マナー講師が子どもに伝えたい公共交通機関のルール、合言葉は「うさぎ」!

子どもとのお出かけが楽しい時期になりました。木々の緑も深くなり、外で遊ぶにはとても良い季節ですね。ママやパパも素敵な計画を立てて、さあ出発!と思いますが、気になるのは子どもと一緒に公共交通機関を使ってお出かけする場合の子どものマナーではないで しょうか。今回は、子どもたちに伝えたい公共交通機関のマナーについてお伝えします。

 電車やバスでの心配と私の失敗

ママ・パパたちの「子どもとお出かけ」に対する準備の一つが目的地までの移動手段の確認。電車やバスを利用してのお出かけは、喜びそうだけどいい子にしていてくれるかしら? なんて心配があると思います。

以前、私は子どもとお出かけの時は常に気を張っていました。朝起きて機嫌はいいか。持ち物準備では、子ども用の飲み物は持ったか、お気に入りのお菓子は持ってきたか、汚したとき用の替えの洋服は入れたか。電車に乗った子どもに対しては周りのお客様に迷惑になっていないか、騒いでいないか、動き回っていないか。

 

子どもが楽しんでいるか、よりも他人に迷惑をかけていないかがものすごく気になってしまい、車中で子どもたちにかけていた言葉は「そこ触っちゃだめ」「大声で騒いじゃだめ」「動いちゃだめ」と、ダメダメばかり伝えていました。目的地についたころには子どもも、私もグッタリ。

「ダメ」ばかりを言われて子どももシュンとした顔になってしまっているし、私は自分が注意ばかりしてしまって自己嫌悪。パパには「パパもちゃんと見てよ!」なんて言ったりして。これじゃあ目的地についても楽しくないですし、帰りの電車がまた憂鬱になってしまいますよね。

マナーを伝えた後の効果にビックリ

ところが、子どもと一緒に【電車やバスに乗るときのマナー】についてお互い確認し合ってからというもの、公共交通機関で移動するときに子どもの態度にいらいらしたり、注意したりすることは、ほぼなくなりました。確認したポイントは2つあります。

1つ目はお出かけする前に公共交通機関でしてはいけないこと、守らなければいけないことを“どうしてそれをしてはいけないか“まで説明し、子どもが理解し、納得すること。

2つ目は1つ目に確認した状態にするために自分が何をすればいいのか、を頭の中にすぐに思い出せるようにしたことです。

この2つのことが頭の中で整理できた子どもたちは、通常の電車・バスはもちろん、観光で行った先のケーブルカーやロープウェイの乗り物の中でもマナーを守ることができました。

では、どのように子どもたちに伝えたのか、というと、乗り物に乗るときのマナーを

標語にして子どもと共有したのです。

その言葉は「うさぎ」になろう!

 

合言葉は「うさぎ」

避難訓練の時にも標語がありましたよね。「おかしも(押さない、駆けない、しゃべらない、戻らない)」や「おはしも(押さない、走らない、しゃべらない、戻らない)」のように覚えたいことの頭文字を組み合わせます。

うさぎ」は

「う」・・・うごかない!

乗り物は動いたり止まったりするよ。動いている時に歩いて、移動するのは危ないね。

空いている席があったら立ち上がったりせずに動かないで座っていよう。立つときは棒、もしくはママ・パパと手を繋いでいよう。突然揺れても安全だよ。

「さ」・・・さわがない!

電車やバスはいろいろな方が利用するよ。大きな声が苦手な人もいる。それに騒いでいると運転手さんの案内も聞こえなくなっちゃうね。静かにしていよう。

「ぎ」・・・行儀よくする

してはいけない2つのことをしっかり守って、一緒に電車やバスに乗っている人が気持ちよく過ごせるようにしよう。

です。電車やバスを利用するうえで子どもがやってはいけないことを2つに絞りました。そして最後に「行儀よくする」と肯定的に伝えます。

子どもに「電車やバスで注意することはこの3つだよ!カッコいい「うさぎ」になって○○に行こうね!」と目を見て伝えてから電車やバスを利用すれば、子どもたちの心の中に「気を付けるべきこと」が頭の中に入った状態で乗車することができます。

万が一大きな声を出しそうになった時にも「うさぎ、だよね。」と、この言葉を静かに言えば伝わりますし、子ども自身がどのような行動をとれば良いか自分で直すことが出来ます。

親子で共有するとき、女の子でしたら「可愛いお姫様みたいなうさぎで行こうね。」男の子でしたら「これから電車に乗るよ。パパうさぎ1号、ぼくうさぎ2号、ママうさぎ3号で乗り込もう!」など遊びの要素を入れて伝えるのも良いと思います。

 

一度、電車やバスに乗っている途中で子どもが覚えているか確認したかった時、私は自分が忘れたふりをして「○○ちゃん、どうしよう!ママうさぎはぴょんぴょんしたくなってきた!」と言ったら、子どもの方が「ママ、ダメよ。うごかない、さわがない、行儀良くよ!」と言われたことがあります。しっかり覚えていることも確認できますし、ママに教えてあげたことで自分の行動も気を付けなければいけないという意識を高めることもできますね。

一緒に乗っているときはママ・パパも素敵なうさぎになっていることを子どもに見せてあげてくださいね。時々子どもが「(ぼく・わたし)できている?」と確認するように見てくることがあるので、そのタイミングを逃さず目を合わせて頷いてあげてください。手でgoodやいいね!をしてあげると子どもにとって励みになりますよ。

 

目的地について降りた時には「素敵なうさぎだったね」「しっかり任務完了できたね!」「かっこよかったね!」など沢山褒めてあげて、うさぎの行動が定着するようにしてあげてください。皆さんのお出かけが楽しい時間となりますように。

赤名 麻由子

シニアマナーOJTインストラクター|キッズマナーインストラクター
一般社団法人マナーOJTインストラクター協会所属。資格取得後、保育園やカルチャーセンターにて子どもたちにマナーを伝える活動を行っている。二児の母。

文・構成/赤名麻由子

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