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生理中の「眠い」を無視せず、寝たほうがいい!
生理が始まると、異常な眠気を感じたり、寝ても寝ても眠気が取れないと感じたことはありませんか。実は、生理中の眠気は無視せず、寝たほうが良いと言います。では、なぜ眠くなってしまうのでしょうか。生理と眠気について解説していきます。
Q.生理前や生理中に「いつもより眠い」と感じることはありますか?
Hugkum編集部では、0~12歳のお子さんを持つママ120人を対象に、生理中の眠気についてアンケートで聞いてみました。
「毎回の生理でいつもより眠いと感じる」が46.3%と、半数近くの方が回答。「ときどき生理でいつもより眠いと感じる」の33.1%と合わせると8割近くの方が生理前や生理中にいつもより眠気を感じているようです。
生理と眠気に関する体験談
「生理前は眠いことはないが、生理中は朝も仕事中も眠くなるため集中力が欠けてしまう」(30代・東京都・子ども1人)
「生理前は眠いというよりもイライラしていて、生理がくるとホッとしてまったり眠い感じです。」(40代・富山県・子ども1人)
「生理前や生理中は寝ても眠いです。しっかり寝ても眠いですしあくびもとまらないです。体もだるくなるし疲れやすい」(30代・山梨県・子ども1人)
「生理前から普段と同じ睡眠時間でも、日中、睡眠不足の様な眠気を感じる。生理中はそれに加えて身体の怠さを感じる。」(40代・兵庫県・子ども1人)
「生理一日前くらいから眠気が強くなり、生理一日目ぐらいが眠気のピーク。その時期は子供の寝かしつけで子供より先に寝てしまい、そのまま朝まで目が覚めないこともある。」(40代・奈良県・子ども2人)
「ちゃんと睡眠時間は確保しているのに、日中ふと眠くなる。普段はそんなことないのに・・・」(30代・東京都・子ども2人)
生理中に眠い・だるいのはなぜ? 原因は?
生理中に眠気を感じた場合、眠れるなら寝たほうが良いですがそうできる人ばかりではないですよね。生理中の身体には様々な変化が生じるため、眠くなるのは仕方がないと言われています。では、何が原因なのでしょうか。
女性ホルモンの働き
女性は生理の周期によって、エストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモン物質が分泌されます。エストロゲンとプロゲステロンはホルモンバランス変化によって分泌量が変動し、自律神経の乱れを引き起こします。そのため寝つきが悪くなったり、眠気が浅くなってしまい日中強い眠気を感じることがあります。
黄体期は眠くなる時期
排卵後から月経までの黄体期は、心も身体も不安定になりがちです。疲れやすく、身体の冷えや下腹痛を感じたり、精神面でもイライラしがちの時期と言えます。黄体期の不調は、エストロゲンとプロゲステロンの急激な変化などが原因ではないかと考えられています。
特にプロゲステロンが急激に変動する排卵後から次の生理までは心身ともに不調を感じやすい時期と言えます。プロゲステロンは、身体の体温を0.3〜0.5℃程度上げる働きがあるため、体温上昇により眠けを催しやすくなります。月経が起こるとプロゲステロンの分泌量は減るため、月経が終わるころには眠気は落ちつくと言われています。
そのほかにもプロゲステロンは子宮内膜や子宮筋の働きを調節する・乳腺の発育・体内水分量を保つ(浮腫)・食欲を増進・基礎体温の上昇・イライラ・憂鬱になるなどの作用もあります。
生理前に一日中寝ることも… 眠気は何日前から出る?
生理前の黄体期には、一日中寝てしまうという人もいるようです。眠気は月経前症候群(PMS)の症状のひとつで、生理の3~10日ほど前から現れるといいます。強い眠気を引き起こす月経前症候群(PMS)とは、どんなものなのでしょうか。
月経前症候群(PMS)とは
月経前症候群(PMS)とは、月経前に起こる精神的あるいは身体的症状のことを言います。発生期間には個人差がありますが、月経前の3~10日間に起こると言う人が多いようです。日本では月経のある女性のほとんどが何らかの月経前症候群(PMS)の症状を感じており、ひどくなると生活に支障を来す人もいると言われています。
月経前症候群(PMS)の症状
イライラや怒りっぽくなる、うつ状態になる、乳房が痛い、頭痛、むくみ、だるい、眠気が強くなるなどが症状として現れる状態を「月経前症候群」と呼びます。
症状の種類や程度や、頻度や期間は個人によって違いますが、月経開始するとほとんどの症状が軽くなるか消失します。ただし、症状が身体に出るのではなく精神面に強くでてしまい、生活への支障が見られる場合は月経前症候群(PMS)ではなく、月経前不快気分障害(PMDD)という可能性もあります。
生理後も続く眠気や頭痛、その理由は?
