柴門ふみさん原作『恋する母たち』連続ドラマが本日スタート!「母の恋愛」を題材にした理由とは?

柴門ふみさん最新『恋する母たち』が待望のドラマ化!

漫画家・柴門ふみさん

『東京ラブストーリー』をはじめ、いまや恋愛漫画のカリスマ的存在の柴門ふみさん。本日(10月23日)からは、3年前から今年7月にかけて雑誌『女性セブン』(小学館)で連載され、現在、単行本も第6巻まで好評発売中の『恋する母たち』が、いよいよドラマ化(TBS金曜ドラマ・夜10時より放送)されスタートします。

妻であり、母、そしてひとりの女性として、アラフォー女性らが翻弄される恋物語。今回は実際に作品のきっかけとなったエピソードなどをまじえ、じっくりとお話を伺わせていただきました。

恋する母たち』とは?

名門中学に息子を通わせている三人の母、杏・まり・優子を中心とした物語。
いずれの子供たちも出来が悪くて落第目前。
夫は外に女をつくって家を出て行ってしまったり、社内不倫に夢中だったり、波風立たないが刺激に乏しかったり・・・。

互いの心中を少しずつさらけ出し合いながら、三様の人生はやがて交錯し始める。

40代の女性はモテる?母親をテーマに選んだ理由は

――まず、この物語を描こうと思われたきっかけについて教えて下さい。

 もともと5年ぐらい前から40代の女性に向けた大人の恋愛ストーリーを描いてみたいなという構想はあったんです。それで、『女性セブン』編集部に企画を持ち込んだところ、話がまとまり、2017年の1月から連載がスタートしました。

私が40代の頃、まわりにいたママ友達から恋愛相談を受けたりしたことがあったんですね。こっそり、ママ友のひとりから“デートに誘われちゃったの、どうしよう”なんて。

言ってみれば、不倫になるわけですが、そこに踏み込んでいいのかどうかと、彼女は悩んでいたんです。『恋する母たち』でいえば、まりみたいな感じの女性でした。

『恋する母たち』2巻より

大人の女性で、子供をしっかり育てていて、若い頃はそれなりにモテたからいろいろあったけど、結婚して10年、本当に“良いお母さん”が、ちょっとしたきっかけで10代に戻っちゃたみたいにドキドキして止まらない、そんな様子でした。ブイブイいわせていた20代の頃に戻るのならまだわからなくもないのですが、恋の初期症状みたいな作用が起きちゃう。

女性はふとしたきっかけで「現役の恋」に戻る

それが観察しているなかでとても興味深かったんです。その時に気づいたのが、年齢を重ねて新たな人生を歩んで子供が生まれても、恋心っていうのは、ひょっとしたきっかけで引きずり出されるものなんじゃないかということ。そこで女性はいつでも現役に戻るんだなということもよくわかりました。とにかくそのことが衝撃的で、“人生でもう恋なんかしないわ、家庭を守って夫だけを愛していくの”っていう人が、突然、10代の恋心を甦らせるという話を漫画として描いてみたいと思ったんです。ただ、すぐに作品にして描いてしまうと相手の方にもバレちゃうので(笑い)、しばらく寝かせてから描くことにしました。

――ママ友という側面だけを見ていたなかで、本質的な部分を見せられるっていうのは驚きですね。

恋愛によって意外な一面が見えてくるものです。真面目そうな人が結構、大胆だったり、遊び人そうに見えた人が案外、真面目だったりとか。

 柴門さんご自身のママ友の話に多くのヒントを得て

――ママ友の相談のなかで、いまだから話せるというエピソードはありますか?

