べるよう、奥多摩産の木材を使ったまな板づくりを企画しました。まな板なら家でも使えるので、授業が終わった後も奥多摩のことを思い出してもらえたらうれしいですね。
授業では、子どもたちが夢中になって作業に取り組む姿がとても印象的でした。今回の体験をきっかけに、「奥多摩へ行ってみたい」「もっと知りたい」という気持ちにつながってくれたらと思います。
大学生も授業づくりに参加! 子どもも大学生も成長する学びの場
「マチカドこども大学®」では、大学生は単なる授業中のサポート役ではありません。授業内容の企画から携わり、子どもたちに分かりやすく伝える方法を考えながら、一緒に学びの場をつくっています。

樋笠先生:「マチカドこども大学®」では、大学教授だけでなく大学生も講座づくりや運営に参加しています。年齢の近い大学生が子どもたちの間に入ることで、難しい内容も子どもたちの目線で分かりやすく伝えられますし、子どもたちも安心して質問したり、自分の考えを話したりしやすくなります。
内容も大学生と一緒に考えています。「小学生には難しい言葉は何か」「どう言い換えれば伝わるか」を話し合いながら、子どもたちに伝わる表現を工夫しています。
大学生にとっても、「相手に伝わる伝え方」を考えることは貴重な学びです。地域で活動する経験を積みながら、自分自身も成長していくことができます。
そして、子どもたちには地域への興味や関心を育み、将来は学ぶ側ではなく、教える側として地域に戻ってきてくれたらうれしいですね。そんな学びの循環が生まれることも、「マチカドこども大学®」がめざしていることの一つです。
「学校でも自分の意見を言えるようになった」参加した親子が感じた子どもの成長
「マチカドこども大学®」には、毎年継続して参加している親子もいます。小学3年生から参加している男の子のお母さんは、ここでの学びが学校生活にも良い影響を与えていると話します。

参加した保護者:小学3年生の頃に参加し始めたときは、周りの子が元気に手を挙げていても、うちの子はずっと様子を見ているタイプでした。
でも、「マチカドこども大学®」の先生方は、どんな意見にも「そういう考え方もあるね」と受け止めてくださるんです。間違いを否定することなく、一人ひとりの考えを認めてくださるので、「1回だけでも手を挙げてみよう」と声をかけていました。
続けて参加するうちに、自分から手を挙げて意見を言えるようになり、成長を感じました。今は小学6年生になりましたが、学校のグループワークでも自分の考えを話せるようになっています。ここで積み重ねてきた経験が、学校での学びにも生きていると感じています。
今日の授業も、奥多摩の木に実際に触れながら地域について考えることができ、体験を通して学べる、とても良い授業だったと思います。
参加したお子さん:楽しかったです。まな板の角を丸く削りました。奥多摩に行ってみたくなりました。
地域とともに育む学び。広がる「マチカドこども大学®」の未来
地域を舞台にした学びを通して、子どもたちの探究心を育んできた「マチカドこども大学®」。今後は、地域や学校との連携をさらに深めながら、より多くの子どもたちへ学びの機会を届けていくことを目指しています。

菊地さん:地域には、子どもたちの「知りたい」「やってみたい」という気持ちを引き出してくれる魅力がたくさんあります。これからも地域の企業や大学、様々な団体と連携しながら、子どもたちが多様な学びに出合える機会をつくっていきたいと考えています。
樋笠先生:これまで「マチカドこども大学®」で積み重ねてきた経験を、小学校の先生方にも共有し、学校教育にも生かしていただけたらと思っています。また、それぞれの地域の特色を生かした「子ども大学」が全国に広がり、地域全体で子どもたちを育てる環境が増えていくことを期待しています。
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地域には、その土地ならではの魅力や学びがたくさんあります。「マチカドこども大学®」では、大学教授や大学生、地域で活躍する人たちが一緒になり、町ぐるみで子どもたちの探究心を育んでいました。
こうした地域ならではの学びが各地に広がっていけば、子どもたちが自分の住む地域に興味を持ち、新しいことに挑戦するきっかけが増えていくはず。「自分が住む地域にも『マチカドこども大学®』があればいいのに…!」と願わずにはいられませんでした。この取り組みが全国に広がることを、私たちも期待したいですね。
【マチカドこども大学®】
対象:小学校1~6年生
応援金:年間5,000円 (2025年度は21講座開催)
会場:「CAFE & SPACE L.D.K.」
住所:神奈川県川崎市麻生区栗平2-1-6小田急マルシェ栗平2F(小田急多摩線「栗平」駅 北口徒歩1分)
公式サイトは>>こちら
今後の予定:8月23日(日)11:00~12:00/13:00~14:00「ポーズを取って盛り上がろう~筋肉AI学~」
9月19日(土)9:30~12:00「畑への社会科見学と体験!~農学~」
9月26日(土)10:30~12:00「住まいの未来を考えよう~住まい学~」
この記事を書いたのは
美容師として働いた後、子育てをきっかけにWEBライターとして活動をスタート。現在は親子向けWEBメディアを中心に、子育て・教育・ライフスタイル分野の記事を執筆している。親子イベントや商品レビュー、専門家インタビューのほか、映画や配信作品のレビュー記事も手がける。
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