初心者にもおすすめの多肉植物で部屋にグリーンを|手入れ方法、増やし方、寄せ植えアレンジのまとめ

「多肉植物」は、自宅で手軽にグリーンを楽しみたい人を中心に人気を集めています。一度その魅力に気づくと、多肉植物の虜になる人は少なくありません。園芸の初心者が押さえておきたい、多肉植物を上手に育てるコツや手入れの方法などを紹介します。

多肉植物を育てよう

多肉植物は、園芸が苦手な人でも比較的簡単に育てられる植物として人気があります。一般的な植物とはどこが違うのでしょうか。人気の理由や、どのような種類があるのかを紹介します。

多肉植物が人気の理由

多肉植物は、ほかの植物とは異なり「厳しい環境」でも育つという特徴があります。肉厚の葉を持ち、「根・葉・茎」などに水分を溜め込むことができるため、日当たりが悪く水が少ない場所でも枯れにくく、育てやすい植物として人気です。

また、トゲトゲのもの、モコモコの毛に覆われたものなど、見た目の個性が豊かなところも魅力の一つです。見応えがあるため、インテリアのワンポイントにもなってくれます。生育に慣れてきたら、多肉植物同士で「寄せ植え」をしたり、「挿し木」で増やしたりする楽しみも味わえます。

インテリアのワンポイントにもなる多肉植物

どのような種類がある?

多肉植物の種類は、原種同士をかけ合わせて作られた園芸品種で2万種を超えます。大きな園芸店を訪れると100種類近くがズラリと並んでいることも珍しくありません。

カネノナルキ

 

観葉植物としてポピュラーな「カネノナルキ」や「サボテン」も、多肉植物の仲間です。世界各地に多くの品種が自生しており、大きさも種類も多種多様なので、置き場所に合ったサイズを選べるでしょう。

品種によって成長期や休眠期は異なり、夏によく成長する種類もあれば、夏は休眠し冬から春にかけて成長する種類もあります。

上手に育てるための基礎知識

植物を育てた経験がなくても育てやすい」という点が多肉植物の魅力ですが、上手に育てるにはいくつかのポイントを押さえることが大切です。これから多肉植物を育てる人が知っておくべき、基本的な知識を紹介します。

苗の選び方

丈夫な多肉植物であっても、弱い苗を選んでしまってはうまく育てることは難解です。よい苗を選ぶには、以下のポイントをチェックしましょう。

・茎と茎の間の節が間延びしていない
・葉がしおれていない
・根がしっかりと張り、新芽が出ている
・たくさんの毛が生えている(表面に毛が生えている品種)

葉の色は、淡い緑・濃い緑・銀色がかった緑、秋になると紅葉するものなど、品種によってさまざまです。あらかじめ成長したときの葉の色を調べておくと選びやすいでしょう。

鉢と土を用意

鉢は多肉植物の大きさに合ったものを選びましょう。あまりにも鉢が大き過ぎると、土が乾きにくくなり、根腐れする可能性があります。

土は多肉植物用の「水はけのよい培養土」を使うことがポイントです。中粒の赤玉土やバーミキュライトなどを配合して、水はけがよい土を作ってもよいでしょう。

グリーンネックレス」や「銀月」などのキク科の多肉植物は、ほかの品種に比べるとやや水が好きな性質があるため、あえて水持ちがよい配合の土で育てる場合もあります。

カネノナルキ

適した栽培環境を知ろう

多肉植物のタイプは、「春秋型」「夏型」「冬型」に分けられます。それぞれ望ましい栽培環境は異なるため、時期に適した場所に置くことが大事です。

春秋型:春と秋冬は日当たりと風通しが確保できる場所に置き、夏は室内に取り込む
夏型:春~秋にかけて風通しのよい場所に置き、蒸れないように注意
冬型:冬~春は明るい日陰で風通しのよい屋外、夏は半日陰に置く

栽培環境が間違っていなければ、新芽が出てきます。成長期に自然に子株が増えていくことも多いでしょう。

日々の手入れ方法

多肉植物は多少放っておいても元気でいてくれますが、美しい姿をキープするには小まめな世話をするに越したことはありません。少しくらい水やりを忘れても枯れないとはいえ、気まぐれに世話をしていては思ったように育たないこともあります。正しい手入れ方法を知っておきましょう。

