子どもの「はやり目」、症状や原因、目薬での治療について。登園の目安も【小児科医:金井正樹先生監修】

季節を選ばず流行してしまう「はやり目」。感染力が強く充血していないほうの目も感染してしまうことが多く、周りの人へも感染します。一度かかってしまうと、2週間くらいは人にうつす可能性があるため、保育園や幼稚園に登園するためには許可が必要となる厄介な病気。まずは予防が大切とのことですが、いったいどのように対応したらよいのでしょうか。金井正樹先生にお聞きしました。

Q. 子供が通う園で「はやり目」にかかった子がいます。はやり目ってどんな病気? 予防のために気をつけることはありますか?

A .ウイルスによる目の病気。感染者との接触に注意!

黒目の部分を覆う膜を「」、白目の表面からまぶたの裏側をつなげるように覆っている膜を「」と言います。「はやり目」とは「」のことで、結膜炎の症状が強く現れ、角膜にまで広がることがある病気です。「はやり目」と呼ばれるのは感染力が強いためです。

子どもの「はやり目」症状は?

白目とまぶたの裏側が真っ赤に充血する

ウイルスに感染すると、1週間ほどの潜伏期間の後、白目とまぶたの裏の充血が起こります。結膜炎には細菌やアレルギーによって起こるものも多いのですが、その場合は、うっすらと赤くなる程度。でも、ウイルス性の場合は、白目もまぶたの裏側も真っ赤になるほど強い充血が起こるのが特徴です。

かゆみはほとんどありませんが、目の充血に加え、まぶたがはれぼったくなる、涙や目やにの量がふえる、耳の前のリンパ節がはれる、といった症状も見られます。感染力が強いため、最初は片方の目に発症しても、数日のうちにもう片方にも症状が現れることがほとんどです。

「はやり目」は何が原因?

原因はアデノウイルス

流行性角結膜炎は、アデノウイルスに感染することによって起こります。アデノウイルスは「(プール熱)」の原因にもなりますが、流行性角結膜炎を引き起こすものとは、ウイルスの「型」が異なります。

治療法は?

点眼薬での治療が基本

目の充血に気づいたら、すぐに眼科を受診します。流行性角結膜炎と診断されると、点眼薬が処方されます。この薬は、炎症を抑えたり、別の細菌が感染して重症化したりするのを防ぐためのもの。ウイルスの働きを抑える薬はないので、対症療法をしながら治るのを待つことになります。

重傷の場合は通院も

重症だった場合、充血などの症状が治まった後も角膜(黒目)に小さな濁りが残り、くもったような見え方が続くことがあります。時間がたてば自然に消えるものもありますが、放置すると視力の低下につながる場合もあります。点眼薬による治療が必要なこともあるので、必ず通院を続け、医師の指示に従いましょう。

目薬を嫌がる子への対応は?

幼児の場合、目薬をさすのをこわがる子もいます。どうしても嫌がる場合は、寝ているときをねらうとよいでしょう。子供が自然に目をつぶっているときに、目頭に1滴ずつ、薬を落としてみてください。まばたきをすれば、自然に目の中全体に行きわたります。

 

「はやり目」にかかった子どもは登園していいの?

感染の恐れがない、と医師の許可が出るまで、幼稚園などは出席停止です。一般に、発症から2週間ほどは他人にうつす可能性があるとされています。

 

はやり目が家族にうつるのを防ぐには

タオルなどは共用せずこまめに手洗いを

流行性角結膜炎の原因となるウイルスは、接触によって人から人へうつります。目に触れた手を介して広がりやすいので、感染予防のためには、本人も家族も手洗いをこまめに行うことが基本です。

タオルや寝具の共用は避け、使ったものはこまめに洗濯します。涙や目やにはティッシュペーパーで拭き、すぐに捨てましょう。ガーゼなどを使う場合は同じものをくり返し使わず、使い捨てにするか、一度使ったら洗うようにします。お風呂は最後に入るようにし、子どもがよく触れるドアノブなどはアルコール消毒をしておくと、より安心です。

 

 

記事監修

金井正樹|小児科医

東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。


 

イラスト/小泉直子 構成/野口久美子

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