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どうして洗濯槽の掃除が必要なの?
洗濯槽をのぞいても、「汚れ」という言葉がピンとこない人もいるかもしれません。洗濯槽の汚れは、表ではなく目に見えない「裏側」にたまるのです。まずはいつの間にか蓄積する汚れの正体について見ていきましょう。
カビや雑菌が繁殖しやすい環境
洗濯槽を掃除する目的は、「カビ」や「雑菌」の繁殖を防ぐことです。
毎日汚れ物を洗う洗濯槽は、衣類から出る「ホコリ」や「皮脂」によって汚れます。水と洗剤を使って洗うため「水アカ」や「洗剤カス」も蓄積していくでしょう。こうした汚れは、カビや雑菌の栄養源となるのです。
屋内に置かれた洗濯機は、温度・湿度共にカビにとって環境の整った快適空間といえます。毎日のように衣類にこすられる表側はともかく、手の入らない裏側はまさにカビにとっては天国でしょう。
掃除に使用する洗剤の種類は三つ
洗濯槽の掃除には専用洗剤の他、室内の掃除に大活躍する重曹も使えます。ここでは、3種類の洗剤とその特徴について確認しましょう。
殺菌力が強い塩素系洗剤
「塩素系洗剤」の特徴は以下の通りです。
- 殺菌力が強い
- 汚れを分解して落とす
- 短時間で洗浄できる
塩素系洗剤は強力な殺菌・分解力がメリットです。こびりついた頑固な汚れを落とすパワーがあるため、半年以上洗濯槽の掃除をしていない場合は塩素系洗剤を使うとよいでしょう。
また、塩素系洗剤は特有の臭いがあるのも特徴です。残った洗剤で衣類がダメージを受ける可能性もあるため、十分にすすぐことをおすすめします。なお、塩素系洗剤と酸素系洗剤は混ぜると危険なガスが発生するため、決して一緒に使わないように十分注意しましょう。
汚れを剥がし落とす酸素系洗剤
「酸素系洗剤」の特徴は以下の通りです。
- 刺激が少ない
- 汚れを剥がし落とす
- 汚れ落ちが確認できる
酸素系洗剤は、塩素系に比べて低刺激です。洗浄力がマイルドな分、汚れが浮くまでに時間がかかるのはデメリットかもしれませんが、後の衣類への影響はそれほど心配せずに済みます。
汚れが溶けてなくなってしまうわけではないので、「汚れ落ちを実感したい」という人にもおすすめです。1~2カ月程度なら洗濯槽はそれほど汚れないため、短いスパンで掃除する人は酸素系洗剤で十分間に合うでしょう。
消臭効果が高い重曹
「重曹」の特徴は以下の通りです。
- 酸性の汚れに強い
- 刺激が少ない
- 環境に優しい
- 消臭効果がある
重曹は弱アルカリ性のため、皮脂など酸性の汚れを落とすのに向いています。消臭効果が高く、洗濯槽の嫌な臭いを取り除きたいときにも便利です。
掃除用の重曹は人体に全く無害とはいえませんが、塩素系・酸素系の洗剤に比べると安全性は高いといえるでしょう。敏感肌だったり、赤ちゃんがいたりする家庭では重曹がおすすめです。
ただ、塩素系・酸素系の洗剤に比べると、ややパワーに欠けることは否めません。長く掃除せずに放置している場合は、こびりついた汚れをいったん塩素系・酸素系の洗剤で落としてから重曹を使うとよいでしょう。
塩素系洗剤を使った掃除方法
塩素系洗剤は浸け置き時間が短く、特に手間のかかる工程もありません。家事や仕事で忙しい人でも手軽にできる、塩素系洗剤で洗濯槽を掃除する方法を紹介します。
洗剤を投入し、お湯をためる
市販品もありますが、メーカーによっては専用洗剤も出ているため、洗濯槽への影響が心配な人は純正品を購入しておくとよいでしょう。
洗濯機の電源を入れ、洗剤を投入します。どのくらい投入するかは、各洗剤の説明書きを読んで規定の量を守りましょう。洗剤が肌に付くと肌荒れを起こす可能性があるため、水はねしないよう注意が必要です。
洗剤を入れたら、次に「40~50℃」のお湯を入れます。全体に洗剤が行き渡るよう、「満水の位置」までお湯をためるのがポイントです。
なお、ドラム式洗濯機の場合はお湯がためられません。洗剤投入後すぐに洗濯機を回すか、給水後に一時停止して洗剤を投入することになるでしょう。
洗濯機を回す
洗剤とお湯を入れたら、「槽洗浄コース」で洗濯スタートします。