水やりの頻度はタイプに合わせて

タイプに合わせた水やりを

 

同じ多肉植物と名前が付いているものでも、成長期や休眠期は種類によって違います。それぞれのタイプに合った頻度で水やりしましょう。

春秋型:春と秋は土が乾いたらたっぷりと水を与える。休眠期の夏・冬は、ほぼ水やりしない
夏型:夏に生育旺盛になるので、秋までは土が乾いたらたっぷりと水やりをする。休眠期は冬~早春
冬型:成長期は冬~春。夏の休眠期は涼しい場所に置いて水やりは控えめに管理する

ポイントは、成長期は「土がしっかりと乾いてから」鉢底から流れ出るくらいしっかりと水やりし、休眠期は水やりを控えることです。特に、冬に休眠するタイプは水を断つことで耐寒性のアップが期待できます。メリハリを付けて水やりすることが大切です。

気を付けたい病害虫

高温乾燥の状態が続くと「ハダニ」が発生することがあります。ハダニが発生すると、葉や茎に黒・茶の点状の汚れが付きます。多肉植物はほかの植物に比べると水やりの回数が少ないので、乾燥した状態を好むハダニのターゲットにされやすいのです。ハダニは水に弱いため、乾燥しやすい季節は時々、葉の裏に霧吹きで水をかけてあげましょう。

ほかにも、「アブラムシ」や「カイガラムシ」の食害を受けることがあります。どちらも植物の汁を吸って成長するので、捕殺するかブラシでこすり落としましょう。

育てる際の注意点

丈夫で枯れにくい多肉植物ですが、購入したばかりのような魅力的な姿をキープできていない場合は、育て方を間違えているのかもしれません。観賞価値を高めるには、栽培する上で注意したいいくつかのポイントがあります。多肉植物を育てるときの注意点を見ていきましょう。

日光不足は「徒長」の原因に

適度な日当たりが必要

 

徒長(とちょう)」とは、茎と茎の間が間延びし、ひょろひょろした姿に育ってしまうことを意味します。

多肉植物は半日陰や日陰で育つ種類は多いものの、健康的に育てるためには「適度な日当たり」が必要です。成長期は特によく日に当てて育てましょう。土の乾くスピードが速くなるため、メリハリを付けて水やりしやすくなります。冬に休眠するタイプも、屋内の窓辺など日当たりが確保できる場所に置いた方が、健康的な姿で冬越しさせやすいでしょう。

夏は蒸れないように涼しい場所に置くことが基本ですが、完全に日光を遮断すると弱ってしまいます。明るい日陰やほかの植物の陰になる場所に置くことがおすすめです。育てている途中で、徒長しているかもしれないと思ったら、置き場所を変えて様子を見ましょう。

水や肥料過多でも起こる

日光不足以外でも、徒長することがあります。水やりし過ぎると、茎が細く伸びてしまうことがあるので、土の表面が完全に乾いてから水やりをしましょう。

また、徒長すると肥料不足を疑ってしまいがちですが、栄養が多過ぎると、本来よりも成長する速度が上がって姿が乱れることがあります。必要以上に肥料を与えないように注意しましょう。

多肉植物も剪定が必要

多肉植物は栽培環境が合っていればよく成長する植物です。茎や葉が伸び過ぎて姿が乱れないように、適宜剪定しましょう。

剪定する時期は成長期に合わせます。休眠期に剪定するとダメージから回復しにくく、株が弱ってしまいます。

剪定する部分は、葉が込み合っている場所や伸び過ぎてバランスが悪くなっている場所です。カットした部分の下から、新しい脇芽が出てきます。徒長してバランスが悪くなったときは、下葉を4枚程度残して大胆にカットする方法がおすすめです。

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植え替えの時期や方法は?

