Q : 3歳の娘に、「サンタさんって、本当にいるの?」と聞かれました。うそでも「いるよ」と答えていいのでしょうか?
A : いるかいないかは、子ども自身が決めること
クリスマスには多くの家庭で、子どもに「サンタクロースからのプレゼント」が届くことでしょう。親がどんなに上手に演出しても、子どもが「プレゼントは家族からのもの」ということに気づいてしまうことも……。
自分にとってのサンタクロースとは?
絵本やテレビ、大人の会話……。幼い子どもでも、サンタクロースに関する情報に触れる機会はたくさんあります。1日で世界中にプレゼントを配れるのかな? うちには煙突がないのに、どこから入ってくるのかな? 子どもなりに、「あれ?」と思う点に気づきはじめたことが、「本当にいるの?」という質問につながったのでしょう。
私も、自分の子どもに同じ質問をされたことがあります。そのときの答えは、「私はいると思っているよ」。なぜこう言ったかというと、私自身、本気でサンタクロースを信じていたから。もちろん、今も信じています(笑)。
ただ、私の考えるサンタクロースは、「白いヒゲをたくわえて真っ赤な服を着たおじいさん」ではありません。サンタクロースは、「子どもの願いを叶える大人」の象徴です。親が子どもにクリスマスプレゼントを贈るのは、純粋に子どもを喜ばせたいから。こうした「だれかが、だれかを思う心」が、私にとってのサンタクロースなのです。
私は、「だれかが、だれかを思う心」の存在を信じます。だから、「サンタクロースはいる」という答えはうそではないし、この答えで、私の思いが子どもにも伝わったと思っています。
答え方に迷うなら「わからない」と言っていい
「サンタさんはいるの?」という子どもの問いかけは、自分が感じた「あれ?」を親に伝えてみたくなったということ。本当にいる・いないをはっきりさせたいわけではないと思います。
想像から生まれる目に見えないものをどう受けとめるかは、人それぞれです。サンタクロースは、「いる」と思う人の心の中にはい続けるし、「いない」と思ったら、その瞬間からいなくなります。そして、「いる」「いない」、どちらの感じ方がよい、というわけでもありません。
ジャッジをするのは子ども自身
大切なのは、サンタがいるかどうかを決めるのは、親ではなく子ども自身だということ。子どもがサンタの存在を信じたいのなら、信じていてよいのです。それでもどう答えるべきか迷うのなら、素直に「どうかな? お母さんもよくわからないの」「○○ちゃんはどう思う?」などと言ってもよいと思います。子どもの質問にすべてイエス・ノーで答えなくてもよいし、いつでも正解を知っている「賢くて立派な大人」である必要もないからです。
あいまいな部分があれば、子どもは自分なりに答えを考えます。こうした経験は、子どもの学ぶ力につながっていく貴重なものです。また、「大人にもわからないことがある」と知ることにも意味があります。親だって完璧じゃない! という事実は、子どもにとって大きな救いです。人はパーフェクトじゃなくていいんだ、と気づき、ものごとを柔軟にとらえることができるようになっていくでしょう。
教えてくれたのは
乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。
イラスト/小泉直子 構成/野口久美子 出典/『めばえ』2018年12月号
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。