干支絵本を楽しもう!今年は「亥年」です【年齢別!イノシシ&十二支の絵本10選】

今年は「亥年」。今年の主役イノシシと十二支の絵本を、読書アドバイザーの児玉ひろ美さんにご紹介いただきました。地域や学校で読み聞かせをしている方も多いと思います。選本の参考にしてはどうでしょう。

【年齢別に楽しむ、イノシシ&十二支の絵本10選】

イノシシに因んだ言葉と言えば、猪突猛進、勇猛果敢、猪勇など、ひたすら前へ前へと進むイメージが浮かびますね。足の速さは時速45km/hとも言われていますし、前にしか進めないとも言われています。でも、驚いたことに、急停止や方向転換もきちんとできるそうです。子どもの時は背中の縞模様が可愛く「ウリ坊」と呼ばれています。十二支では一番最後の12番目。走るのも止まるのも得意なイノシシにいったい何があったのでしょう。

4歳~

『ウリボウなかよしだいかぞく』 (親と子の写真絵本) 

イノシシはお母さんやおばさんたちの女系の大家族で行動します。それはもう、賑やか!ウリボウたちは、みんなで遊んだり、ケンカをしたり、眠ったり。それはもうかわいくて、目が離せません。写真絵本ならではの楽しさがギュッと詰まった一冊です。

 

うりぼうのごちそうさがし』 

春の初め、いのしし父さんがウリぼうたちにごちそう探しを教えます。でも、幼いウリボウたちは巧くできません。まだ冬眠をしている動物を起こしてしまい大騒ぎ。さてさて、果たしてごちそうは見つかるのでしょうか?不器用なウリぼうたちを応援したくなります。

 

十二支のはじまり (日本の民話えほん)

十二支の由来絵本は数多く出版されていますが、一番のお勧めはこれです。どんなふうにして十二支の動物と順番が決まったのか?イヌが入っているのにネコが入っていないのはなぜか?など、幼い子どもでも納得がゆくわかり易さで書いてあります。絵はどこかユーモラスでありながら温かく誠実で、丁寧な文章とよく合っています。遠目が効き、声に出して読み易い文章なので、幼稚園や小学校での読み聞かせでも、安心して読むことができます。

 

『十二支のしんねんかい』

十二支の由来ではなく、動物たちの紹介です。元旦に十二支の動物たちが新年会。「ぽっこりめでたい はつひので」で始まり、それぞれが語呂の良い言葉で、順番に紹介されてゆきます。そして、楽しい大宴会。最後には全員が内揃って金屏風の前で「あけましておめでとうございます」と、高らかにご挨拶です。柳原良平氏の切り絵も楽しく、お正月ってなんて良いのでしょう!と感じられる1冊。

 

5歳~

『いのしし 』(アリス館写真絵本シリーズ)

表紙を見て、イノシシってこんなに可憐だったのかと驚かされます。六甲に生きるイノシシの親子に密着して取材を続けた記録集です。やはりどの世界も母親は愛情深く、時に厳しい。子どもたちに厳しい自然で生き抜く力が育ってゆくのを感じます。文章がやや多いのですが、写真だけでも楽しめます。

 

ウリオ』 

実話に基づいた物語です。小さくてかわいいイノシシの赤ちゃんがやってきて、家族は大切に育てます。ところが、ウリオはどんどん大きくなり、家の中では飼えなくなりました。家族はウリオを庭で買うことにします。ウリオは悲しくて悲しくて、山に戻ることを決心します。

 

『まゆとうりんこ』 (こどものとも絵本)

元気のいい、山姥の娘まゆのシリーズです。林のなかで、まゆは迷子になったうりんこと出会います。まゆはうりんこのお母さんが見つかるまで、自分がお母さんになることにしました。ご飯を作り、お昼寝をし、一所懸命にお母さん役を務めます。ある日大きなお母さんイノシシが目の前に現れて…。

 

6歳~

『十二支のはじまり』 (行事むかしむかし (十二支のはなし)

おそらく日本中の図書館や小学校で大切にされている1冊。絵のムードからして、子どもが自ら選んで手にすることは少ないかもしれません。でも、大人に読んでもらうと、躍動感のある絵に魅かれる子が多く、30年近く読み継がれているロングセラー絵本です。特にイノシシとイヌが先を争う絵は迫力に満ち、まさに猪突猛進。今年は特におすすめです。小学校の読み聞かせでは、高学年でもよく読まれています。

 

小学校初級~

十二支のはじまり (おひさまのほん)

日本人でただひとりの、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞者(2005)の荒井良二氏の作品は、子どもを楽しませるのが大得意。いたずら心のあるこの作品は、既にお話を知っている子にこそ、お薦めです。縦書きの文章なので幼年童話のような感覚で、読めますが、やまち氏の文章は是非声に出して味わってください。

 

小学校中学年~

『子どもに語るモンゴルの昔話

モンゴルに伝わる昔ばなしが15話収録された読み物です。日本の昔話に良く似た話もありますが、「ラクダとネズミの争い」は干支の話です。でも、ラクダ?と、気になる方は是非、続きをお読みください。本来、語り(ストーリーテリング)のテキストとして編集されていますので、その文章は耳で聞いて子どもがイメージを起こしやすくかつ、読み手には読みやすく整っています。シリーズは現在、全23冊。ふり仮名もあり、子どもの読み物としても最適です。語りのテキストを読み聞かせに活用しましょう。

 

教えてくれたのは

児玉ひろ美|JPIC読書アドバイザー・台東区立中央図書館司書

JPIC読書アドバイザー 台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活躍。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。

 

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