大切な多肉植物を長く楽しむには「植え替えも」欠かせません。成長の速度に応じて、植え替えの時期を見定めることが大事です。植え替えのタイミングややり方を紹介します。

植え替えのタイミング

植え替えによって土を入れ替えることで病害虫を防ぎ、株をリフレッシュさせられます。「成長期に入る少し前の時期」を狙って植え替えることがおすすめです。株が成長し、鉢とのバランスが悪くなってきたら植え替えが必要となります。成長期が来ても葉や茎が伸びなくなったと感じたときや、根の行き場がなくなり鉢底の穴から出てきたときも、植え替えが必要なサインです。

放っておくと、根が水を吸い上げられなくなって枯れてしまうことがあるため、一回り大きめの鉢に植え替えましょう。大きくしたくない場合は、葉と根のバランスを整えて元の鉢に新しい土で植え替えます。古い土は粒が壊れて細かくなり、水はけが悪くなっていたり病害虫が発生していたりする場合があるため、再利用しないようにしましょう。

必要なもの

植え替えの時期を迎えたら、作業を始める前に必要なものを用意します。


・新しい多肉植物用培養土
・スコップや土入れ
・割り箸
・園芸用はさみ

必要に応じて「鉢底ネット」や「鉢底石」もあると便利です。

穴の上に鉢底ネットを敷いておくと、害虫の侵入や土の流出を防げます。鉢底石があると水はけがよくなるので、高さがある鉢に植えたいときに使用するとよいでしょう。

園芸用はさみは、葉や根をカットするために使用します。切り口から病原菌が入らないように、あらかじめ殺菌消毒しておきましょう。熱湯につけるか、刃先を火であぶると消毒できます。

植え替えの流れ

作業を開始する前に、植え替えの流れを頭に入れておくとスムーズです。

1.鉢から苗を取り出す。抜けない場合は鉢を軽く叩く
2.古い土を落とし、茶色くなった根や傷んだ根をカットする
3.鉢底にネットを敷き、用土を1/3程度入れる。苗を入れてみて、高さを調整する
4.苗を鉢の中央に置き、周囲に用土を入れる。割り箸で土をつついて、隙間に土を足す

1で取り出した苗の根が湿っている場合、半日陰に置いて軽く乾燥させると根腐れを防ぎ、根付かせやすくなります。

植え替えが済んだら、水を与えずに半日陰に置いて1週間程度様子を見ましょう。すぐに水を与えると根腐れする心配があるので、時間を置いて株の状態が落ち着いてから水やりをするのがポイントです。

多肉植物を増やす3つの方法

栽培に適した環境で生育するとどんどん増えていくところも、多肉植物を育てたくなる理由の一つです。コツさえ分かっていれば、多肉植物を増やすことは難しくありません。おすすめの方法別に、正しいやり方やポイントを見ていきましょう。

株分け

株分けは、大きな一つの株を複数に切り分ける方法です。親株の周辺にたくさんの子株ができている場合、株分けで増やせます。植え替えのタイミングで分けるとよいでしょう。

苗を掘り出して、親株と子株をつないでいる「地下茎」を切り離すだけなので簡単です。

株分けをする1週間前から水やりを中止し、「根が乾いている状態」でカットします。弱った根は取り除いておきましょう。株分け後すぐには水を与えず、1週間以上待ってから水やりをします。

葉挿し

選定で出た多肉植物の葉を使う葉挿し

 

葉を茎から切り離し、乾いた土に挿して発根させることを「葉挿し」と呼び、剪定で出た葉を使って増やせます。「エケベリア」や「セダム」などは、葉挿しで増えやすい植物です。

おすすめの時期は春と秋です。平皿や鉢皿などに多肉植物用の土を入れ、「葉の付け根部分のみ」が土に触れる程度の深さに挿しましょう。直射日光を避け、半日陰に置いて管理します。

葉に水分を蓄えているので、水やりしなくても発根することが多いです。根が出てきたことを確認したら、霧吹きで水分を与えましょう。

挿し木

カットした茎や枝を、土に挿して増やす方法が「挿し木」です。剪定で出た枝を使って増やせるので、簡単に挑戦できるでしょう。土に挿した枝「挿し穂」の切り口を十分に乾かしてから多肉植物用の土に植えることが、成功させる秘訣です。

土に植える部分の葉を取り除いて小瓶などに挿しておき、立てた状態で乾かすと変形しにくいでしょう。土に挿したあとは「風通しのよい半日陰」で管理し、1週間以上たってから水やりします。

