アレルギーを持つ子供たちや家族にとって、家の中にあるアレルゲンはなるべく排除したいものでしょう。そこでこの記事では、住居に起因するアレルギー疾患にはどのようなものがあるのか、また、ハウスダスト・ダニ・カビ・ペット・花粉・昆虫など、アレルギー症状を誘発する住居のアレルゲンや、シックハウス症候群の原因について、和歌山駅前つじもと内科・呼吸器内科アレルギー科の辻本直貴先生に教えていただきました。
さらに、各アレルゲンに対しての予防法・対処法、高気密・高断熱住宅や乳幼児がいる住環境でのアレルゲン対策法についてもレクチャーいただきましょう。
住居に起因するアレルギー疾患とは
アレルギーを持つ子供たちの中には、住居に関連したことがきっかけで症状が出るケースもあります。例えば、気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎などがそれにあたるでしょう。私たちの体は、細菌やウイルスなどの異物が侵入したとき、その異物に対する免疫反応が起こり抗体を作ります。しかし、この免疫反応を過剰に引き起こしてしまうのが、アレルギー疾患とされます。
アレルギー疾患を誘発する住居のアレルゲン
アレルギーを起こすきっかけや原因となる物質を「アレルゲン」と呼び、家の中にはそんなアレルゲンがたくさん存在するのです。
ハウスダスト
人が暮らしていると、どうしても生じてしまうのがホコリですが、それをハウスダストと呼びます。ハウスダストの中には、布団や衣類から出る繊維のクズや、食べカス、髪の毛、花粉、昆虫の死骸や糞などがあります。また、ホコリにはダニやカビなどの多くのアレルゲンが含まれており、アレルギーを引き起こすきっかけや原因となってしまいます。
ダニ
布団やソファ、人形などにたくさん生息しているダニもアレルゲンです。ダニは、生きているものはもちろんん、その死骸や抜け殻、糞もアレルゲンとなります。ダニは室内のホコリ、寝具に付着した人のフケ、垢、食べ物のカスなどを餌として食べて繁殖していきます。また、ダニはハウスダストにも多く含まれています。
カビ
風呂場や窓ガラスなどに発生しやすいカビも、アレルギー症状を引き起こします。カビはダニの餌にもなるため、カビが発生しないようにすることは、ダニ対策にもつながります。
ペット
犬や猫、鳥、ハムスターなどの動物の毛や皮膚が、アレルギーを引き起こすきっかけや原因となる子供もいます。しかし、動物によるアレルギーは、ペットの有無とは無関係(ペットを飼っているからアレルギーになったのではない)と考えられます。
花粉
花粉が住居内に侵入して、アレルギー疾患を引き起こす可能性もあります。これらの疾患は、スギ、ヒノキが飛散する春だけでなくイネ花粉なら夏に、ブタクサ花粉なら秋にと季節ごとに起こるもので、季節性アレルゲンと呼ばれます。
昆虫やその他
その他のアレルゲンとして、ガやゴキブリなどの昆虫類や、絹、羊毛などの衣類の繊維もあります。
シックハウス症候群の原因にも注意
住居がきっかけ・原因となるアレルギーとして、「シックハウス症候群」についても考えておきたいところ。シックハウス症候群は、住居の建材や内装材によって引き起こされるさまざまな病気の総称を意味します。
昔の住居は風通しがいい造りでしたが、現代では高気密、高断熱化の住居が多くなり、建材や内装材に使われた化学物質によって体調不良になる人もいます。シックハウス症候群の原因となりうる代表的な物質に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレンなどが挙げられます。
次のページでは具体的な対策をご紹介します。