【私たち地方移住して子育てしてます!】長野で築100年の古民家を改造、3人の子育て満喫中!

森田槙紀さん(39歳)は2021年4月、長野県の生坂村(いくさかむら)へ一級建築士の夫(57歳)と3人のお子さん(10歳、7歳、2歳)と、神奈川県川崎市から移住しました。住まいは築100年越えの古民家を購入。そこで暮らしながら、日々、自らの手で家をリフォームし、快適な住空間に整えています。移住から約5か月が経った8月某日、お話を伺わせていただきました。

 

川崎市から長野県生坂村へ。きっかけは2020年夏のバカンスでした

海外旅行が大好きで、以前は年に5~6回は旅行へ行っていたんですよ。観光をするというよりも、旅した場所に暮らすように滞在して、地元の人たちと交流するのを楽しむ旅が多かったんです。

 でも、それがコロナ禍で行けなくなった。そこで、2020年の夏、ストレス解消も兼ねて長野県安曇野に貸別荘を借り、家族みんなで滞在したのです。

 そこで、毎日窓辺から眺める山の壮大な景色や、澄みきった空気感などにとっても魅かれて、安曇野に住むことを考え始めたのです。

生坂村全景(生坂村公式HPより)

 得意なDIYで改造しながら住む、という選択

最初は避暑地感覚で、別荘を買おうと思っていたんですよね。でも、家を探しているうちに、「ふつうの家より古民家を買って、DIYをして改造しながら生活するのもいいな」「どうせやるのだったら移住したい」などと思うようになっていったのです。私って思い立ったら、すぐに熱くなって行動するタイプなんです(笑)。

 主人は当初は「ねぼけたことを言って。そのうち熱も冷めるでしょう」ぐらいに思って、私の意見を捉えていませんでした。でも、私の移住への想いが徐々に強くなっていき、移住後の明確なビジョンを話すのを聞いて、その想いを真剣に受けとめて応援してくれるようになりました。

 実際に家を探し始めると、第一希望の安曇野は、人気の別荘地のために地価が高くてなかなか購入が難しいのが判り、そこで違う場所の物件を見て回りました。千葉に静岡、山梨に神奈川と、などいろいろ物色したのですが、私の描いていたイメージや予算と合わないことが多くて……。最後に決めたのがココ、生坂村でした。

 安曇野市に隣接しているだけあって、窓を開けると安曇野と同様に、山々の雄大な景色が眺められ、空気も爽やかで、とてもしっくり来たのです。

2021年4月古民家を購入。長女の小学校入学のタイミングで移住しました

 現在暮らしているこの家は、築100年以上の古民家で8~9部屋あります。屋根は銅板に見えますが、その下は茅葺きなんですよ。

 2021年4月に移住をしたのは、長女の小学校入学を見据えていたからです。一年生から生坂村の学校に通わせられるように、家を購入後、お風呂や台所など水回りの工事のみ業者に依頼して、工事完了後に入居しました。

 子育て世代が移住をすると特典が

生坂村の場合、子育て世代が移住をすると、空き家の改修費用の助成が上限100万円、また、空き家の家財などの処分委託費用の助成が上限20万円など、いくつか補助金制度があるので、それを利用しました。

 移住してから現在までは、毎日、DIY三昧(笑)です。

キッチンはこんな感じでしたが。。
壁を塗り替え、床を張り替えました

 

古い床をはがしたところ

 

寒さに備えて断熱材を入れて床を貼る
キレイに仕上がりました!
古い障子紙をはがして干し、、、
キレイに張り替えたら見違えた!

床を張り替えたり、壁に断熱材を貼ったり、ペンキを塗ったりと、少しずつですが快適な空間に改造しています。

 夫は一級建築士なのでビルなど大規模な建築物専門なので一般的な住宅はやらず(笑)、基本は私ひとりの作業。「大変じゃないか」と言われることが多いですが、いっこうに苦にならなくて楽しいです。子どもが生まれるまでは紳士服のテーラーで働いていたので、手を動かすことは元々好きですし、実家で暮らしていたころから自分の部屋の床を張り替えたりしていたので、その知識もあります。「なんとかなるだろう」と思って、取り組んでいます。

 失敗しても自分の持ち物ですから、壊しても何も言われないでしょう。自分で考えて工夫して、それが形になって享受できる。それがとってもおもしろいんです。

 自宅の敷地内に畑を作り、野菜を育てています

全て庭の畑で採れた野菜!

 

また、自宅の敷地内で行っている畑の農作業も、日々のもうひとつのルーティンです。

 キュウリやナス、ピーマンやハーブなど、野菜を中心に初めて栽培してみたのですが、この夏はたくさん採れました。土壌がいいからだと思うのですが、その野菜を自ら収穫して、どうやって料理しようかと思うだけで、満ち足りた気分になります。

畑で採れたバジルで作ったバジルソース。ポテトチップにつけて食べると美味しいことを長男が発見!ハマってます!

 

足りない食材は最寄りのスーパーや直売所で購入しているのですが、生坂の特産品として作られている天然の100%のぶどうジュースが唸るほど美味しい!これから、秋にかけては生のぶどうも楽しみです。「193カラット(いくさからっと)」という生坂オリジナルブランドもあるんですよ。

生坂村自慢の「193カラット」のぶどうジュース
まさに宝石のような極上の味わい!