『恋する母たち』2巻より

まりの話に描いちゃったんですが、いきなりキスされちゃって「どうしよう、どうしよう」って言われ、親しいママ友たちと「それはただの性欲だから落ち着け!」と返したのは、実話です(笑)。結局、まりのモデルとなった、そのママ友は目が覚めて家庭に戻っていきました。もしかしたら、彼女は話をすることで少し落ち着きたかったんじゃないかな。今思うと、止めて欲しかったのかもしれませんね。本当に一歩踏み込んでしまう人というのは、誰にも相談しませんから。

その他にも、同窓会で火がついてしまうっていう話は40代の頃、よく耳にしましたね。50代以降はあまり聞きません(笑)。

――30代は同窓会で恋に発展することは少ないんでしょうか?

 30代は結婚したてだったり、子供もまだ小さいですから同窓会にあまり出席する人が多くないようです。それが、40代となるとちょっと子育ても落ち着いてきたし、夫との結婚生活でも不満がつのりだした頃となる。それまで子育てに専念していたので、開放感もあるし、“○○ちゃんのママ”としか呼ばれていなかったのが、同窓会では昔の男友達から旧姓や下の名前で呼ばれたりするから・・・・危ない、危ないですよ! 

――そういったママ友たちの観察や意見を参考にしながらストーリーが出来上がっていったのですね。

夫に対する不満というのは、もう友達と集まれば話がつきないほど飛び出してきますし(笑)。だから、まりの夫に対する不満というところには共感してくれる声が多かったですね。

――『女性セブン』連載時には、読者アンケートでも常に上位にランキングされていたそうですが、読者のかたからの反響は?

当時は芸能ニュースでも芸能人の不倫が取り沙汰されていて、みんな叩いてはいるのだけど、実は恋をしてみたいっていう気持ちがどこかにあった。そこを漫画として成立させたことで許される何かがあったのかもしれません。私も犬の散歩で知り合ったママ友グループに読んでいただきつつ、登場人物の男性で“誰が好き?”と、リサーチみたいな事をしていたんです。ちょうど優子が赤坂君と不倫をする回だったんですが、てっきり私、反感を持たれるとばかり思っていたんです。恐る恐る“キャリアウーマンが部下とベッドインする話はどう?”って聞いたら、“いや、あの場合はもうしょうがない!”とか、“あれは断れないわよ”って返ってきて(笑い)。自分は絶対にできないけど、漫画として読む分には楽しいと言われて嬉しかったですね。

優子の「我が子を可愛がれない」という告白にも大きな反響が

それから、男性読者からの面白いという意見も多かったんですよ。“女性ってこんな事を考えているんだ、ビックリした”っていう意見もありました。あとは、まりのような女性が好きだっていう意見も多かったですね。女性は優子みたいになりたい、憧れるっていう声が少なくありませんでした。

『恋する母たち』5巻より

優子に関して付け加えれば、我が子をあまり可愛がれないという話の時に反響が大きかったようです。女性にはみんな母性本能があって、子供を可愛いと思うのが当たり前と思われているけれど、本能的に子供が可愛いと思えない自分のことをホッとした、自分だけじゃないんだと思えたなどですね。

3人のヒロイン、誰が恋愛体質?自分の性格と重ね合わせながら読む読者も

――杏・まり・優子、この3人のキャラクターについて教えて下さい。

『恋する母たち』2巻より

まりは好奇心旺盛で、なんでも試してみなきゃ気が済まないタイプ。やろうと決めたらもうやってみなきゃわからないという性格です。杏はもうちょっと慎重で、すぐに神様に頼ろうとする。ちゃんとしていればきっと神様が見ていてくれるのよ、と。目に見えない超常的なものにすがろうとする面があります。優子は自分の理性に従って生きようとする女で、それは自分の理性に自信があるからなんですね。ところが、そういう女性が恋に落ちて翻弄されていく…そこも描きたかったんです。

――理性的でバリバリのキャリアウーマンの優子みたいなタイプが恋に落ちやすいのでしょうか?

