小2で『牛乳とカルシウムの関係』を探究学習!瀬戸SOLAN小学校の学びがスゴイ!【無料/小学館思考力テスト付き】

国や地域を超えて世界規模で社会の中で生きていくグローバルシチズンシップを育成する瀬戸SOLAN小学校。愛知県瀬戸市に広大な敷地を持つ私立小学校で、神奈川県相模原市にあるLCA国際学園の提携校です。公立小学校でも始まっている探究学習や英語を本格的に実施し、子どもたちは広々とした環境の中、「感じて考える力」を養い、個性豊かに育っています。

探究学習を軸とした独自のカリキュラムが魅力 瀬戸SOLAN小学校の学びとは

愛知県瀬戸市にある瀬戸SOLAN小学校は、探究学習を軸に、オリジナリティあふれる最先端の学びを創出している注目の小学校です。具体的にどんな環境でどんな教育をしているのか、副校長の三宅貴久子先生にインタビューしました。

そして、瀬戸SOLAN小学校ならではの学習を自宅で学べる教材についてもご紹介します!

三宅貴久子(みやけ・きくこ)先生

瀬戸SOLAN小学校副校長。

探究学習のプログラム開発のリーダー。関西大学総合情報学研究科総合情報学専攻博士課程後期 課程を修了(博士(情報学))
2012
年からNPO学習創造フォーラムFilC のメンバーとして5年間インドの小学校の支援活動を続けた。関西大学初等部の立ち上げに関わり,思考力育成及び国際理解教育のカリキュラム開発に着手。そのスキルを持ち、瀬戸SOLAN小学校へ。教師人生約40年。

瀬戸SOLANメソッドとは?

HugKum編集部:探究学習、ICT、英語。公立小学校でも、近年力を入れ始めている分野ですね。しかし、特に探究学習や英語については実現・定着がなかなか難しいことのように思えます。瀬戸SOLAN小学校では、それぞれどのような視点とやりかたで実現しているのでしょうか。

三宅先生:まず、上の本校のカリキュラムの全体像をご覧ください。

本校は、「習得」ー「活用」―「探究」という3つの学びの場を設定しています。

「習得」は、知識の習得を確実に行うことをねらいとした授業。図の1、2に当たります。

「活用」は、習得した知識を教科横断的な文脈で活用できることをねらいとした授業。単一の教科及び教科横断のプロジェクト学習です。図の3、4に当たります。

「探究」は、子ども自身の興味に応じた課題解決を通してこれからの社会に必要な資質・能力を育成することをねらいとした授業。90分の時間設定で、子どもたちが主体的・創造的な学びを展開します。現在1-3年生まで合同で探究の授業を実施しています。1年生から一人1台のiPad、図書資料、新聞資料等を活用しながら探究活動に取り組んでいます。

学びを3種類に分け、それぞれ適切な時間配分+@英語授業で 英語教育を深める

HugKum編集部:なるほど。学びを分け、授業時間を設定しているのですね。

三宅先生:学びの種類で言いますと、漢字を覚えるのは「習得」、話し方やライティングスキルを身につけるのは「活用」、何かひとつの課題をもって問題解決的な読解をするのは「活用」にあたります。

漢字や算数の計算だけを学ぶ時間は、45分かけなくても15分程度でいいと考えています。他の学びの中でも定着していきますし。

また、英語はそれ自体を学ぶ授業を週2~3時間行うほか、全学習の4割を、英語を使って実施しています。

図工、音楽、体育はすべて英語で実施し、算数と生活は週1時間は英語を使って授業をしています。

教師は自分の授業をどこに持っていくのかを意識し、目標設定をしていきます。同時に、生徒たちにも、今どこを学んでいるのかの意識を持たせます。中でも、「しっかり考える」授業デザインのほうを重視していきたいと私たちは考えています。

探究は子ども自身それぞれが課題を決めてじっくりと

三宅先生:中でも「探究」は、子ども自身の興味に応じた課題解決を通してこれからの社会に必要な資質・能力を育成することをねらいとしています。1年生から一人1台のiPad、図書資料、新聞資料等を活用しながら個別の探究活動に取り組んでいます。

子どもが気になるものはどんどん深掘りする 探究学習とは

HugKum編集部:では、SOLAN小学校では「探究学習」をどのように実現していくのですか?

