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月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」レビュー連載第2回
毎回、心に刺さる名台詞がSNSでも反響を呼んでいる菅田将暉主演の月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」(毎週月曜21時~)。菅田さん演じる久能整(くのう・ととのう)は、深い洞察力で人の心の闇に迫っていきます。
1月24日(月)に放送される第3話では、いよいよバスジャックとつながりを持つ連続殺人事件の真相が暴かれそうです。まずは第2話を振り返りつつ、第3話の見どころをお届けしましょう。
第2話はここがしびれた!
バスジャック事件に巻き込まれた久能たち乗客は、犯人の犬堂邸に監禁されていました。彼らは邸内で、犯人たちから「これまでに自分が犯した一番重い罪」について問われ、それぞれが過去に犯した自分の罪を懺悔していきました。
町工場の事務員の露木リラ(ヒコロヒー)、主婦の柏めぐみ(佐津川愛美)、バイトが長続きしないという淡路一平(森永悠希)など、それぞれが日常で抱えている鬱屈した想いをそれぞれに吐露していきます。
それにしても、毎回久能の洞察力には感心させられます。彼は常に物事を深く観察しているようで、他人の心の小さなほころびさえも見落としたりはしません。久能がそこをつつくことで、堰を切ったようにように自分が抱える葛藤を吐き出す人もいれば、指摘されたことで、悩みが軽減される人もいます。
いわば本作は、ミステリーでありながら、驚くほど心の浄化作用があるドラマのようです。
心に刺さった名台詞「どうして、いじめられているほうが逃げなきゃならないんでしょうか」
「これまでに自分が犯した一番重い罪」のエピソードでは、淡路と久能のやりとりが特に印象的でした。淡路が告白したのは、子どもの頃に万引を繰り返していた駄菓子屋がつぶれたという内容のものでした。でも、どうやら淡路は、いじめられっ子に無理やり万引をやらされていたようです。
淡路が「あの頃は今みたいに、逃げてもいいよと誰も言ってくれなかった。本当はずっと逃げたかったのに」と悲痛な表情を見せます。それを受けて、整は例によって「僕は常々思ってるんですが、どうして、いじめられているほうが逃げなきゃならないんでしょうか」と切り出します。
このひと言には思わずドキリとさせられました。確かにそれは正論ですが、そういう思考にいくことってなかなかないのではないかと。
整が言うには、欧米の一部では、いじめているほうを病んでいると判断し、隔離してカウンセリングを受けさせるとのこと。でも、日本の場合は逆で、いじめられている子どもに逃げ場を与えてなんとかしようとし、逃げたことで学校にも行けなくなるという悪循環を生み出しているようです。
整は淡路に「あなたは何も悪いことはしてない。だから本当は逃げる必要なんかないんです」と静かに語りかけるシーンにハッとさせられました。久能も言ってましたが、それはいじめだけではなくDVにおいても言えることかと。
こんなふうに整は、毎回、ドラマのなかで出会う登場人物だけではなく、視聴者にもいろんな気づきを与えてくれそうです。
第3話では連続殺人事件の真相が明かされる!
「これまでに自分が犯した一番重い罪」についての話がまだ続いている第3話。前回に続き、元保険会社の重役である奈良崎幸仁(金田明夫)が、部下に自殺されたという重いエピソードを話し始めます。
一方、バスジャック犯たちの動向をかぎつけた風呂光聖子(伊藤沙莉)と青砥成昭(筒井道隆)、池本優人(尾上松也)たち大隣警察署・強行犯一係がようやく久能たちの所在を突き止め、SATを引き連れてやってきました!
どうやらバスジャック事件と連続殺人事件はつながっていたようで、その真犯人が明かされるようです。そこには驚きの事実が!今回も、久能は名探偵ぶりを発揮しそうで乞うご期待!
文/山崎伸子
カレー好きで天然パーマの大学生・久能 整(くのうととのう)がある日、
殺人事件の容疑をかけられて…!?整の言葉に、事件の謎も人の心も解きほぐされていく新感覚ミステ
月刊フラワーズ(毎月28日頃発売)にて連載中!
バックナンバー・連載第1回目