基本的に浸け置きはしなくても大丈夫ですが、洗剤の種類や汚れの度合いによっては2~3時間の浸け置きをすることもあります。詳しくは説明書きを確認しておきましょう。
槽洗浄コースがない洗濯機の場合は、「通常コース」でスタートしましょう。汚れが気になるときは、1時間に1度「5分ほど洗って運転する」のを2~3回繰り返してかき混ぜるのも効果的です。
酵素系洗剤、重曹を使った掃除方法
酸素系洗剤と重曹の掃除手順は全く同じです。塩素系洗剤よりもやや工程が増えますが、覚えてしまえばそれほど難しくはありません。
ゴミ取りネットを外し、お湯をためる
「ゴミ取りネット」「ゴミ取りフィルター」「洗剤投入口」など、取り外し可能な部品は全て取っておきましょう。
40~50℃のお湯をためます。お湯を使うのは、水に溶かすよりも洗剤がよく泡立つためです。泡立つことで洗浄力が増すため、できるだけ適温を守りましょう。
ただし、泡が吹き出す可能性があるため、手で触れないくらい熱いお湯を使うのはおすすめできません。もしあふれそうになったら、余分な泡をすくい取って適度な水位に戻しましょう。
洗剤を入れ、洗濯機を回す
規定量の洗剤を投入し、洗剤がお湯によく溶けるように「洗い」コースのみを選択して洗濯機を回しましょう。いつものコースで洗濯すると、「洗い」が終わった後に「脱水」が始まり、洗剤水が排水されてしまいます。酸素系洗剤は浸け置き時間が必要なため、間違ってこの段階で脱水しないよう注意が必要です。
「5分」ほど「洗い」で回したら、洗濯機を一時停止させて放置します。放置時間の目安は「5~6時間」で、だんだんとこびりついた汚れが緩んでくるでしょう。
放置した後に浮いてきたゴミを取り除く
浮き上がってきた汚れは、放置時間が終了した時点でを全て取り去っておきましょう。
ゴミ取りには「ゴミすくい用のネット」を使うと便利です。手のひらサイズの枠にネットが付いたもので、金魚すくいの要領でゴミをすくっていきます。
洗濯槽に汚れがたくさんたまっていた場合はびっしり汚れが浮くので、取り除くのにやや根気が要るかもしれません。しかし、汚れを残したままだと排水詰まりの原因になってしまうため、できる限りきれいにしましょう。
ゴミが出なくなるまで回した後で脱水する
浸け置き後に浮いてきたのは、完全に剥がれ落ちたゴミだけです。この時点では、緩んではいるものの、まだ洗濯槽にしがみ付いている汚れがたくさん残っているでしょう。
そこで、「5分ほど洗濯機を回して浮いてきたゴミを取る」という過程を、ゴミが浮かなくなるまで繰り返します。
洗濯槽を揺らしてもゴミを剥がれなくなったら、最初に取り外したゴミ取りネットなどの部品をセットして脱水しましょう。
洗濯槽を掃除する頻度と注意点
いつでもきれいな洗濯槽で衣類を洗いたいものですが、時間や手間を考えると、洗濯槽を毎日掃除するというわけにもいきません。そこで、適切な掃除の頻度について確認しましょう。また、洗剤選びに関する注意点も紹介します。
目安は月に1回
洗濯機には、使う度に掃除することが推奨される部分と、ある程度置いてからお手入れするとよい部分があります。
洗濯槽は、通常の洗濯を1、2回したくらいではそれほど汚れず、衣類への影響もほとんどありません。洗濯槽に汚れがたまるスピードは使用状態によっても異なりますが、一般的に「月に1回」が掃除の目安となります。
一方、ゴミ取りネットは少なくとも数回に1度は掃除した方がよい部品です。乾燥機を使う場合は、毎回乾燥フィルターの掃除をしたほうがよいでしょう。
ドラム式に酸素系洗剤は使えない場合も
ドラム式洗濯機の多くは、酸素系洗剤が使用できません。ドラム式洗濯機は、洗濯槽の口が横を向いているためです。
酸素系洗剤の場合、お湯を洗濯槽にためた状態での浸け置きが必須となります。さらに、浸け置き後には満水の状態でゴミ取りをしなければいけません。しかし、洗濯槽の口が横を向いているドラム式はお湯をためることができず、水の入った状態でドアを開けることもできないのです。また、酸素系洗剤はよく泡立てて洗浄力をアップさせるのですが、ドラム式には泡立つと自動で排水してしまう機種もあります。
洗剤購入前に、自宅の洗濯機が酸素系洗剤に対応しているかを確認しておきましょう。
汚れやカビを予防するコツは?
