どんな広さの家に暮らしていても、気が付けば荷物で散らかっていて「収納が足りない」なんて嘆いているかもしれません。特に育児の真っただ中では日に日に荷物も増えて部屋がなかなか片付かないですよね。そこで今回は収納の救世主とも言える壁面収納のメリットについてまとめてみました。
リビングの壁面収納のポイントと実例
注文住宅に暮らしているにせよ賃貸のマンションやアパートに暮らしているにせよ、すでにその場で暮らしを始めている以上、基本的にもう収納は劇的に増えません。
例えば存在しないウォークインクローゼットが急に増えるなどといった話はありませんから、基本的には今ある環境をベースに何か対策をしなければいけません。
その対策の1つとしてリビングに収納スペースを増やすには壁面収納が考えられます。
リビングはテレビの壁面収納がカギ
増田奏『住まいの解剖図鑑』(エクスナレッジ)によると、リビングでしかできないリビングらしい過ごし方といえば「座ってくつろぐ」になるのだとか。
イギリスでは「sitting room」と呼ばれるくらいリビングは本来座ってくつろぐためのスペースなのですね。英英辞典『Macmillan English Dictionar』で「sitting room」を調べると、言い換えの言葉として「a living room(リビング・ルーム)」と確かに書かれています。
座ってくつろぐためにはソファが不可欠で、そのソファが向き合う先にはほとんどの場合テレビが置かれていると思います。
ただこのテレビ、ほとんどの家では床置きのテレビ台に載せると思います。床置きのテレビ台に設置した場合、テレビ台そのものには収納スペースを設けられますが、テレビの上や横などの広大な空間が無駄になります。
その点リビングの一角で存在感を示す大きなテレビの壁面そのものを壁面収納の一部に組み込んでしまえば、リビングに収納スペースを劇的に増やせます。
育児でもわが子と長い時間を過ごすリビング。その空間に収納を増やしたい場合は、テレビ周りに収納をつくれないかと考えればいいのですね。
壁面収納の価格の目安
テレビ台を兼ねた壁面収納は各社から出ています。例えばニトリでは「ポルテ」「ウォーレン」といった3段棚の壁面収納(戸棚)が販売されていて、サイズやオプションに合わせて5万円から10万円前後の価格帯で購入が可能です。
IKEAの場合はもっと安い価格帯の壁面収納もあります。オープン棚ですが「LAPPLAND ラップランド」の場合は183x39x147cmのサイズで19,900円です。
無印良品の場合はオーク材の「スタッキングキャビネット」(Cセット)のような商品もあり、幅162.5×奥行39.5×高164.5のサイズで82,900円です。
テレビの壁面収納 実例
Instagramで見かけたテレビの壁面収納。好例をご紹介します。
いずれも壁一面に設けた収納シェルフの一区画にテレビを配して、ムダのない空間処理をしていますね。
壁面収納・テレビ台などの情報はHugKumの過去記事にもありますので、併せて読んでみてください。
▼関連記事
「本棚を兼ねたい」などサイズ調整を重視するなら突っ張りタイプで固定が安心
上述してきた壁面収納は各収納スペースの格子(グリッド)が大きい傾向にあります。
ツボやキャンバスなど大きいアイテムを展示する際には便利なのですが、例えば本棚としてテレビ周りの棚を利用すると、スペースが大きすぎて文庫や単行本を並べても空間を持て余してしまいます。
テレビ周りを本棚として利用したい場合は、可変式で収納スペースの大きさを調整できる突っ張りタイプの収納が便利かもしれません。
例えばディノスが出す「国産杉頑丈突っ張りラック」であれば、奥行き38cm×幅99cmや119cmの本棚タイプも¥52,276で買えます。
突っ張りタイプだと地震時の転倒についても安心ですよね。
もっとコストを抑えたい場合はニトリの「Nポルダ」シリーズのようにワイヤータイプのラックもあります。併せて参考にしてみてください。
クローゼットの壁面収納のポイントと実例
寝室・子ども部屋では衣類も乱れがちですよね。こちらも今から収納空間を増やすとしたら、クローゼットや突っ張りタイプの収納が現実的な選択肢になります。
つくり付け・オーダーメイドタイプ
今の住まいにクローゼットを足そうと思えば、つくり付けやオーダーメイドタイプのクローゼットを置く人がほとんどだと思います。そのニーズが大きいからこそ、市場にはさまざまなクローゼットが出回っています。
例えばニトリでは幅119.5×奥行59×高さ182.5cmの大きなクローゼット「ワードローブ」が52,276円で売っています。同シリーズではもっと小さいタイプのクローゼットもあります。
IKEAにも大小のクローゼットがあり、例えば「PAX パックス」という幅250x奥行き66x高さ201 cmの大収納クローゼットは¥ 133,190です。
とはいえ既製品はサイズが決まっているため部屋によってはいまいちサイズがしっくりこない場合もあるかもしれません。部屋の壁全面にクローゼットを置きたいなど特別な希望がある場合は、既製品でなくオーダーメイドが理想的です。
例えばニトリであればオーダー家具の受付もしてくれます。クローゼットは横幅25cm~80cmの間であれば1cm単位で注文できます。壁面を横幅3m55cmのクローゼットで埋め尽くしたい場合は、80cmのクローゼットを4つ並べて、もう1つは35cmの横幅のクローゼットをつくって隣に置けばいいのですね。
