「息子の言葉づかいが悪く、注意しても直りません」【保育経験41年・元園長先生の相談室22】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

3歳の息子の言葉づかいが、最近気になります。幼稚園のお友だちからの影響が大きいと思うのですが、注意をすると余計に、ひどい言葉を発します。どうしたらいいでしょう。

大分県 H・Yさん

 

周囲からいろんなことを吸収し、実践する時期。ある程度仕方ありません

子どもは2歳ごろから自我がめばえて、いろんなことを自分でしようと試み始めます。そして、それと呼応するように、お母さんや友だちなど周囲の人やモノからさまざまなことを吸収していきます。

だから、幼稚園でお友だちから新しい言葉を仕入れてきて、それを使うのは、仕方がないことです。そして、子どもが好きな言葉は「ウンチ」や「おしっこ」とか、「バカ」や「おまえ」といった、汚い言葉や攻撃的な言葉が多いんですよね。なぜなら、こうした言葉を使うと、周囲の大人たちが嫌がって、過剰な反応をするからです。子どもにとって、そうした反応を見るのは初めてで、とてもおもしろい出来事。また、そうした大人の嫌がる言葉を、友だち同士で使うことで、仲間意識を高めて、楽しんだりもしているのです。

好ましくない言葉を使われたときの嫌な気持ちをしっかり伝える

相談者のお子さんのような状況になったとき、大事なのは好ましくない言葉をお子さんが話すたび、「その言葉を聞くのはママは嫌だ」と冷静に伝えていくことです。そして、「その言葉は聞きたくない」と言って、そのあとは取り合わないようにしましょう。

もちろん、お母さんがそうした態度を一度とったからといって、子どもはその言葉を使うのをすぐにはやめないものです。しかし、そうしたやりとりを繰り返していくうちに、年中から年長児になるころには、お友だちには使っても、お母さんには使わないようになってきます。つまり「場をわきまえる」ようになるわけです。

そうして小学校低学年くらいになると、言葉に対する自分の価値観が持てるようになってきて、友だち同士の会話でも、自分が好ましくないと思う言葉は使わないようになります。例えば、相手が「おまえ」と言っても、自分は相手を「○○ちゃん」と呼ぶようになります。

 

美しい言葉を育むにはふだんの親子の会話が大切

乳幼児の場合、言葉というのは友だちだけでなく、お母さんや家族の影響がとても大きいものです。子どもがままごと遊びで友だちと交わす会話には、ふだんのお母さんの言葉づかいがそのままにじみ出てきます。また、同じ言葉を使っていても、その言い方や語感には各家庭の雰囲気が感じられます。

だから、お子さんに美しい言葉を使わせたいと思ったなら、お母さんも言葉づかいに気をつけることが必要です。

私は園のお母さん方には「お子さんとしみじみと話してください」とお願いしています。「しみじみ」話すと、自然に言葉や語感がやわらかくなり、やさしい会話になります。一日のうち、夕食や夜寝る前だけでも構いません。お母さんの幼いころの思い出や想いなどをお子さんにゆったりと話す機会を持ってみてはいかがでしょう。お母さんが語るそうした言葉は、お子さんの心にしみわたり、やがて気持ちのいい会話ができる子どもになると思います。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2016年1月号

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