目次
いちじくってどんな果物?
いちじくの花って?
いちじくは漢字で「無花果」と書きます。花が咲かないように見えることからついた名前ですが、実は花がないわけではありません。私たちが食べている実の内側、あのつぶつぶとした部分こそが花。
いちじくは、実の中に花を咲かせる、ちょっと不思議な果物なのです。

いちじくにも、実は種類が1000種類ほどある!?
いちじくの品種は、世界に1000種類ほどあるとも言われています。日本で栽培されているいちじくの約8割を占めるのが「桝井(ますい)ドーフィン」という品種。スーパーで見かけるいちじくも、そのほとんどがこの桝井ドーフィンです。実が大きく、たくさん収穫できて、育てやすいことから、日本のいちじくの代表的な品種として広まってきました。
品種によって、見た目も味も異なってくるので、昨今は希少品種も注目を集め始めています。

いちじくの旬は3ヶ月間!
もうひとつの大きな特徴が、旬の長さです。多くの果樹は、一本の木にいっせいに実がつき、ほぼ同じ時期に熟して、短い旬を迎えます。
ところがいちじくは、枝が伸びながら葉の付け根ごとに実をつけていき、枝の下の方から順番に熟していきます。そのため、8月から10月ごろまで、少しずつ長く収穫が続くのです。ひとつの品種の旬が3ヶ月近く続くのは、実はとても珍しいことなんです。

直売とスーパーは、「完熟」度が違う!
スーパーで買ったいちじくが「甘くない」「味がしない」「青臭い」と感じた経験はありませんか?
スーパーに並ぶいちじくは、市場を通して運ばれ、店頭に並んで、お客さんの手に届くまでに数日かかります。その間に傷んでしまわないよう、どうしても完熟の手前、やや若いうちに収穫されたものがほとんどです。
いちじくは追熟しないため、樹上でどこまで完熟させられるか。この数日で、いちじくのおいしさはぐっと変わるのです。一方で、完熟したいちじくは、皮が薄く、指で押しただけで傷がつくほどデリケート。長期間の輸送に向かなくなります。そのため、すぐに届けることができる、農園の直売や産地直送だけでしか味わえない「完熟」があるのです。
とろりとした食感と、蜜のような濃い甘さの完熟いちじくを初めて食べて「いちじくってこんなにおいしかったんだ!」と驚く人が多いのは、こうした理由からです。

直売所にいけないときには、オンラインでお取り寄せするのがおすすめです。筆者も、お取り寄せした完熟いちじくに感動して、思わず産地まで足を運びました。
真夜中の収穫に同行して知った、完熟へのこだわり
今年の夏、大阪羽曳野のいちじく農家・藤井農園さんの収穫に同行させてもらいました。集合したのは、まだ真っ暗な真夜中2時。園主の藤井さんはすでに他の畑の収穫をひと通り終えたところでした。月明かりに照らされ、静まった空気でよりいちじくの香りが濃厚に漂ういちじく畑の中で、ヘッドライトの明かりを頼りに、園主は、ひとつひとつ実の状態を確かめながら収穫していきます。

なぜ、わざわざ真夜中に収穫するのか。藤井さんによると、いちじくは夜の間に養分を実に蓄えるのだそうです。そして、太陽の光を浴びて実が熱を帯びる前に収穫することで、そのおいしさを閉じ込め、やわらかい完熟の実が少しでも長く、良い状態を保つことができるそうです。
こうして夜明け前に収穫したいちじくを、その日のうちに厳選して、直売所に並べたり、朝の便で全国へ配送されたりします。

「完熟」と一言でいっても、どこまで木の上で熟させるかは、農家さんによって考え方がさまざまです。熟させればさせるほどおいしくなる一方で、傷みやすく、廃棄のリスクも高くなるからです。藤井さんは、リスクを負ってでも、「完熟のおいしさ」にこだわり続けています。
完熟いちじくがおいしいのは、単に「新鮮だから」だけではない、こうした農家さんのこだわりと手間、そして覚悟があるのです。
これを読んでくださっている皆さんには、ぜひこの藤井農園の「完熟いちじく」を味わっていただきたいのですが、スーパーのいちじくを知っているとその感動もひとしお。
まずは、少しでも、スーパーでおいしいいちじくに出合っていただくために、選ぶときのポイントをお伝えします。
おいしいいちじくの選び方
1. お尻が少し割れている◎
いちじくのお尻は、熟してくると、少しだけ開いてきます。スーパーで選ぶなら、目がきゅっと閉じているものより、ほんの少し開きかけているものを選ぶのがおすすめです。

