子供のアレルギーを誘発する「住居のアレルゲン」とは?シックハウス症候群の予防対策法も【医師監修】

アレルギー疾患を抑えるための住居のアレルゲン対策

アレルギー疾患を抑えるための住居のアレルゲン対策
アレルギー疾患を抑えるための住居のアレルゲン対策

毎日過ごす自宅に、アレルギー疾患を引き起こす原因が潜んでいるとしたら心配ですね。特に子供は自宅で過ごす時間が長いため、子供の健康を守るためにも住居のアレルゲン対策はマスト。今はアレルギー症状が見られなくても、将来アレルギー疾患を発症することも考えられます。ここからは、アレルゲン別の住居対策について、順にご紹介しましょう。

ハウスダスト対策

ハウスダストは、人が生活をしていればどうしても発生してしまうもの。完全に排除するのは不可能ですが、ハウスダストが発生しやすい場所を把握して、対策することができます。

予防法

ハウスダスト対策は、やはり掃除が基本です。衣類を脱ぎ着するクローゼット周辺や脱衣所、人が行き来する廊下などは、ハウスダストが多く発生しやすくなります。また、カーテンや本棚などもホコリがたまりやすい要注意スポットです。

対処法

ホコリはとても軽いため、人が動くと簡単に空中に舞ってしまいます。そのため夜の間に床に落ちたホコリを、朝掃除するのがいちばんです。また、掃除機をかけると、その動きや排気でホコリを巻き上げることになってしまうため、最初にフローリングワイパーや雑巾でホコリをしっかり取り除き、その後に掃除機を使うようにしましょう

ダニ対策

ダニ対策は、ダニを取り除いて増やさないことと、糞や死骸を取り除くことが大切です。そして、ダニが多くいる場所として注意したいのが、寝具類。適度な温度と湿度があり、さらに人のフケや垢といった餌も多いため、ダニにとって絶好の生育環境となります。

予防法

寝具の表面についたダニは、掃除機をかけることで減らすことができます。布団の天日干しではダニは死にませんが、布団乾燥機を使ったりコインランドリーの乾燥機で加熱すると、ダニを死滅させることにつながる可能性があります。加熱処理後に掃除機をかけることで、残った糞や死骸を取り除くことができます。

対処法

布団からダニが空中に舞い、床にも落ちています。そのため寝室の床の掃除機がけも有効です。また自宅のソファは布製ではなく革製にする、ぬいぐるみは極力持たせないといったことも心がけましょう。

カビ対策

カビが発生するのは、室内の湿度が高くなることが原因です。

予防法

よく晴れた日などは換気を十分に行い、押し入れやクローゼットなど、換気不足となりやすい場所にも空気を通しましょう。梅雨時など湿度が高くなる季節は、除湿器やエアコンのドライ機能を利用することもおすすめ。また風呂場では、使用後にも十分な時間換気扇をまわして、湿気がこもらないようにしましょう。

対処法

室内のホコリにもカビが生じてしまうため、普段から家の中の掃除をこまめに行うことも大切。また、エアコンのフィルターをこまめに清掃しないとカビが生えてしまい、そのままエアコンを使うと部屋中にカビをまき散らすことになります。

ペット対策

動物アレルギーがあってもペットを飼いたいという子供もいるかもしれません。飼う前に犬アレルギーや猫アレルギーがないか検査することもおすすめ。動物病院ではなく、一般の病院でアレルギー検査を行うことができます。

予防法

ペットのシャンプーやブラッシングを頻繁に行い、ペットの体を清潔に保つようにしましょう。ブラッシングは室内で行うと毛が室内に舞うため、屋外で行うのがベスト。また、寝室にはペットを入れないなど、ペットが行き来できる場所を制限することも有効です。

対処法

部屋の中の換気をよくし、常に掃除をしてきれいな状態をキープしましょう。また、ペットと触れ合った後は手洗いを行うようにしてください。

花粉対策

花粉によってアレルギー症状が引き起こされる場合、花粉症の人の対策法が有効になるでしょう。

予防法

衣類には外の花粉が付着しているため、家の中に花粉を持ち込まないためにも、外出から帰って家に入る前に、髪や衣類の花粉を十分に払い落としましょう。カーペットや寝具などにも花粉が付着してるかもしれませんから、こまめに掃除を行ってください。

対処法

川辺や草原、土手のように雑草などの植物が多く繁殖している場所には、できるだけ近づかないようにしましょう。マスクを着用したり、眼鏡をかけることも、花粉を避けるためにはおすすめです。

高気密・高断熱住宅でのアレルゲン対策

従来の木造住宅は、壁や天井などに若干の隙間が空いているものです。しかし、断熱材や防湿シートなどを使って隙間なく建てられているのが「高気密」の住居です。また断熱材を入れることで、室内の気温を保ちやすいのが「高断熱」の住居です。そんな高気密・高断熱住宅では、換気や温度・湿度調整がポイントとなってくるため、次のような対策を行いましょう。

予防法

改正建築基準法により、現在ではすべての住宅に24時間換気システムを導入することが義務付けられています。高気密・高断熱住宅では、換気システムを利用して換気を行うことで、花粉やホコリなどの有害物質を排気して、室内の空気をきれいに保つことができます。

対処法

高気密・高断熱の住居は、24時間換気システムを導入していることや、結露が起きにくくカビも発生しにくいため、アレルギー症状が緩和されやすいとも言われています。しかし、さまざまなアレルギーの原因を抑えるためには、換気を十分に行い、室内の湿度や温度が上がり過ぎないように調整し、掃除をこまめに行うことが大切です。

乳幼児がいる住環境でのアレルゲン対策

赤ちゃんは抵抗力が弱いため、アレルギーを引き起こす原因はできるだけ排除しておきたいものです。

予防法

乳幼児がいる家庭でも、徹底したいのは掃除。ハウスダストをしっかり除去しておくことが大切です。また、赤ちゃんが一日の大半を過ごす布団についても、掃除機をかけたり洗濯したりして、ダニが増殖しないように注意しましょう。

対処法

赤ちゃんがいる家庭では、音がうるさく排気も気になる掃除機は使うのを躊躇するかもしれません。フローリングワイパーや低騒音の掃除機を利用するといった工夫も行うと良いでしょう。

住居のアレルギー対策は継続することが大切

ここでご紹介したアレルゲン対策は、一時的に行うだけでは意味がありません。継続してこそ初めてアレルゲンの少ない住まい作りができます。そのため、無理はせず負担のない範囲で掃除を継続できるように心がけましょう。

記事監修

和歌山駅前つじもと内科・呼吸器内科アレルギー科 院長
辻本 直貴

杏林大学医学部卒業。日本アレルギー学会専門医、日本呼吸器学会専門医、日本感染症学会専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。
大学病院や総合病院、総合クリニックで臨床経験を積み、令和元年に和歌山市にてクリニックを開業。幼少期にアトピー性皮膚炎や気管支喘息、卵アレルギー、ホコリアレルギー、花粉症等様々なアレルギーを持っていた経験から患者様の苦しさを理解でき、患者様に寄り添った親切で丁寧な診察をしている。
和歌山駅前つじもと内科・呼吸器内科アレルギー科

文・構成/HugKum編集部

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