あまりカビが出ない洗濯槽とカビまみれの洗濯槽、二つを分けるのは「洗濯機の使い方」です。同じ頻度で洗濯していても、使い方次第でカビが増殖する度合いが変化します。
いつも何気なくやっていることが、洗濯槽の汚れの原因になっているかもしれません。もし次の3点に心当たりがあれば、今日から改善していきましょう。
洗濯物を洗濯機の中に入れたままにしない
脱いだ衣類を洗濯かごに入れずに、直接洗濯機に入れるという習慣はないでしょうか。一度着用した衣類には、汗や皮脂汚れ、ホコリなどの汚れが付着しています。こうした汚れ物を洗濯槽に入れるのは、カビにエサを与えているようなものです。洗濯槽に衣類を入れるのは「洗濯するときだけ」にしましょう。
また、洗濯が終わった後、すぐ干さずに放置するのも洗濯槽を汚す原因です。水分を含んだ洗濯物がすぐそばにあるのは、カビにとって居心地のよい環境となってしまいます。
エサと湿気を与えないよう、衣類は洗濯の直前に洗濯機に入れ、洗濯が終わったらすぐに取り出すことを意識しておきましょう。
洗剤の適量を守る
「洗剤が少ないと、汚れがちゃんと落ちるか心配…」「面倒だから、目分量で洗剤を入れる」という人は、洗剤による「石けんカス」を作ってしまっているかもしれません。
洗剤を余分に入れると、使い切れなかった成分が水道水の成分と結びついて石けんカスになってしまいます。石けんカスは水に溶けにくく、いったんこびりついてしまえば、洗濯槽を掃除するまで取れません。洗う衣類の量によって使う洗剤の量は決まっています。多めに入れても洗浄力に変わりはないため、適量を守って使用しましょう。
使用後はふたを開けておく
洗濯機の「ふた」は開けておきましょう。洗濯機のふたを閉めると、中は湿気を残したままで密閉状態になってしまいます。汚れを防止するという点でいえば、ふたを開けて風通しをよくし、洗濯槽が乾燥しやすいようにしておくのがベストです。
ただ、ペットや子どものいたずらが不安という家庭も少なくないでしょう。その場合は、使用後しばらくの間だけふたを開けて湿気を逃がすようにするだけでも、カビの増殖を軽減できます。
塩素系のおすすめ洗濯洗剤
浸け置きなしでOKの塩素系洗剤は、洗濯機のタイプにかかわらず使用可能です。洗濯槽をすっきりさせたいときは、次におすすめする三つの塩素系洗剤をチェックしてみましょう。
ジョンソン「洗たく槽カビキラー」
衛生微生物研究センターでの実験によれば、「洗たく槽カビキラー」はカビ胞子の99.9%を除去できます。「洗剤を投入してから通常運転するだけ」と、使い方も簡単です。汚れが気になるときは、3時間ほど浸け置きして効果アップを狙いましょう。
なお、洗たく槽カビキラーは9kgまでの洗濯機に対応しています。9kg以下であれば1回につき1本、9kg以上の洗濯機では1回につき2本の使用がおすすめです。
エステー「洗浄力洗たく槽クリーナー」
エステーの「洗浄力洗たく槽クリーナー」は、二層式の脱水槽の洗浄にも使える優れものです。
脱水槽に使用するときは、内部にむらなく洗剤をかけて1時間放置します。洗たく槽と脱水槽の両方を洗浄するときは、それぞれに1本のクリーナーを使いましょう。こちらの商品も、カビ胞子除去率は99.9%です。通常運転でも槽洗浄コースでも使用できます。久しぶりに掃除するときは、6時間ほど浸け置きすると効果的でしょう。お風呂の残り湯を使用できるため、普段からお湯を再利用している人にもおすすめです。