葉挿しで増やせなかった種類も、挿し木でなら増やせることがあります。また、徒長した姿を整えたいときにもおすすめです。枝を切り離した親株からも新しい芽が出るので、好みの形に仕立て直せます。

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おしゃれなアレンジで楽しもう

多肉植物の栽培に慣れてくると、挿し木や葉挿しなどで一度に多くの子株を増やせるようになります。たくさんの苗ができたら、さまざまな方法で飾りましょう。多肉植物をおしゃれにアレンジする方法を紹介します。

寄せ植えの作り方

寄せ植えも楽しめる多肉植物

 

さまざまな種類の植物を一つの鉢に植えて楽しむ方法を「寄せ植え」と呼びます。成長期が同じか、近い種類をまとめることが作り方のコツです。成長期が大きく異なる種類同士を一緒に植えてしまうと、管理が大変になってしまうので注意しましょう。

用意するものは、鉢・苗・多肉植物用培養土・土入れ・園芸はさみ・ピンセットなどです。

苗はポットから取り出し、根をほぐしてから植えます。大き過ぎる場合、カットして小さくしてもよいでしょう。カットしたときは、2~3日置いて切り口を乾かしてから植えます。

大小や色彩のバランスを考えて配置すると、見栄えがよくなります。背が高くなる品種は背面、しだれる品種は前面や縁に配置するなど、バランスを見て仕上げましょう。

カラーアレンジで遊ぶ

多肉植物は、葉の形や様相のインパクトに目を奪われがちですが、豊かな色彩を楽しめる植物でもあります。

同系色でも形の異なる品種を集めて植えたり、紫や赤の葉色を持つ種類を差し色にしたりと、カラーアレンジして遊ぶと、印象的な寄せ植えが作れるでしょう。同色系でまとめると落ち着いたシックな雰囲気に、紫・オレンジ・赤・ピンクなどのカラーを混ぜれば、カラフルでポップなアレンジになります。器の色や素材も考慮しながら決めると、ワンランク上の寄せ植えが完成するでしょう。

鉢で遊ぶ

鉢のデザインで雰囲気も変えられる

 

多肉植物のアレンジは、姿の美しさや楽しさを味わうだけでなく、鉢をコーディネートする楽しみもあります。少ない水でも枯れないため、一般的な草花では考えられないような多種多様な器を使えるところが魅力です。

植木鉢以外にも、空き缶・ジョウロ・食器・額縁などを使用すると雰囲気が変わります。飾りたい場所やテーマに合わせて器選びをするとよいでしょう。

しだれるタイプの多肉植物を植えたいときは、背が高い容器やハンギングがおすすめです。ココットやグラスなどの食器を使用しても、印象的なアレンジを作れます。

上級者ならリースにチャレンジ

多肉植物は、リース形にアレンジすることもできます。寄せ植え用に市販されているリース状の器や、ざる・茶こしなどに穴を開けて加工したものを使用し、リース状に植えていきましょう。

用意するもの

・リース状の器
・苗(挿し穂を作る要領でカットし、切り口を乾燥させておく)
・多肉植物用の土
・ミズゴケ
・固定用のワイヤー

器に土を入れたら、吊るしたときに用土が落ちてこないように土の上に「水分を含ませたミズゴケ」を敷き詰めます。ワイヤーで固定して土台を作ることがポイントです。

土台ができたら割り箸で穴を開け、苗を挿していきましょう。

完成したら半日陰に置いて1週間以上たってから水やりし、根付いたあとも土が乾いたらたっぷりと水を与えます。

インテリアグリーンとして育ててみよう

多肉植物には数えきれないほどたくさんの品種があり、基本的な育て方さえ間違わなければ枯れることの少ない丈夫な植物です。品種によって成長期や休眠期が違うことを押さえ、適切な水やりをすることが栽培を成功させるポイントです。

育てたい品種の性質がよく分かっていれば、「挿し木」や「株分け」などで増やしていくことも難しくありません。子株を増やしていけば、さまざまなアレンジも楽しめるようになります。少ない水で生育できるので、ガラス器や瓶など植木鉢以外でも栽培が可能です。さまざまな容器に入れてアレンジを楽しみ、インテリアグリーンとして活用してみてはいかがでしょうか。

文・構成/HugKum編集部

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