「最近、叱ってばかり。感情的になって怒鳴ってしまうこともしばしば…」【保育経験41年・元園長先生の相談室21】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

3歳半になる娘を、最近、叱ってばかりいます。感情的になって怒鳴ってしまうこともしばしば。そんな日は、子どもの寝顔を見ては、反省しています。アドバイスをお願いします。

千葉県 N・Mさん

 

感情的に叱ってしまうのはある程度は仕方ない

親が子どもを叱るには、さまざまな理由があります。例えば、子どもが危ないことをしていたり、ルールやマナーを破っていたりする場合の注意喚起。また、子どもへの期待を強く持ち過ぎている場合や、子どもが親の都合通りに動かない場合なども子どもを叱ってしまいがちです。そして、ときにはそんな子どもの言動にいら立ちを感じて、怒鳴ってしまうこともあるでしょう。

しかし、そうして叱ってしまうのは、お母さんやお父さんが子どもがより良く育つことを願っているからです。また、いくら親でも人間です。家族としてずっと一緒に暮らしている以上、その思いを感情的に表現してしまうのは、ある程度は仕方ないことだと私は思います。また、親がときにはきつく叱ることで、子どもにとってはそれが衝撃となって、「してはいけないことだ」としっかり気づくことにも繋がります。だから、親が子どもを厳しく叱るのは、ある意味大事なことだとも思うのです。

叱った後のフォローを忘れずに行いましょう

むしろ、叱ったあとの親の態度がとても重要で、フォローを忘れずにしてほしいですね。感情的に叱ってしまった場合も、しばらく経って冷静になり、互いに気持ちが落ち着いてきたら、「さっき叱ったのは〇〇をしたからよ。ママは悲しかった。次からは〇〇するようにしようね」と言って、叱った理由と親としての思いを子どもに伝え、次回からどんな態度をとることが必要か、なるべく具体的に教えるよう心がけてください。なぜなら叱りつけるだけでは、子どもは叱られた意味がわからないからです。叱られっぱなしの子どもは、やがて親の叱る言葉を聞き流すようになり、親の思いが届かなくなります。

とはいえ、そうして子どもに伝え、子どもが納得したとしても、一度でできるようになると思わないことも大切です。子どもの育ちというのは、一度の注意で身に付くこともあれば、一か月、もしくは一年かかることや、ときには大人になるまで待たなければならないことなど、さまざまだからです。特に幼児の場合は、状況が変わると同じ過ちをしてしまうことのほうが多いでしょう。

もし、お子さんが同じ過ちをしたら、おうちの方も同じように注意をして、親としての思いを繰り返し伝えてあげていってください。あきらめず何度も伝えていくことで、子どもは必ず親の願いを受け入れて正しい行動ができるようになります。

相談者のお母さんは叱ってばかりいる自分を責めていますが、このようなフォローを欠かさずしていけば大丈夫ですよ。親の思いに耳を傾け、それを自分なりに消化して行動できるようになった子どもは、やがて大きくなってからも、親の言葉や思いを“自分の生きる力”に変えることができるようになります。

そういう子どもの未来の姿を思い浮かべながら子育てをしてみてください。きっとすてきな親子関係が築けると思いますよ。

 

回答していただいたのは…

 

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2018年8月号

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