純閃堂「カビ取り侍 洗濯槽用 」
純閃堂の「カビ取り侍 洗濯槽用 」は、生涯にわたって洗剤研究を続けてきた博士が開発したカビ取り剤です。有効成分が奥深くまで浸透し、頑固なカビを一掃します。月に1度、定期的に洗浄している場合は1回につき約100gを投入し、しばらく放置してしまった場合は500~1000g(全量)を投入して洗浄しましょう。メーカーにより随時、公的機関での試験が行われているため、効果のほどはお墨付きです。
酸素系のおすすめ洗濯洗剤
「塩素の臭いが苦手…」という場合は、刺激臭のない酸素系洗剤を使うとよいでしょう。まめなお手入れにも使いやすい、三つのおすすめ商品を紹介します。
シャボン玉石けん「洗たく槽クリーナー」
かわいらしいシャボンのキャラクターが目印のシャボン玉石けんは、無添加石けんにこだわりを持っています。「洗たく槽クリーナー」に配合されている洗浄成分も、もちろん無添加石けんです。こびりつきを浮かせる石けん成分・石けんの力を持続させる重曹・汚れを剥がし落とす酸素系漂白剤の三つのパワーで、洗濯槽の汚れをすっきり取り除いてくれます。
P&G「アリエール 洗たく槽クリーナー サイエンスプラス」
洗濯洗剤で知られる「アリエール」シリーズからも、洗濯槽クリーナーが発売されています。洗浄効果は高く、掃除をしばらくさぼってしまった場合でも、しっかり汚れを落としてくれるでしょう。
粉洗剤は洗剤残りが気になりますが、この商品はよく水に溶けるので安心です。液体ではないため、投入する際に手にはねる心配もいりません。
ファブリーズと共同開発しているだけあり、使用後の洗濯槽からはほんのりとよい香りが漂ってきます。
ヱスケー石鹸「すっきり洗濯槽クリーナー」
ヱスケー石鹸「すっきり洗濯槽クリーナー」は、高い発泡力が売りの洗剤です。酸素系洗剤は発泡作用によりカビを剥がすため、高発泡タイプのクリーナーはよりカビを落としやすいといえます。
泡立ちがよすぎて槽洗浄コースでは泡が洗濯槽からあふれ出す可能性があるため、通常コースで使用しましょう。
なお、粉の粒子が細かいので投入する際に舞い散りやすいです。マスクをして、そっと投入するといった対策を取ることをおすすめします。
汚れも臭いもない洗濯機で衣類を洗おう
衣類に嫌な臭いが移ったり、黒っぽいカスが付着したりしたら、洗濯槽にカビや雑菌が繁殖しているサインです。気持ちよい洗濯ができるよう、洗濯槽の掃除を行いましょう。
掃除に使う洗剤は、塩素系・酸素系・重曹の三つから選びます。好みの使い心地から選んでもよいですが、ドラム式洗濯機は使える洗剤が限られるため、自宅の洗濯機に対応可能なタイプかチェックしてから購入しましょう。
洗濯槽に汚れがこびりついてしまうと、1回の洗浄では汚れを取りきれないこともあります。1~2カ月に1度は掃除しておきたいため、いくつか気に入った洗剤をストックしておくとよいかもしれませんね。
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文・構成/HugKum編集部