生理前や生理中に眠くなるというのはよくありますが、生理が終わっても眠いという人も。生理後も眠気や頭痛が続く場合は、以下のような原因が考えられます。
体温の低下
生理が始まると体温が低下します。人間の体は、体温が低くなるなどの急激な変化を感じると眠くなるので、生理を迎えた低温期は、眠くなりやすくなります。
貧血
生理中は経血排出だけでなく、優先的に子宮に血液が送られるため貧血を起こしやすい時期と言われます。貧血状態になると、脳の活動が低下し、判断力が鈍り、ぼーっとして眠気を来します。朝起きられなくなったり、身体がだるく感じるなどの症状が現れ、強い眠気を感じることがあります。
ただし、生理による貧血は、生理が終われば治まるのが一般的です。生理後も長く貧血が続く場合は、早めに病院での診察をおすすめします。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが崩れエストロゲンが減少したままになると、頭痛や腹痛、吐き気といった生理前のような症状が続いてしまう場合も。女性ホルモンの変動は、少なからず睡眠のサイクルや睡眠の質に影響するので、無理をせず眠くなったら昼寝を取る、ストレスを貯めないなどの対策が必要になります。
生理中や前後、眠いのに眠れない…勉強や仕事を乗り切る対処法
では、生理中や生理前後の時期に、眠くなってしまった場合はどうやって乗り切ればよいのでしょうか。眠気を強く感じたとき、勉強や仕事を上手に乗り切る対処法を紹介します。
対処法1:ホルモンを安定させるイソフラボンや鉄分を積極的に摂取する
豆腐や納豆などの大豆製品には、生理中に乱れがちなホルモンを安定させるイソフラボンが多く含まれています。睡眠の質を上げるトリプトファンは、まぐろの赤身や卵、アーモンドから摂取することができます。また、鉄分不足も貧血や睡眠の質を下げる原因につながるので、レバーやほうれん草、ひじきを多く摂ると良いとされています。
対処法2:アロマで気分転換をする
強い眠気はエストロゲンの減少が関係していると言われています。アロマを嗅ぐことは、セロトニン分泌にも良いと言われています。
眠気を覚ます効果があると言われているペパーミントやユーカリ、レモンなどのアロマを使って気分転換をしましょう。
対処法3:思い切って昼寝をする
どうしても眠い場合は、思い切って昼寝をしましょう。ただし、昼寝をする場合は長さと時間帯に注意が必要です。あまり長く寝てしまうとかえって逆効果になってしまうため15~20分に抑えましょう。また、15時以降に昼寝をすると夜の睡眠に影響してしまうので、昼寝をする場合は、お昼ご飯を食べた後の12時から15時までに済ませましょう。
対処法4:病院で相談する
眠気なども含め生理痛やPMS、PMDDはピル・LEP製剤の使用によりホルモンの正常な働きを助け、症状を改善することが多いと考えられています。これらの症状は薬により改善し、毎月の生理とうまく付き合っていくことができるようになります。 詳しくはクリニックでご相談ください。
生理にともなう眠気を軽減・改善する対策法
生理にともなう眠気を軽減する、改善する対策法を紹介します。
睡眠の質をよくする
眠気の軽減には、睡眠の質を上げることが重要です。具体的には、寝る1~2時間前に40℃程度のぬるめのお湯に浸かる、寝る前にブルーライトを浴びない、寝室の明かりを間接照明にするなど、ぐっずり眠れるように睡眠環境を整えましょう。
低用量ピルなどを服用する
低用量ピルを服用することで生理周期を整えたり、生理痛を和らげる効果があると言われています。生理の周期が整うと、イライラや怒りっぽくなるなどの月経前症候群(PMS)の症状を改善することができます。月経前症候群(PMS)の症状を抑えることは、睡眠の質の向上につながるため日中の眠気が軽減されます。
貧血を予防・改善する
日頃の食事で鉄分を多く含む食品を多く摂りましょう。鉄分を摂取するときは、ビタミンCを含む食材と一緒に食べると吸収率がアップします。ビタミンCは、ピーマンやブロッコリー、キウイフルーツやイチゴなどに多く含まれています。いつもの朝食に果物をプラスするなどバランスよく摂取しましょう。また低用量ピルを使用することで生理の量が減りますから、直接の貧血改善に非常に有効です。
サプリメントを服用する
バランスのよい食生活を送ることは重要ですが、不足しがちな栄養素はサプリメントを服用して補う方法もあります。ただし、過剰摂取になってしまうと逆効果です。サプリメントは摂取目安量を守り上手に使いましょう。
生理中や前後の眠気は、女性ホルモンが関係している
生理中や前後の眠気には、自分のせいではなく女性ホルモンが大きく関係しています。あまりにも強い眠気があり、生活に支障が出るようなら病院の受診も考えてみてください。生活習慣や食生活、睡眠環境など改善できるところは積極的にしていきましょう。
記事監修
吉岡 範人
1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせる、産婦人科における医療脱毛の提唱、スポーツ選手や受験生への低用量ピルの普及など枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。
文・構成/HugKum編集部