「家庭での食事にとても時間がかかります」【保育経験41年・元園長先生の相談室25】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

4歳の男の子です。園ではきちんと食べているようなのですが、
家庭での食事に時間がかかります。集中して食べられず、食べこぼしもします。どうしたらいいでしょう。

神奈川県 K・Mさん

 

まずは空腹感を持たせて食事に専念できる環境づくりをしましょう

家庭における食事の問題は、実は離乳食時代から起こっていることが、ままあります。赤ちゃんの頃はお母さんは食べさせるのに一生懸命。食事中につかまり立ちをしようが、ハイハイで机をはなれようが、お母さんが、食べものを口に入れてあげる場合が多いものです。そして、それが延長した形で、幼児期に食事に集中しないケースがよく見られます。

まずは、食事に集中しない原因は何なのかを考えてみてください。食事に集中するのにもっとも重要なのは、食事のときにお腹が空いているかどうかです。間食の量を減らしたり、運動をさせたりなど工夫して、空腹感をしっかり持たせるようにしてください。

また、食事に専念できる環境をつくることも大切です。子どもの気が散るおもちゃなどは片づけて、テレビも消して食事に臨みましょう。さらに、子どもだけで食べさせないことも重要です。お母さんもいっしょに食卓を囲み、子どもときちんと向き合いながら食事をしましょう。

小さなうちは食事に関する話をしながら食べさせると、食べることに興味がわくのでいいと思います。「この料理は何で作られていると思う?」「今日のお弁当はどうだった?」など、話題は食に関することなら何でも構いません。楽しい雰囲気づくりを心がけましょう。

食事の量をチェック遊び食べをしたら片づけてしまいましょう

それでも食事に集中しないようでしたら、思いきって食事の量を減らしてみるのもいいと思います。お母さんが食べさせたい量と、子どもが実際食べられる量が異なるケースもしばしば見かけます。食事を楽しいものにするためには、「食べ切れた」という達成感を持たせることが重要です。残さず食べ切れたら、「すごいね」と言ってほめてあげ、食べ足りないようなら追加してあげればいいのです。

また、遊び食べが始まったら、子どもに「食べないの?」と確認したうえで、思いきって片づけてしまいましょう。そして、その後は子どもがどんなにせがんでも、一切食べさせないようにするのです。子どもがお腹を空かせている姿を見るのは心が痛むと思いますが、ここは心を鬼にして我慢することが肝心です。大体1週間ぐらい続けると、ほとんどの子どもは、食事の時間にしっかり食べるようになるはずです。

 

ある程度きちんとできるようになったらマナーも教えましょう

このようにして、ある程度きちんと食べられるようになったら、食事のマナーも教えてあげましょう。「スプーンや箸の正しい持ち方」「適量を口に入れて、きちんと嚙んで飲み込む」などは、小さなうちから少しずつ身につけておきたい習慣です。大きくなると、家族以外の人とも、さまざまな場で食事をするようになります。そのとき、みんなで気持ちよく食べられるようにしておくことは、親の大きな役目。毎日、食卓を囲みながらお母さんがその手本を見せてあげることで、お子さんは少しずつマナーを身につけることができるのです。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2015年7月号

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