サイズによって値段は異なりますが、横幅80cm×高さ180cm×奥行56.6cmで60,500円などと設定されています。同じニトリでも既製品のクローゼット「ワードローブ」(幅119.5×奥行59×高さ182.5cm)が52,276円だと考えると、やはりオーダーメードはちょっと割高なのですね。
突っ張りで簡単設置タイプ
オーダーメードのクローゼットが割高で手が出ない人は、突っ張りタイプで簡単設置できるクローゼットを選んでもいいかもしれません。
戸棚ではなくラックになりますが、ディノスの「光沢ブラッククローゼットハンガーラック(ハイタイプ)」は奥行30cm×幅111~200cmで¥30,668です。
価格の目安
突っ張り式のハンガーラックが3万円前後、つくり付けやオーダーメードがサイズに併せて5万円から10万円オーバーといった予算感がクローゼットの相場になります。手持ちの資金を考えた上で最適な家具を選びたいですね。
デスクの壁面収納のポイントと実例
リビング・寝室の衣類ときて、デスク周りも使用頻度が高い小物類であふれ返っているのではないでしょうか。
言ってしまえばデスクそのものがスペースを取ります。それほど使用頻度が高くない家では、せっかくなのでデスクを壁面収納の一部に組み込んでしまってはどうでしょうか。
子どもが小学校低学年などリビング学習をする家でも、一次的な勉強場所としてリビングの壁面収納にデスク機能を持たせるとスペースがすっきりします。
書棚と一体型で省スペース
まずは本棚にデスク機能を持たせる選択肢があります。例えば書棚とデスクが一体型の省スペース設計商品がIKEAに充実しています。
「PÅHL ポール」(¥ 12,490)
「VITTSJÖ ヴィットショー」(¥ 16,997)
どの程度の大きさの机・本棚が欲しいかによって商品を選んでみてください。
引き出し型で使用時のみセットアップ!
リビングの壁面収納の本棚にデスクを兼ねさせる場合、天板を出し入れできるタイプもあります。
「IVAR イーヴァル」(¥ 29,490)
「IVAR イーヴァル」(¥ 46,390)
値段の違いは本棚の容量の違いです。都市部のマンションなどでスペースが十分に確保できない場合は、本棚としてだけでなくキッチン用品を入れる人も居るみたいです。柔軟に使いたいです。
価格の目安
デスクの壁面収納は1万円台から5万円程度の予算でそろえられそうです。天板を出し入れできるタイプは構造が少し複雑になるため値段も高くなるみたいですね。
ベッドの壁面収納のポイントと実例
昔の日本人は布団を押し入れに上げ下げして、1つの部屋を有効に使っていました。ベッドが普及するとともに布団派の人が半数以下になっているとの調査も幾つかります。
とはいえベッドは広々とした住宅環境であれば便利ですが、日本のように部屋が狭いと空間を大きく占めてしまい困りますよね。しかも床置きのベッドの上は物の落下リスクがあるために何も置けません。都市部など狭い住宅環境では何か考えたいところです。
例えばベッドの壁面収納は1つの解決策ではないでしょうか? 使用しない日中はベッドを壁にしまえるタイプの家具です。
調べてみるとニトリやIKEA、無印良品などにはないみたいですが、壁面収納ベッドを専門でつくるメーカーもあるようです。
価格の目安
壁面収納ベッドは高額で20万円前後の値段がする場合が多いようです。
ちょっと手が出ないという人は、ベッドの天地を裏返すと2段ベッドのように寝床の位置が高くなり、ベッドの下の空間を有効活用できる家具「KURA キューラ」(24,990円)もIKEAから販売されています。子ども部屋はこの手のベッドでもいいかもしれませんね。
▼参考記事
DIYで壁面収納を実現!
ここまでテレビ・クローゼット・デスク・ベッドの壁面収納を取り上げてきました。
これらをIKEAやニトリ、無印良品、ディノスなどで購入してもいいのですが、家の間取りにぴったりの収納を手に入れたり、予算を抑えたりしようと思えばDIYにチャレンジしてもいいのかもしれません。
テレビの壁面収納を自作した実例
写真を見る限り2×4の角材3本で突っ張りの柱をつくり、その柱に板を打ち付けてテレビの壁掛けを実現しています。この木製の壁に用途に応じてさまざまなラックをつくればテレビ周りの収納力がぐっと増します。
テレビ・本棚・デスクのDIY サンプル例
リビング・書斎の機能が壁面にすべてすっきりと収まっている例。こちらは自作のDIYというより、プロの手も借りたリノベーションのようですが、あらかじめあった無印良品のテレビ台の色に合わせて木材を選び、全体を調和させたセンスはDIYの参考になりそうですね。
壁面収納のまとめ
都市部に暮らしていると、どうしても空間に制限が出てきます。その状態で出産・育児がスタートすると、一気に荷物が増えて空間がぐちゃぐちゃになりがち。
そんな時は壁面収納を上手に使い、テレビの周りに収納を増やしたり、テレビ台と本棚を一緒にしてしまったり、デスクと本棚を一緒にしてしまったり、いろいろなアイデアを試してみてください。
限りある空間を上手に使いながら気持ち良く賢く毎日の生活を送るヒントにしてくださいね。
文・坂本正敬 写真・繁延あづさ ACフォト
【参考】
※ 増田奏『住まいの解剖図巻』(エクスナレッジ)
※ 荒井詩万『今ある物で「あか抜けた」部屋になる。』(サンクチュアリ出版)
※ 佐藤可士和『佐藤可士和の超整理術』(日本経済新聞出版社)