三宅先生:去年の一例でいうと、2年生の生徒が「カルシウムはなぜ人間にとって必要なのか」を探究しました。

きっかけはおかあさんが牛乳を「飲みなさい!」と言うけれど、なぜ飲まないといけないのか、という疑問でした。

調べていくと「カルシウムは骨をつくる」とある。じゃあ、そもそも骨ってどうなってるの?

人体については6年生で習うからわからないんですね。では、人体模型図を一緒につくってみようかと一緒に取り組みました。

そこに骨の名前をシールで貼っていこう。内臓はどこにあるかな。そういう探究の中で、「骨ってすごい」と可視化されました。

次に、「カルシウムが含まれているものは牛乳以外にあるの? チーズもあるよね、それなのになぜおかあさんは牛乳って言うんだろう」。そこで、スーパーに行って、実際に牛乳とチーズそれぞれの、価格に対するカルシウムの量を見てみると、牛乳の方が安いのに、カルシウムが多いことがわかりました。

おかあさんが言っていた「カルシウムが大事だ、牛乳を飲もう」の理由はよくわかったから、牛乳を飲もうと思った、自分の体に興味・関心を持ったから、もっと調べていきたい、となりました。

HugKum編集部:すごい……、小学2年生でそこまで探究するのですか。

三宅先生:1年生で、環境にやさしいエネルギーをテーマにした子もいました。それぞれが探究したいことをとことん探究していく。この探究には終わりがあるわけではなく、ずっと続いていくものでもあります。

保護者サポーターが探究学習に関わることも瀬戸SOLAN小学校ならでは

三宅先生:この探究学習には、保護者サポーター制度というのを作って、保護者のかたも授業に関わっていただいています。そのとき、教師も保護者も大切なのは、大人は先回りして答えずに待っているということです。もちろん、「何か困っている?」と声をかけますが、親御さんには、「教えなくていいから、一緒に寄り添いましょう。」と伝えます。子どもひとりひとり思考のしかたが違うので、セオリーはないのですが、とにかくその子の個性を大事にして寄り添うことが重要です。

学習指導要領に即し、なおかつ探究学習を充実

HugKum編集部:なるほど、探究学習の意義は深いですね。ただ、そうした探究学習に時間をかけると、公立の小学校で学ぶような基礎的な学習が浅くなるということはないのですか?

三宅先生:本校は一条校(学校教育法(昭和22年法律第26号)の第一条に掲げられている教育施設)なので、あくまでも学習指導要領に即して授業を展開しています。ですから、漢字の習得も計算ももちろんやります。探究学習だけに時間を費やすわけではありません。

暗記型、概念的知識習得、教科における問題解決的な学習、教科横断のプロジェクト学習、探究学習5つの学びの場を設定して、時間内に収めています。また、15分のモジュールの中に「情報」の時間があり、その時間に、iPadの操作スキルも含め情報活用能力の育成の授業も行っています。

HugKum編集部:探究学習に時間をかけ、学習指導要領もきちんとおさめる。それは難しくはないのでしょうか。

三宅先生:二兎を追う者は、二兎を追え、です()。矛盾しているからこそ、難しいところを目指していく改革をしていけるのだと思っています。

広々とした校庭、充実の設備、開放的でフレキシブルな環境が、子どもをのびやかで創造力豊かに育てる

HugKum編集部:SOLAN小学校の学習環境はとてものびやかで自由な印象です。この環境は、子どもたちの情操や学習にどのように影響を与えますか?

 

三宅先生たとえば、1階にある学習創造空間ラーニングコモンズは、子どもがさまざまな人々と自由に学び合う場として、主にプロジェクトや探究の時間に活用しています。全体でミーティングをしたり、グループに分かれて活動したり、あるいは個別に学んだりと、ととてもフレキシブルです。

三宅先生:同様に教室も、ドアがない開放的な学習空間となっています。教室では主に、習得や活用の教科学習を展開しています。

大きなホワイトボードが3面あり、子どもたちが自分の考えを自由に書きたくなるようなつくりになっています。

外履きのまま入るので、上履きを脱いで「きちんとそろえなさい」みたいに言われるストレスもありません。

学習環境のデザインの構築が授業開発のカギ」になると、私は考えています。

そして、授業開発を活動、空間、共同体という3つの視点から考え、授業をどの空間で、どのような人たちとの学び合いで展開していくのかを検討し、授業を開発しています。開放的な空間があればこそ、子どもの主体性、創造性が培われると考えます。

