抱きぐせに人見知り…【0歳ママ】の悩みに今井和子先生が答えます!

乳児から幼児前期の子どもを抱えるお母さんは、“悩み”や“疑問”をたくさん抱えていますよね。そこで、二十数年間、公立保育園で保育者として勤務し乳幼児の育ちに詳しい今井和子先生が、自分の経験をもとにQ&A方式で回答してくれました。その例を紹介します。子育てに役立ててください。

 

0~5ヶ月ごろに多い質問

Q : “うつ伏せ姿勢で過ごせるようになるとハイハイができるようになるので家でもうつ伏せ姿勢にしてあげてください”と保育園からいわれていますが、嫌がって泣くんです(3ヶ月)

A :機嫌のいいときにうつ伏せ姿勢にして一緒に遊んであげましょう

うつ伏せ姿勢にすると、まだ頭部が重い赤ちゃんは疲れてしまうので嫌がります。でも、意図的にうつ伏せ姿勢の時間をつくることで、赤ちゃんの運動機能が発達することも確か。園でいわれることにも一理あります。そこで、機嫌のいいときに大人のお腹の上にのせたり、大人も一緒にうつ伏せ姿勢になって遊ぶなど、スキンシップをとりながら行ってみてはどうでしょう。ただし、フワフワの敷物の上で行うのはNG。かえって頭を伏せたときに危険を伴うので、注意しましょう。

お腹や足の上に子どもをのせ、顔を見合わせて声をかけたり、歌をうたったりしながらゆっくり体を揺らす。

スポーツタオルなどをクルクルと丸めたものを赤ちゃんの胸にあてがうと、楽にうつ伏せ姿勢ができる。うつ伏せ姿勢をしているときは、必ず大人が近くで見守りましょう。

 

Q : うちの子はなかなか笑ってくれません。どうしてでしょうか?(4ヶ月)

A : 大人の笑いにつられるものなので、スキンシップなどして一緒に楽しみ、笑わすようにしましょう

この時期(34か月)の笑いは、大人の笑顔に触発されたものなので、お母さんがよくあやすことで、赤ちゃんの笑いを引き出せます。くすぐり遊びやおはしゃぎ遊びをたくさんして、親子が一緒に楽しいときをもちましょう。

「いないいない」といいながら顔を隠すので、赤ちゃんはいっとき不安になるが、すぐ「ばあ」と、笑顔を見せることで大喜び!

 

Q : 夕方になると顔を真っ赤にして泣き続け、抱っこしてもあやしても泣きやみません。(5ヶ月)

Q :3日前から夜泣きがひどくなりました。毎晩続くのかと思うとつらいです。(3ヶ月)

A : 昼と夜のリズムができ、知恵がついてきたです

夕方になると理由もなく(病気でも空腹でもなく、おむつがぬれているわけでもない)泣く「夕暮れ泣き」も、辛いことの筆頭に挙げられる「夜泣き」も、原因は明らかになっていません。

夜泣きの場合は、昼と夜の区別がついて、眠りのパターンが大人に近くなるため、眠りの浅いときによく泣くようです。日中、興奮して神経が高ぶっていたり、日中の運動不足(5~6か月に多い)、かまいすぎなどの要因が加わり、夜泣きがひどくなる場合もあります。また、かんの強い子は、こうしてほしい、という欲求が強く、それを言葉にできないため、夜泣きにつながる子も多いよう。

どちらにしろ、夕暮れ泣きも夜泣きも、いっときのことです。知恵がついてきた証拠と、軽い気持ちで受け止めるようにしましょう。泣いたらお腹をやさしくトントンしてあげたり、抱っこして声かけしたり、部屋の中を歩いたりなどと、泣きやむ対処法を見つけられるといいですね。気温が高くなると夜泣きも増えるようなので、そんなときは忘れずに水分補給を。

こんな泣き方には要注意

いつもと違う泣き方や、抱いてあやしても泣きやまないときには、落ち着いて様子を見ましょう。「ワーッ」と激しく泣いては泣きやむ、というのをくり返したり、泣き方は弱いけれどグズグズが続いたりする場合は、病院に相談しましょう。

6~8ヶ月ごろごろに多い質問

Q : 授乳後、しばらくすると吐いてしまうので心配です(6ヶ月)

A:吐乳のほとんどは、病気の心配はありません

吐乳はおっぱいやミルクを飲むときに、空気を一緒に飲み込んでしまったために起こります。母乳の場合は赤ちゃんの口がおっぱいにぴったり吸いつくので、空気を飲み込むことはほとんどないのですが、寝かせたまま哺乳瓶で飲ませると、空気もたくさん飲み込んでしまうので、ちゃんと抱っこして飲ませ、必ずゲップをさせましょう。飲みすぎの場合は、口からダラダラ戻したり、ブッと吐き出すことも。熱もなく、体重も減っていないようなら、心配はいりません。

 

Q : 泣くたびに私が抱っこするのを見て、祖母から”抱き癖がつく“といわれます(6ヶ月)

