24歳、白血病YouTuberが伝えたいこと。子どもが重い病気になっても、親はとびきりの笑顔でいてあげて

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世の中には重い病気を持つ子どもがいるけど、まさか自分の子がなるわけがない……。そう思っていませんか? でも、実際ついこの間まで元気だった子が、治りにくい病気になることってあります。そんなとき、どう対処したらいいでしょうか。
5歳で白血病を発症し、通算10年入院していた経験を話すYouTuber、「にゅーいん」こと竹内蔵之介さんが「親にこうしてほしい!子どものホンネ」を語ります。そして母親の郁代さんからも、アドバイス。周囲の病気の子への声がけにも、参考になるはずです。

夜中に熱が出ては下がる……それが白血病の始まりだった

にゅーいんさんが発病しているのを知らずに名古屋へ家族旅行。この後白血病と診断された

にゅーいんさんは5歳で白血病を発症したのですね。それまでは元気だったのですか?

はい、まったく元気でした。急に夜間に熱が出るようになったんですよ。でも、朝には熱は下がってる。休日診療で診てもらったときは「寝冷え」などと言われていましたが、後日小児科クリニックで診てもらったら、そこのドクターに「国立の病院に行ってください」って言われて、検査を受けた結果、白血病、つまり血液のがんだってわかりました。

それから長い長い入院生活と治療や移植が始まったのですよね。

そうですね、いま僕は24歳なんですけれど、人生の半分近くは入院してるかな。抗がん剤、放射線、感染症予防の投薬、移植……、できる治療は全部やりました。そのせいで成長ホルモンが出にくかったり、息切れしやすくなったりしていますが、今は寛解の状態で、治療の影響でわずらった気胸のために入院しています。

*症状がおさまって安定していること

子どもは病気の内容はよくわからない

入院中、パパといっしょに。薬の影響で顔がまん丸に

治るかもしれない、でも重い病気だから治らないかも……、そんなとき、子どもってどんな心境なんですか?

痛いとか熱が出てるとかは意識するけれど、正直言って、どんな病気かなどは、子どもにはピンと来ないんですよね。そりゃ、中学くらいになれば、病気のこともだんだんわかってくるけれど、知識もないし。「幼稚園行けないなぁ」とか「友達に会えないなぁ」ってガッカリしている感じ。

小さい子だと、自分の身に何が起こっているのか、よくわからないんですね。

そうなんです。でもね、周囲の人の心配とか不安な感じは受け取るんです。受け取って、なんだかわからないけれど、子どもも不安になっちゃう。

大人の不安は子どもにも反映する。だから笑顔で!

だからね、僕は病気になった子のパパママに言いたいんだけれど、

とにかく、大人は笑顔で毎日を過ごしてください!

自分の子どもが重い病気になったら、大変だしつらいに決まっています。「なぜうちの子が……」とか泣きたくなっちゃいますよね。

でも、子どものほうがもっと大変じゃないですか。病院から出られないし、毎日痛い注射もしなければいけないかもしれないし、お薬入れて気持ち悪くなったり頭痛くなったり。それなのにパパもママも悲しい顔して、自分のことを見るとなったら……。いやですよね? ネガティブの連鎖みたいになっちゃいます。

笑うときは、「心から明るく」、お願いします。子どもって敏感なんです。無理に笑っていると子どもにはバレちゃいますから。

子どもの病気が心配でたまらないのに、笑顔でいるって、難しそうです……。

そうですね。それにはね、信頼できるドクターや病院を探すことが大事。その上で

・深く考えないこと

・病気について調べすぎないこと

も重要かな、と思います。

病気を深刻に考えず、「きっと治る」と思おう

幼稚園にて仲良しの友達と。高知のよさこいの踊りの練習をしていた元気なころ。右がにゅーいんさん

うちの子、がんになっちゃったけれど、現代医学で解決できないことはそうそうないでしょう!」

みたいに、ちょっと無理にでも思ったほうがいいです。僕の母もそんな感じでしたね。

病気について調べると、副作用だとか、その病気による死亡率だとか、後遺症だとかね。そういうのばっかり目について、暗くなってしまう。

この、「親が暗くなる」のが子どもにはちょっとつらいんです。でも、お子さんの場合とそこに書いてあることでは、違っていることもけっこうあります。難治性の病気でも、薬でコントロールしながら元気にやっている子もいますからね。

子どもと真剣に遊ぶ。そして子どもの笑顔に癒されよう

病気について調べすぎず、明るく過ごすにはどうしたらいいでしょう?