人工芝の校庭も、とても広いんですよ。見学に来る保護者のみなさんから、歓声が上がるほどです。

より深く知りたい、調べたい!調べ方にもSOLANならではのメソッドがあった

HugKum編集部:三宅先生が小学生の学習に対して大事にしていることを、教えてください。

三宅先生一番は、物事に対し興味・関心を持って、より深く知りたい、または調べたいという欲求や気持ちを持たせること。自分が知らないことを探したり、見つけたり、また、知らないことをとことん知ろうとする・理解しようとする場として、プロジェクト学習や探究学習はとても重要です。子どもたちは、この時間が大好きなんですよ。

HugKum編集部:探究学習の中でSOLAN小学校が取り入れている「思考ツール」について教えてください。

三宅先生:SOLANでは、上のような「思考ツール」を、問題解決に使います。

おうちの方も、ベン図やピラミッドチャートなどは、仕事で使ったことがあるのではないでしょうか。

ベン図はふたつの事象を比較するときに使います。比較するのだけれど、重なり合う部分もあるのだということを、図から理解できます。ピラミッドチャートは、思考を積み重ねた到達点を示すなど、図と考え方がわかりやすくマッチしています。

Xチャート、Yチャートは物事の分類に使えます。

くま手図や、お魚ボーン図は、ひとつの事柄を多面的であると、とらえることができます。

たとえば、くま手図を使い、「スイカをいろいろな方向から見よう」という提案をします。「外は縞柄、中は赤」「種がある」「私の顔と同じくらいの大きさのものが多い」などなど、さまざまなことが思い浮かびます。視点ごとに整理することで、スイカというものの特徴をわかりやすくまとめることができます。

子どもたちはこのような図形=考える技を、使って学んでいます。図形を使って考えると、自分の考えを可視化できるところが大きなメリットだと思いますね。

ただ単に、興味がある分野を知るだけはなく、考える技を使って、探究学習することで、より一層理解を深めます。「思考ツール」を使うことで頭の中が整理され、アウトプットの完成度も高まります。自分で学んだことを、伝える力もつきますね。

思考ツールは筋トレのように、授業の随所で登場し、子どもが使うことで体得していきます。

HugKum編集部:すごいですね。大人でも使ったことのないチャートがたくさんありますね。親も一緒に学びたいくらいです。

三宅先生 この先は、今の子どもたちが世界を作っていく時代です。世界市民のひとりとしてこの社会を作っていくためには、地頭で考えることが必要です。人が言うのを待っているのではなくて、先生が言ったことを「こうしたほうがもっといいじゃん」とハッキリ考えを言える人に。先生が言ったことがなぜそうなのか、こっちのほうが僕はいいと思うけれどなぜしないといけないのか、自分はずれているんだろうか、そのようなことを自分で考えられる人になってほしいですね。

時として、生徒と教師は議論になるんです。私たちは子どもたちを子ども扱いしないし、彼らも先生に向かってきますからね。それがいいんです。きちんと思考して、先生を乗り越える人になってほしいですね。

HugKum編集部:お話をお伺いして、瀬戸SOLAN小学校の学びを、自分の子どもにも学ばせたい!という思いが高まります。

三宅先生:ご自宅でも考える練習ができる教材を作りました。これを使って、SOLANの探究学習の一端を学んでみてはいかがでしょうか。自分から思考ツールを使って情報を整理をしていくお子さまの姿が見られると思いますよ!

思考ツールを使った学びは、通信教育でも受講できます!

「名探偵コナン」のキャラクターが登場する小学生のための「名探偵コナンゼミ 通信教育」では、毎月SOLAN小学校でも活用されている、思考ツールを使った学びを取り入れています。

『思考の達人ツール』

 

このように「考えてアウトプットする練習」をしていくことで、答えが1つではない問いに対して、きちんと自分の考えを整理・表現できるようになっていきます。

「名探偵コナンゼミ」について詳しくはこちら>>

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三宅先生が監修した、SOLANの学びを体感できるチャンス。さっそく「ライオンとゾウ」を比べて、ベン図にまとめてみましょう!

思考力テストは7月31日まで、参加できますよ。

対象年齢:小学1、2年生向け

名探偵コナンゼミの通信教育の公式サイトからは、全学年の小学生に向けて、1週間分のおためしワークブック配信中。思考ツールも体験していただけます。公式サイト「名探偵コナンゼミ 通信教育」までアクセス!

文・構成/三輪泉

構成/HugKum編集部

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