熊本地震に台湾が支援を表明
2026年7月28日に発生した熊本地震に際して、台湾がいち早く世界に先駆けて支援を表明したニュースは、多くの日本人の胸を熱くさせました。日本で大きな災害が起きるたびに、台湾はまるで自分のことのように心を痛め、政府から民間まで迅速かつ手厚い支援を届けてくれます。
なぜ台湾はこれほどまでに一貫して日本に温かい手を差し伸べ続けるのでしょうか。その背景には、私たちが想像する以上に深く、長い歴史の積み重ねがあります。
日本統治時代を恨むのではなく、良い面は前向きに捉えている
その背景を紐解く上で欠かせないのが、台湾の人々が大切にしてきた互助の精神と、激動の歴史の変遷をたくましく生き抜いてきた柔軟さです。
台湾は長年の歩みの中で、さまざまな政権交代や激しい自然災害、そして国際社会の中での特殊で孤独な立場を幾度も経験してきました。そうした幾多の試練を乗り越える中で、台湾の人々は「自分たちが困難なときに手を差し伸べてくれた相手の恩を決して忘れない」という、義理堅く温かい文化を社会全体でしっかりと育んできました。

例えば、かつての日本統治時代に築かれた医療体制やインフラの整備といった歴史的足跡も、単なる古い政治の記録として片付けられることはありません。それは、自分たちの生活基盤や衛生環境を整えてくれた先人たちの誠実な仕事の記憶として、今なお大切に語り継がれています。
過去の出来事をただ恨むのではなく、暮らしに役立った確かな知恵として前向きに受け入れるという、台湾ならではの寛大な受容力が、長年にわたって温かな親日的な土壌を静かに耕してきたのです。
東日本大震災では台湾から多くの義援金が寄せられた
そして、その両者の絆を現代において決定的なものへと昇華させたのが、2011年3月に起きた東日本大震災でした。日本が未曾有の国難に見舞われたとき、台湾の政府や民間から寄せられた義援金の総額は世界で最も多く、台湾の人々の懸命な救済への情熱は計り知れないものがありました。
日本側が心からの深い感謝とリスペクトを惜しみなく返し続けたことで、両者の関係は単なる支援の枠を超え、お互いの痛みに寄り添い合う深い信頼で結ばれたパートナーシップへと大きく変わり、今日まで受け継がれています。

さらに、台湾の親日性を支えているのは、何も歴史や災害時における記憶だけにとどまりません。現在の台湾の街並みや人々の暮らしの中には、日本のポップカルチャーや細やかな気配り、さらには規律を重んじる美しい意識が、日常の一部としてごく自然に溶け込んでいます。
それらは他国から強制されたものでは決してなく、自分たちが心から心地よいと感じる日本の文化やスタイルを主体的に選び取り、愛し続けてきた結果にほかなりません。
温かなつながりが受け継がれている
こうした人と人との温かいつながりは、政治や外交の枠組みを超え、未来を担う世代へと着実に受け継がれています。観光や留学を通じた日常的な往来はもちろんのこと、困難に直面するたびに助け合う姿は、両者の間に親友のような確かな信頼関係を築き上げました。
利害関係を超えたこの純粋な絆こそが、世界に誇る最高のパートナーシップであり、これからも変わることなく永遠に紡がれ続けていくはずです。
この記事を書いたのは
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
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