「働くパパママ川柳」(主催;オリックスグループ 後援:朝日新聞社)の受賞作品が発表されました。
第5回目となった今年は、昨年から続くコロナ禍のなかで、おもにリモートワーク・テレワークによる育児家庭のドラマが描かれた秀作ぞろい。入賞作品をのぞくと、ニューノーマル時代に働くパパママの、壮絶な日々が浮かび上がってきます・・・。
共感を呼ぶ、テレカンの悲喜こもごも
大賞は、
テレワーク 九九の呼吸が 漏れ聞こえ
(49歳男性/兵庫県)
状況が目に浮かびます・・・。
コロナ禍で働くパパママの日常に出現したのが、テレカン&オンラインミーティング。思わぬトラブルや「あるある」が多かったのではないでしょうか。
ほかにもオンラインミーティングをテーマにした入賞作は以下のようなものがありました。
誰の声? 息子よそれは 部長です
(30歳女性/神奈川県)
オンライン 画面の下は 秘密基地
(43歳女性/東京都)
Web会議 バグった隙に オムツ替え
(30歳女性/静岡県)
上司からの叱責や高圧的な指示などを、オンラインを通して家族に聞かれるのっていやですね-。オンライン会議・テレカンを通して、職場でのパパママの立場が家族にダダもれ。そして家庭内のあれこれも職場に丸見え。
オンライン画面に映らないところに果てしなく広がる、子育て家庭の混沌を「秘密基地」で表現するスキルもさすがです。
アッパレ!コロナ禍育児の孤軍奮闘
コロナ禍で ママ友ゼロの 初育児
(44歳女性/東京都)
ウーバーと
ユーチューバーに 助けられ
(40歳男性/群馬県)
それでなくとも、ワンオペになりがちな育児。そこにこのコロナ禍でママ友の応援も得られず、実家の援軍も得られず、初めての育児に奮闘するという句は身につまされます。
そして外遊びもままならないときは、動画視聴で子どもの退屈を紛らわし、デリバリーで炊事時間を節約。そんなふうにしてステイホームをしのいだ家庭も多かったんですね。ウチだけじゃなかったんだ、という安堵感・・・。
いまどきファミリーの悲哀にクスッ
HugKum編集部の文芸担当Hが勝手に選ぶ「じわる入賞作」はこちら。
俺ゆとり 親父はバブル 子はコロナ
(42歳男性/東京都)
笑っていいのかなこれ、と思いつつ、しみじみ感じ入ってしまいました。
それぞれの世代ごとにいろいろあります。子世代の未来にコロナ以外のもっと明るいことが待っていますように。
その他の川柳はこちらをご覧ください。
川柳っておもしろそう!
今回の「オリックス 働くパパママ川柳」は、なんと過去最多の6万1,813作品が寄せられたとのこと。
内訳を見ると30代がもっとも多く、男女比を見るとパパの応募も半数弱に迫る勢いで、父親の育児参加がうかがわれます。コロナ禍のリモートワークが、それまで不在がちだった父親にも「育児と仕事の両立」という問題を意識させたのかもしれません。
コロナ禍での仕事と育児の両立は、たいへんなことばかり。そんなハードな状況をユーモラスな作品に昇華するパパママの姿勢にはアタマが下がります。・・・とアタマ下げたままじゃなく、次は我もとチャレンジしてみてはいかがでしょう。
我が家でも川柳にチャレンジしてみよう!
川柳は、俳句のように五七五のリズムで表現する日本独自の定型詩。俳句だと季語を入れ込み、独特の文語体で詠むことが多く、古典が苦手なパパママは敬遠したくなりますが、川柳なら現代口語でOK。クスッと笑える滑稽やチクッと皮肉る風刺など、「わかる~」「いえてる~」の共感をねらう醍醐味があります。
上の受賞作を参考に、育児シーンの悲喜こもごもを五七五で表現してみては。参考図書を以下にご紹介しました。
楽しく上達できる 川柳入門
平成に生まれた最高の一句
海外在住や日本全国の川柳作家が平成の30年間で詠んだ秀作集です。平成という世の中とその時代に生きる人々の生活が、1063句の作品で表現されています。川柳づくりのセンスとテクニックが養える1冊。
はじめまして現代川柳
俳句・川柳・短歌の教科書
この際だから川柳だけじゃなく、俳句や短歌もいっしょに勉強したいという方におすすめの入門書。俳句は坊城俊樹・川柳はやすみりえ・短歌は東直子と、各界の第一人者による指南書です。基礎知識からブラッシュアップスキルまで、1冊でしっかり学べます。
構成・文/HugKum編集部