松坂桃李、仲野太賀共演の『あの頃。』で「ゆとりですかがなにか」タッグに感動【ママが観たい映画】

生きることに前向きになると、人生も豊かになる

劔は、モーヲタたちが結成した「恋愛研究会」に入り、「ヲタ活」にハッスルしますが、やがて時は経ち、それぞれの部員も新たな人生を踏み出します。そんななか、太賀さん演じるコズミンが、肺がんに冒されるという悲劇が。

ところが、転んでもただでは起きないコズミン。仲間たちが心配するなか、なんと彼は前向きに生きることを決して諦めず、Twitterを始めます。コズミンらしいといえば実に彼らしいのですが、劔たちは彼の奮闘ぶりに心を打たれ、いろんな援護射撃をしていくことに。

自分の死を前にして、人はあそこまでアグレッシブに生きられるものでしょうか？　その姿は、友の病に心を痛める劔たちの心をも鼓舞していきます。彼のネガティブな闘病の様子でさえ、今泉監督にかかると、ユーモアに包まれ、非常に豊かに綴られていき、観る者にも生きる希望を与えていきます。

ただでさえ心が晴れない今。そんななかでも、自分の身近な人を愛するとともに、自分がこれまで歩んできた月日をも大切に思えることは、人生そのものを豊かにできる最善の方法ではないかと思えてきます。そういう意味では、少しお疲れ気味のママやパパたちに捧げたいおすすめの映画です。

文／山崎伸子

©2020『あの頃。』製作委員会