2. 全体的に色づいているか
皮の赤紫色が、お尻から軸の近くまでむらなく色づいているものが食べごろのサイン。緑色が強く残っているものは、まだ若い可能性があります。(注:白いちじくは熟しても緑色です)
3. ふっくらとした丸み、ほどよくやわらかい
全体がふっくらと丸みを帯び、持ったときに重みを感じるもの、そして軽く触れたときに少しやわらかさを感じるものが◎。皮にハリがあり、艶のあるものを選びましょう。
農家直伝、いちじくのおすすめの食べ方
完熟いちじくは、まずそのまま
完熟いちじくが手に入ったときには、ぜひそのままで。よく洗って、軽く冷やして、皮ごとかぶりつくのがいちばんです。完熟したものは皮もやわらかく、気にならずに食べられます。
そのままで、天然のジャム! 生ハムやチーズと合わせても◎

完熟いちじくは、そのままパンやクラッカー、スコーンに塗っても◎。クリームチーズや生ハムを合わせると、いちじくの甘さが引き立って、ちょっとしたおもてなしの一皿に。
少し若めのいちじくは、加熱したり、サラダにしても
若いいちじくは、皮が少し硬いので、皮をむいた方が食べやすいかもしれません。特に、いちじくの軸や皮から出る白い乳液には、たんぱく質を分解する成分が含まれており、口のまわりや手がかゆくなることがあります。小さなお子さんには皮をむいてあげると安心です。
甘さ控えめのいちじくの場合には、コンポートやジャムなど、加熱すると甘みと香りがぐっと引き出され、若さが気にならなくなります。
デザートではなく、サラダにしていただくのも、おすすめです。

長雨との戦い。今年のいちじく事情
いちじくは、実は雨がとても苦手な果物です。実が雨水を多く含むことで、割れたり、中から傷んだりしてしまいます。雨が続くと、せっかく熟した実を収穫できずに廃棄するしかない、ということも少なくありません。

今年の秋は、東京では連続降水日数が観測史上最長記録を更新し続けるほど、全国的に長雨が続きました。藤井農園のある大阪も、例年の4倍の雨量となりました。
本来なら収穫のピークである9月に、十分な量のいちじくを出荷できなかった農家さんも多く、いちじく農家さんの悲鳴が聞こえてきます。
それでも、もし、数少ないいちじくに出合えた方は、この長雨という不遇の環境を乗り越えたいちじくを、目一杯楽しんでいただけたらと思います。
本来なら旬のいちじく、自然の恵みに感謝
今年は長雨の影響でいちじくの季節も、例年よりはやく終わりに近づいています。
スーパーに行けば、当たり前のように並んでいる果物や野菜。でも、そのひとつひとつは、自然の中で育ち、農家さんの手で大切に収穫されたものです。近年、さまざまな自然環境の変化が言われるなか、今年のいちじくもまた、長雨の影響を大きく受けました。雨に弱く、やわらかく、日持ちしない。そんないちじくを完熟の状態で届けることの難しさや、農家さんの苦労に、この記事を通して少しでも想いを寄せていただくきっかけになればうれしいです。
もし今年、まだいちじくに出合えたら、ぜひ目いっぱい味わってください! そして来年は、穏やかで安定した天気が続き、たくさんのいちじくが実ること、そして「完熟いちじく」のおいしさが届くことを願っています。次にいちじくに出会ったときには、今日ご紹介した選び方や食べ方を、ぜひ思い出して活用してみてくださいね。
今回訪れたのは:藤井農園
大阪府羽曳野市で60年続く、完熟いちじく農家。お客様に笑顔を届けるために、リスクを背負ってでも、完熟のおいしさにこだわり続けています。そのおいしさと想いにより、藤井農園のいちじくは、有名ホテルやレストランにも採用されています。
オンラインで購入できる完熟いちじくは、今年の分は早期完売となっておりますが、来年の分もお早めにチェックがおすすめです。気になった方は、ぜひ藤井農園さんの最新情報をチェックしてみてください!

完熟いちじくのおいしさを全国に届けています
藤井農園さんのInstagramはこちら
次回も、旬のフルーツの選び方と、そのアレンジをご紹介します!
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