・子どもが喜ぶコトをやって、一緒に喜ぶ

がいいと思います。悲しい気持ちを断ち切れなくて、つい子どもの前で暗くなっちゃうな、と思ったら、子どもの好きなモノやコトをお子さんに見せてあげてください。お子さんがアンパンマンが好きなら、アンパンマンのDVDとかおもちゃを借りてきて見せてあげる。

子供はキャッキャッて喜ぶわけです。そうやって子どもが喜んでいる姿を見たら、ご自身も和やかな気持ちになれるんじゃないかなと思います。

笑顔って、すごく大事だと思うんですよ。僕自身、病気になっても笑顔でいようってずっと思って実践しているんです。不安な顔しても、いいことないですからね。

大学入学の頃。少し小柄でスリム

大学入学半年で、病気が再発

僕はいったん中高あたりで病気が落ち着いて、ひとり暮らしの大学生活を送りたくて、岡山の大学に入学したんです。でも、入学して半年で再発してしまった。そのときはすごくがっかりしました。この先、勉強したり働いたりってできるのかなと。

でも、思い直したんです。嘆いたり不安になったりしてもしょうがない。同じ病気を持つお子さんやその親御さんに白血病の情報と「笑顔で過ごす」ことの大事さを伝えよう、そう思ってYouTubeを始めました。そして、僕のしゃべりをまとめた本も出したんです。

笑顔で重い病気と付き合っていくコツもたくさん書いてありますから、もしよかったら手にとってほしいな、と思っています。

にゅーいんさんの母親も語ります!

HugKumのために、蔵之介さんの母親・竹内郁代さんが「病気の子を持つ親」の立場で話してくれました。ここでは蔵之介さんとは少し違う視点で、「病気の子に伴走する母親」のあり方について語ります。

時間はかかっても、子どもの病気をしっかり受容することが大事

――蔵之介さんが、「うちの母は病気を深く考えすぎず明るく接してくれた」と言っています。

そうですね。でも、「明るく接する」ってそう簡単じゃないですよね。まずは病気を自分なりに受け止められなければ、笑うこともできないので。「子どもの病気を前向きに受け止められるようになる時間」については、人それぞれだと思います。受け止めるためにグチを言ったり泣いたりするのも、当然だと思うんですよね。時間がかかってもちゃんと納得できるようにすることが大事だと思っています。

担当医、看護師さん、先生、心療内科の医師に聞いてもらおう

周囲のママ友達などに相談するのもいいですが、それだとかえって気を遣ってしまうこともあります。私の場合は、担当の医師や病棟の看護師さん、それに大きな病院だと病児教育の先生が勉強を教えに来てくれるのですが、その先生にもよく話を聞いてもらっていました。聞いてもらうと心が落ち着いて、受け止めやすくなります。

また、もともとてんかんの持病があるので、精神科に通っているんですね。だから精神科医の先生にも話を聞いてもらっていました。精神科や心療内科に行くのをためらう方は多いですが、あちらは「聞くことのプロ」なので、お子さんの病気を受け止めようと思って話しに行けば、きっと心が落ち着くと思いますよ。

周囲の人は「がんばって」と言わないで!

よく、周囲の人が「大変ね、パパママががんばらないとね」と言ったりしますが、あれはどうかなって思います。みなさん、病気の子を持った時点で、精一杯がんばっていますしね。うちの娘(蔵之介さんの妹さん)は、「お兄ちゃんの分までがんばらないとね」って言われたと憤慨していました。

「おにいちゃんが病気になって大変なのはわかる。でもなんで私がお兄ちゃんの分までがんばらないといけないの? それってお兄ちゃんにも私にもちょっと失礼じゃない?」って。たしかにそうですよね。

子どもと夢中で遊ぼう。そしてきょうだいにも目配りを

――そうやって気持ちを落ち着かせて病気を受け止めたら、お子さんには、どのように接すればよいでしょうか。

それは蔵之介が言っているように、入院中は明るく楽しく、お子さんとたくさん遊ぶといいです。子どもと遊んでいるときは、病気のことを忘れますし。いっしょにカードゲームをしたりして、はしゃぎましたね。私は大人げないので、息子には負けませんでした()。でもそれぐらい熱中したほうがいいと思っています。

あともうひとつ、ぜひお伝えしたいのは、きょうだいがいる場合、どうしてもきょうだいに影響が出ることは、頭に入れておくといいと思います。

うちの場合、夫や祖母などと交替で毎晩息子の病室に泊っていたので、下の娘はおばあちゃんの家に預けたんですね。それがいろんな面で彼女に影響を与えたと思います。不登校になったりもしましたからね。パパママがどんなに気を配っても、きょうだいはつらいと思うかもしれません。そんなきょうだいの気持ちも受け止めてあげられるといいな、と思いますね。

 

にゅーいんこと竹内蔵之介さんは、白血病は寛解状態だったものの、肺疾患により2022年9月13日早朝に急逝されました。
謹んでご冥福をお祈りします。

 

いつか、未来で白血病ユーチューバーが伝えたいこと
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にゅーいん|竹内蔵之介
1998年、高知県生まれ。5歳でステージ4の白血病と診断される。7歳で余命宣告(5年生存率5%)を受け、当時5歳の妹からの骨髄移植を行う。再発を繰り返しつつ、白血病治療の副作用に苦しみながらも学生生活を送り、一浪して大学に進学。一人暮らしと大学生活を始める。現代で可能な急性リンパ性白血病移植法3種類をすべて行い、トータル入院期間は10年。今も後遺症と闘いながら、自身の経験を発信している。チャンネル登録者数5180人(2022年8月)。https://www.youtube.com/channel/UCm1c0cszrcpXY5hHCvTGmUg

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