小規模校ゆえの良さを実感。地場産の食材を使った給食は、長男が野菜好きになるきっかけに

生坂村に移住を決めたのは、子育てをする環境としてもとても適した場所だと思ったからです。

 子どもたちの通う小学校の規模は川崎に比べると超小規模で、以前川崎で長男が所属していた小学校では1学年は35人1クラスが4~5クラスあったのですが、生坂では1学年が8人くらい。一年生は全部で12人しかいません。

でも、その分クラス全員が親しく触れあえ、アットホームな雰囲気なのです。給食も地場産の食材を使った自校給食で、温かいものは温かいまま食べられることも気に入っています。そんな給食を食べているからでしょうか。長男は野菜に抵抗がなくなって、野菜をよく食べてくれるようになりました。

また、以前は引っ込み思案な子だったのですが、生坂に来てから友だちとの交流も増えて、オープンになった気がします。生徒数が少ないから、一日に何度も授業で当てられて発言をしなければならないんですよね。そんなことも積極的になった一因になっている気がします。

 

大好評だった手作りハーブせっけん

 

この夏は、長男の夏休みの課題の自由研究で、自家栽培しているハーブを使った石鹸を作りました。どうせならクラス全員に渡そうと思って、人数分を学校に持って行かせたら、学校中で評判になって、違う学年の生徒や先生からも「欲しい」と言われたそうです。「職員室のドアはいつでも開けておくから持ってきてね」と言われたと長男がうれしそうに話してくれました。小規模校の小学校ならではのことだと思います。

 

 地域で子どもを育ててくれている実感があります

私自身は私立の中高一貫校の女子校出身で、それはそれで楽しかったのですが、住んでいる地元の友だちがいなかったんですよね。だから、学校から帰ってから近隣のお友だちと気軽に遊ぶ子どもたちを見ているといいなと感じています。

 また、子どもが少ないからでしょうか。地域の人たちみんなが子どものことを看ていてくれて、悪いことをしたら叱ってくれる。親や学校の先生だけでなく、大勢の人に育てられることはとてもいいことだと思いますし、それができるのは地域の人みんなが顔見知りで、安心安全な環境の生坂村だからこそできることだと思います。

 

移住して4か月余り。地元の慣習にも慣れて、子どもを通じてママ友もできました

移住してからは地元の自治会に所属して、常会や草刈り作業などのイベントにも参加しています。

 地域には私より年上の方が多いので、皆さん適度な距離間で、温かく見守ってくださるのがありがたいです。移住した当初は、会う人会う人に「こんなところによく来たね」と言ってもらいうれしかったですね。

 いまはママ友もできて、長野県独自の学校の持ち物だと思うのですが本を持って帰る「図書袋」の作り方や、地域の方言、風習についてなど、いろいろなことを教えていただいています。

こちらでは必須の学用品である「図書袋」。手作りが前提です。

 

 いま、私はパナマの伝統的手芸「モラキルト」という教室にも通っているんですが、その教室へ誘ってくれたのもママ友のひとりなんですよね。

得意のパッチワークのバッグが好評で、ご近所の方にも頼まれて作ることも
始めて挑戦したモラキルトの作品

 

もちろん、いい人ばかりじゃなくって、目が点になるような人にも遭遇しましたよ(笑)。

 でも、どこに暮らしていても価値観の違う人はいますから。受け入れられない部分はきっぱりと意見を申し上げて、お互い干渉しないお付き合いをしています。負けん気強い方なんですよね。ワタシって(笑)。

 

年内の目標は旅館のようなお風呂を造ること。将来の夢は古民家でパッチワークや草木染めのワークショップ開催

 

当面の目標は、旅館のような岩風呂を敷地内に造ることです。

 いま使っているお風呂は、蛇口部分はリニューアルしたのですが、全体に古い仕様なんですよね。だから、それとは別にゆったりした快適なお風呂を作りたい。「山奥の家なんだけど、風呂だけはいいんだよね~」と言われたいんです(笑)。

 年内に完成して、新年を迎えられたら最高なんですが、冬場はマイナス10℃ぐらいまでなるそうなので、どうなることやら……。この夏は、この地で豪雨に遭遇して自然災害の怖さも十分体験していますので、冬を迎える準備もいまから真剣に取り組んでいくつもりです。

 将来的な夢は、私がリノベーションしたこの古民家で、パッチワークや草木染めのワークショップを開くことです。それに備えて今から地元の人たちとのつながりを大事にして、ネットワークを増やしていけたらいいなと思っています。

 夫はあと3年で定年。家族みんなでDYIを頑張ります!

それと、あと3年で夫が定年になるので、私はそれまでコツコツとDIYをとにかく頑張ります!

 子どもの学校のことやら、移住前は不安もあったのですが、こっちへ来て生活をしたらそんな不安は吹っ飛んでしまいました。

 毎日、しなければならないことがいろいろとあって、それをこなしているうちに「何かあってもどうにかなるんじゃないか」と思うようになりました。もとからバイタリティーはあるほうなんですが、さらに生きる力が強くなったのかもしれません(笑)。

 

森田さんが移住した生坂村は、人口1720人(2021年9月1日現在)の小さな村。総面積は39.05㎢と、東京都23区の江東区とほぼ同じ大きさで、北アルプスに源を発する犀川の清き流れと緑の山脈に抱かれた自然豊かな地です。県庁所在地の長野市までは約50㎞、松本市までは25㎞の距離で結ばれています。一人ひとりの個性を尊重するきめ細やかな教育指導が行われ、農作業や村民行事、自然、文化とのふれあいを通じて、人間的な奥行きと自立心を持つ個性豊かな子どもたちが育っています。

 田舎暮らし「楽園信州」 https://www.rakuen-shinsyu.jp/

 

地方暮らしを希望するみなさんのための移住相談センター「認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター」

http://www.furusatokaiki.net

東京・大阪を除く45道府県の自治体と連携して無料で個別の移住相談に対応しています(要予約)

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