流行する時期が早まっているインフルエンザ。ワクチンを受けるタイミングも難しく、迷ってしまいます。
ワクチン接種の時期やかかったときの治療法を小児科医の金井正樹先生に伺いました。
目次
インフルエンザウイルスのワクチンは、子どもも毎年受けたほうがいいのですか?
感染&重症化を防ぐためワクチンを接種しましょう
インフルエンザのウイルスは秋〜冬にかけてもっとも活発になります。感染力が強いため、かかってからの対策より、ひとりひとりの予防が重要です。
ワクチンは接種するべき?
生後6カ月から受けられるワクチンは、インフルエンザの予防法としてもっとも確実な方法です。予防効果は100%ではありませんが、接種しておくことで、感染した場合にも重症化を防ぐことができます。子どもの場合、インフルエンザに伴って、まれに「インフルエンザ脳症」を起こすことがあります。ワクチンは、こうした深刻な合併症を防ぐためにも有効です。
ワクチンはいつ受ける?
インフルエンザのワクチンは、通常10月1日から接種可能です。子どもの場合は、2回接種が基本。初回から2週間たてば2回めが可能ですが、予防効果がもっとも高いのは、初回から4週間あけて2回めを接種することです。
予防効果は、2回めを接種した2週間後から5カ月間程度と考えられています。
インフルエンザの流行は12〜2月ごろに本格化することが多いので、初回は10月中旬、2回目は11月中旬を目安にするとよいでしょう。予防効果が5カ月程度であることと、毎年そのシーズンに流行が見込まれるウイルスを使用してワクチンが作られることから、毎年接種する必要があります。
ワクチン以外に有効な予防法は?
インフルエンザは、ウイルスを含むだ液などが飛び散ることで人から人へうつります。だ液などに触れた手を介してうつることも多いので、家庭や園では手洗いとうがいをしっかり行います。免疫力の低下を防ぐため、規則正しい生活で体力を保ち、インフルエンザが流行している時期は、できるだけ人ごみを避けましょう。
インフルエンザの症状は?
38度以上の高熱に加え、のどの痛み、鼻水など、風邪のような症状が現れます。さらに、関節や筋肉の痛みが起こることもあります。流行期に高熱が出たら、インフルエンザを疑いましょう。
病院での治療法は?
病院では、綿棒で鼻の奥の粘膜をとる検査を行います。検査の結果は15分ほどでわかり、インフルエンザだった場合は、抗ウイルス薬が処方されます。ただし、症状や受診のタイミング、年齢によっては、抗ウイルス薬を使わず、対症療法を行うこともあります。
抗ウイルス薬にはいくつかの種類があり、めばえっ子世代なら、飲み薬が出されることが多いでしょう(5歳以上なら吸入薬が出されることもある)。抗ウイルス薬には、一定の期間飲み続けるもののほか、服用が1回ですむものもあります。いずれの場合も、医師の指示に従って正しく服用することが大切です。
ホームケアの注意点は?
家庭では安静にし、高熱による脱水を防ぐため、こまめに水分をとらせます。服用する薬の種類にかかわらず、子どもの場合、急に走り出す、興奮するなどの異常行動が見られることがあります。最低でも発症から2日間は、注意して様子を見守りましょう。
記事監修
東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。
2019年11月号『めばえ』 構成/野口久美子 イラスト/小泉直子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。