A :赤ちゃんは抱っこしてもらうことで安心するので、できるだけ要求に応えてあげましょう

赤ちゃんが親を慕って目で追い、抱っこを要求したら、できるだけ応えましょう。赤ちゃんは抱っこしてもらうと安心します。親子の情を深めるにも肝心なこと。

ただ、赤ちゃんが泣くのには何か訴えたい理由があります。だから、泣きやませるために抱っこするのではなく、”寂しくなっちゃったの?“ ”お腹すいたの?“と声かけし、なんで泣いたかをわかってあげることが大切です。ただ泣きやませるためにだけ抱っこすると、泣けば抱っこしてもらえることがわかり、それを求めて泣くようになります。これが抱き癖へとつながります。

だからといって、甘えん坊やわがままになる、といった、悪い影響は一切ないといわれているので、安心してください。親が用事があって(家事などに追われ)どうしても抱っこできないときは、おんぶでもいいですね。赤ちゃんの泣きに必ずしもつきあえないときもあります。そんなときはある程度泣かせることも仕方がありません。その代わり、手があいたら必ずスキンシップをとることを忘れずに!

 

Q : 普通は人見知りをするみたいですが、うちの子は8か月になってもまだしません。何か発達で問題があるのでしょうか(8ヶ月)

A : 人見知りしなくても、自分の大好きな人がわかっていれば大丈夫

人見知りは、親しい大人とそうでない大人を区別できる知恵がついてきたことを意味します。ただし、もともと社交的な性格だったり、大勢の家族に囲まれ、いろいろな人に抱っこされていたりすると、人見知りしない子も。たとえしなくても、お母さんが来た途端、抱っこと要求するなど、自分の大好きな人がわかっていれば、問題ありません。

9~11ヶ月ごろに多い質問

Q : ハイハイができるようになったら、なんでもさわってなめ回します。汚いのでやめさせるべき?(9ヶ月)

A : なめることで、感覚機能も知能も育つんです

ハイハイができるようになると、いろいろなところに移動できるので、好奇心も旺盛になります。見るものすべてが赤ちゃんにとっては新鮮で、 ”これは何だろう?“と手に取って、真っ先に口に持っていきます。なぜなら、この時期の赤ちゃんにとって、口の中がいちばん大事な認知機能だからです。舌でなめてザラザラした感触や冷たさ、温かさなど、ものを認知していきます。子ども本来の好奇心や探索心を育てるためにも、”見て、さわって、なめる“という行為を十分にさせましょう。これは、自分でつかんで食べることへの喜びにもつながっていきます。

また、赤ちゃんは、取りあげられることをいちばん嫌がり、探索欲求を損なうことになります。誤飲事故を招くような、小さなボタンやクリップ、口に入れたくない汚いもの、危ないものなどは、最初から置いておかないように注意しましょう。

 

Q : ハイハイをする前につかまり立ちするようになりました。このまま立ち上がって歩くようになるのはまずいでしょうか?(10ヶ月)

A:無理してハイハイさせる必要はありませんが、ハイハイすることの効用はあります

最近は住宅事情で昔とは環境が変わり、部屋が狭くてハイハイできるスペースがなかったり、つかまり立ちできるものも多いので、ハイハイしない子が増えてきているようです。ハイハイしないからといって、足腰が弱くなることはないので、立ち上がろうとするのを無理にやめさせる必要はありません。

ただし、ハイハイがもたらす効用はあります。まず、自由に移動できるようになることで、探索の喜びを得られます。世界が広がり、認知発達にいい影響を与えます。次に、大好きな人のそばに自分で行けるので、愛着行動が満たされます。そして、手足の筋肉の交互運動は、脳を発達させるといわれています。歩けるようになっても、四つん這い運動をすることで脳の発達が促されるので、四つん這いで追いかけっこをしたり、トンネルを作ってくぐらせてあそばせたりと、ハイハイを促す遊びをたくさんするといいでしょう。

 

Q : 真っ赤な顔をしてう~んと力んでいますが、便が硬くてなかなか出ません。苦しそうにしているのを見るのがつらいです(11ヶ月)

A : 繊維質の多い食べ物と適度な運動が大切

まずは便秘の原因を考えてみます。日ごろから繊維質を多く含む野菜や果物を食べているか、水分を十分にとっているか、運動不足からも便秘になるので、よく動いているかなどが考えられます。自分の力で排便するのがいちばん大切なことなので、おへそのまわりをマッサージしたり、寝る前に根気よくさすったりしましょう。あまりに硬い便で血が出てしまうような場合は、綿棒にオリーブオイルをつけて、肛門のまわりをやさしくマッサージし、出しやすくしてあげるのも手です。

記事監修

今井 和子 先生

「子どもとことば研究会」代表。二十数年間、公立保育園で保育者として勤務。その後、東京成徳大学教授、立教女学院短期大学教授などを歴任。現在は全国の幼稚園、保育園対象の研修会で講演などを行っている。

 

『0・1・2歳の保育』2016年夏 構成/大石裕美 イラスト/奥まほみ

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