『恋する母たち』1巻より

 落ちやすいですね。この3人のなかで、いちばん恋愛体質なのは、実は優子なんです。しかも優子は働く女性として、男性と出会う機会が多い。専業主婦の場合、どうしても出会いは限られてしまいますから。

まりは恋愛体質じゃなくて母性の塊みたいなタイプ。情にも厚いので、杏が困っていても助けに行くし、丸太郎が困っていてもそう。もちろん、子供達が困ったら飛んでいくし、モラハラなあんな旦那でも窮地に立たされると助けようとするんですね。

愛情深いという点では、杏も息子に対しては、溺愛とまではいかないにしても、母ひとり子ひとりで濃密な母子関係にあります。ちょっと息子に心を持っていかれすぎで重い感じもなくはありません。シングルマザーはわりと肩に力が入っているところがあるから、男を寄せ付けないようなバリアを張っている面では恋に落ちにくい。杏もそうです。

――この3人は学生時代だったらきっと共通点もないぐらい、性格もファッションも異なる女性ですが、子供を持ったことで繋がりができたというところも見どころですね。

そうですね。女性って、自分が属するグループと違うグループの人とは絶対に交わらないというところがありませんか? お互いに理解できないからといって最初からはね除けてしまうところがあると思うんです。庶民派ママたちはセレブママはちょっととか、お受験ママたちはちょっと…とか。でも、私の経験からにはなりますが、実際に話をしてみると、そんな垣根はとっぱらってわかり合えましたし、そういうことも人生のなかで取り入れて欲しいという気持ちは込めました。

――ママ友を作りたくても、なかなか難しいという人もいます。

 ママ友仲間から情報を得るために無理をしている人もいるんじゃないでしょうか。だんだん息苦しくなっていくるんですよ、密になりすぎると。小さい子を育てるママという共通点はあるんですが、なかには性格も全く合わない人もいたりしますよね。そこを我慢して仲良くしていかなくちゃいけないっていう苦しみはママたちのなかで大きいと思いますね。

木村佳乃、吉田 羊、仲 里依紗。3人の女優がヒロインを演じるドラマがついにスタート

©TBSテレビ

――では、今回のドラマでのキャスティングについて伺わせて下さい。

いま、とくに3人の母親たち(木村佳乃・吉田羊・仲里依紗)は日本の芸能界で考えられる最高のキャスティングだと思いました。男性陣も、優子の夫・シゲオ役のおぎやはぎの矢作 兼さんもピッタリですし、優子の不倫相手・赤坂役の磯村勇斗さんも、とても期待できます。脚本はあの大石静さん。恋愛のツボを抑えるのは大石さんの得意なところなので楽しみですね。それと、個人的には松任谷由実さんの大ファンなので、ユーミンの曲が流れるのが嬉しいです。

――最後に、読者と視聴者の方にこのドラマをどんな風に見てもらいたいかお聞かせ下さい。

物語にハマってドキドキハラハラを楽しんでいただければ、ただそれだけで(笑)。ちょっぴり昔の彼を思い出したりして、ストレス解消となってくれればいいなと。それで、さあ、明日からもまた頑張ろうと思って頂ければ嬉しいです。あくまでも物語を楽しんで、日常は現実を堅実に生きて下さいね!

金曜ドラマ『恋する母たち』は本日10月23日(金)スタート!初回は15分拡大版です。

柴門ふみさんインタビュー後半では、夫婦関係や思春期の子どもの接し方について、お話を伺いました。お楽しみに!

 

柴門ふみ本体552円+税
1~7巻発売中
小学館「女性セブン」連載

名門中学に息子を通わせている三人の母たちの物語。いずれの子供たちも出来が悪くて落第目前。
夫は外に女をつくって家を出て行ってしまったり、社内不倫に夢中だったり、波風立たないが刺激に乏しかったり・・・。互いの心中を少しずつさらけ出し合いながら、三様の人生はやがて交錯し始める。

 

 ©️柴門ふみ/小学館

取材・文/加藤みのり 撮影/田中麻以

編集部おすすめ

関連記事