HugKumでは【教えて!保育士さん】シリーズとして『保育士座談会』の様子を連載でお届けしています。 子育て中のみなさんへ、保育のプロである現役保育士さんのリアルな声をお伝えしていきます。
8回目のテーマは「トイレトレーニング」。思うように進まなかったり、洗濯や掃除に追われたり、悩みの多い一大イベントですよね。そんなトイレトレーニングを、多くの子ども達を保育しながら進めている保育士さんは、いったいどんな風に行っているのでしょうか? お話を聞いてみました!
【お話を伺った先生】
トイレトレーニングを始めるタイミングは?
筆者:2歳を過ぎると、トイレトレーニングが気になり始めるご家庭が多いと思います。保育園ではどんなタイミングで始めているのでしょうか。
おむつが濡れてない! が増えてきたら
鈴木先生:おしっこをする間隔が長くなり、おむつの濡れる回数が少なくなってきた子から始めています。
頻繁にトイレに誘ってしまうと子どもの遊びの邪魔をしてしまうので、1時間くらい間隔が空いてきたかな? という頃が目安です。
吉森先生:そうですね。分かりやすいのがお昼寝の後。起きてきた時におむつが濡れていなければ「トイレに行ってみようか」と誘っています。
伊藤先生:トイレに興味が湧いてきた時もタイミングのひとつです。
例えば、私の園ではおむつ交換をトイレで行っているため、上の年齢のお子さまがトイレに座っている姿を見て、トイレを指さしたり、座りたいというそぶりを見せたりしたら、
「座ってみようか」と声をかけています。
筆者:保育園でトイレトレーニングが始まった際、家でもこうすれば効果がアップするということはありますか?
川井先生:園からお願いすることはありませんが、確かにご家庭でも同じ時期に取り組むことでより感覚がつかみやすいと思います。寝る前や起きた時、外出する前など、節目のタイミングでトイレに座ってみると良いと思います。
やる気をアップさせるアイディアは?
筆者:子どものやる気を出すアイディアやしかけはありますか?
ワクワクするしかけでトイレへの興味を引き出す
川井先生:『トイレいけるかな』という絵本を読んでいます。動物がトイレに行きたいそぶりをして、トイレに行くお話です。これを読み進めていき「〇〇ちゃんもトイレかな?」と言ってトイレに誘います。自分の子どもの時も、この本を使ってトイレトレーニングをしました。
『トイレいけるかな』
吉森先生:パンツに興味を持ってもらうために『しろくまのパンツ』という絵本もオススメです。パンツを履いてみたい! というやる気を起こさせてくれる絵本です。
『しろくまのパンツ』
伊藤先生:電車ごっこをしながらトイレに誘うことがあります。トイレに興味のない子も行ってみようという気持ちになってくれます。トイレに到着したら「座ってみよう!」と楽しみながら誘導しています。
鈴木先生:私の園では、便座の後ろに子ども達の好きなイラストを貼っています。
また、シール貼りが好きな学年の時は、トイレに行けたら各自オリジナルシール台紙にシールを貼るなど、目で見てやる気が出る仕掛けを行う年もあります。子ども達によって興味を持つことが違うので、その年の子に合わせた工夫をしていますよ。
お漏らしした時の掃除がラクになる方法は?
筆者:トイレトレーニング中は、失敗した時のお掃除が大変ですよね。自分の子どもだけでも大変なのに、先生達はどのようにしているのでしょうか。
掃除用具をすぐに手に取れるようにしておく
吉森先生:トイレトレーニングを始めたら、職員の中でも周知をして、みんなで気にかけるようにしています。お漏らしをしたら、一人の先生が本人のお着換えなどにあたり、別の先生は汚れた場所に他の園児が行かないようにします。そして、空いている先生が掃除用具を持ってくるという連携プレイです!
川井先生:おしっこを拭くための「お漏らしぞうきん」はかなりの枚数を用意しておき、手の届くところに用意しておくのがポイントですね。ぞうきんを取りに行くことに時間を使わないようにしています。
伊藤先生:私の園では、ピューラックスという次亜塩素酸消毒液を水で薄めたお掃除液を使って拭くのですが、保育園看護師の提案で、朝のうちに2Lペットボトルにそのお掃除液を作って準備しています。これですぐに拭くことができます。
筆者:お漏らし雑巾と、お掃除液を事前に準備をしておく! 家庭でも真似できそうです。うんちの時は、パンツを洗うのが大変ですよね。保育園ではどうしていますか?
鈴木先生:うんちは感染症対策のため、保育園で洗うことができないのです。トイレに流せる分は流し、袋に入れてご自宅で洗っていただいています。ご自宅で洗うのは大変だと思うので、申し訳なく思うのですが……。
まれに、保護者の方からご要望で、うんちをしそうな時におむつに替えてあげることもあります。百発百中で替えることはできませんが、親子ともにストレスにならないよう、できる限りの配慮をしています。
園でのうんちのトレーニング方法
筆者:うんちのトレーニングはどのように進めていますか?
川井先生:保育をしていると、うんちをしたそうなそぶりや、その子の排便タイミングがだいたい分かってきます。部屋の隅で固まっていたり、うんちのポーズをとったりしている時、慌てずに「トイレに行ってみようか」と誘います。
伊藤先生:ちょっと力んでいる感じで固まっているのが良く見られるポーズです。また、食事やおやつの後に出ることが多いので、そのタイミングで誘っています。
トイレだとウンチができない子は?
筆者:トイレだとウンチができないという悩みを聞くことがありますが、そういった時はどうしていますか?
吉森先生:過去に受け持ったお子さまで、おしっこはトイレでできて、日中はパンツで過ごせるのですが、うんちの時だけ「おむつに替えて」という子がいました。最初は無理強いせず「分かったよー」と替えてあげていました。そのうち、トイレに座ってうんちをする感覚が怖いのだと分かってきたので、手をつないでトイレに座らせてあげるようにしていました。
筆者:子どもなりに理由があるのですよね。きちんと聞いてあげることが大切だと知りました。
今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
焦らず、子どもの気持ちに寄り添って
保育士さん達は、子どもの気持ちに寄り添い、子どものペースを尊重しているのが印象的でした。自分の子どもの時はつい焦ってしまい「トイレに行こう!!」と何度も誘っていた記憶があります。でも、その子のペースや、トイレが怖いなどの思いもあるのですね。
これからトライするママやパパも、ぜひ肩の力を抜いて、子どもと楽しみながら取り組んでいただければと思います。
文・構成/寒河江尚子