冬休みの宿題【小学1年・2年 硬筆】上手く書くにはコツがある!合い言葉は「おなかグー、背中グー、紙とおでこにパー2つ」

 小学校の「書き初め」というと筆を使った書道をイメージする方も多いですが、1,2年生では鉛筆で字を書く「硬筆」が一般的です。それまでに習ったひらがなや漢字を使って、お手本を見ながら5行~6行の文を書き写します。今回は1,2年生の硬筆のコツと、ママパパの具体的なサポート方法を元小学校の先生が解説します。

12年生の書き初め「硬筆」を上手に書くコツは?

小学1,2年生の書き初めは、鉛筆で書く「硬筆」が一般的です。

硬筆は「お手本のとおりに書く」のが大前提です。ただ、1,2年生のお子さんにとって、5行も書き写すのは、簡単なことではありません。実は、ちょっとした工夫をするだけで、驚くほど集中して書ける子が多いのです。まずは、上手に書くためのワンポイントアドバイスをご紹介します。

お手本を、用紙のすぐ真横に置く

“お手本を見て書く”ように指導がありますので、お手本と用紙を横並びに置いて書くお子さんが多いですよね。実は、書き写しが苦手なお子さんは、横並びに置いていても一度目を離すと「次はどこのマスに書くんだっけ?」「あれ?なんて書くんだったかな?」と忘れてしまうことがあります。

お手本を1行ずつ折って、書きたい行の真横にお手本を置いてあげると、目線を移動させなくと良いので書き写しやすくなります。「お手本を折るのはちょっと…」ということなら、お手本をコピーして、コピーしたものを折れば問題ありませんよ

お手本を1行ずつ折って、真横に置きます。

 書きたい行をおへその前に

机に向かっているとき、体が左右に傾きがちなお子さんは、体の位置とプリントやノートの位置がずれているのかもしれません。体よりもだいぶ右の方にプリントを置き、体を右に傾けて書いていることはありませんか。

そんなときは、書きたい行を、自分の体の正面に持ってきましょう。自分が用紙の場所に行くのではなく、用紙を自分の前に持ってくるのです。お子さんには「おへその前に、紙を持ってくるんだよ」と伝えてあげると分かりやすいですよ。

姿勢の合言葉は、「おなかグー、背中グー、紙とおでこにパー2つ」

 丁寧な字を書くには、姿勢が大切です。「姿勢を良くしてね」と声をかけてもなかなか伝わらなかったり、すぐに崩れてしまったりするお子さんもいますよね。集中するあまり、どんどん背中が丸まって、紙に近づいてしまう子もいます。

そんなときは、「おなかグー、背中グー、紙とおでこにパー2つ」の合言葉がおすすめです。椅子に座ったとき、机とお腹の間に握りこぶし1つ分、背中といすの間にも握りこぶし1つ分、そして紙とおでこの間をパー2つ分空けるのです。

「姿勢が崩れてきたな」と感じたら、「おなかグー、背中グーだよ」「○○ちゃん、パー2つね」と声をかけてみてください。

紙とおでこにパー2つ、です

左利きの子は、ものの配置を逆に

 右利きのお子さんが多いので、どうしても学校の授業では右利きのお子さんを想定した指導が多くなってしまいます。左利きのお子さんの場合は、お手本と用紙の配置を逆にして、お手本を見やすくしてあげましょう。

手伝ってあげたい気持ちは山々なんだけど…親はどうサポートしたらいい?

 「計算や漢字なら教えてあげられるけど、書き初めってどうサポートしたらいいの?」と思うママパパもいますよね。字を書くのを手伝ってあげるのは難しいですが、取り組ませ方やよりよい声かけを知っているだけで、お子さんのモチベーションはぐっと変わるかもしれません。

続けて何枚も書くより、集中して1枚だけ!

書き初めで丁寧な字を書くには、集中力が必要です。また、名前も含めて5行から6行ほど書きますので、手も疲れます。

筆者が小学校で1,2年生の担任をしていた際には、「自分の速さでいいから、集中して丁寧に書こう」と伝えて練習時間を作っていました。何度か12年生を担任しましたが、どんなクラスでもこんな結果に…。

2枚目まで集中して書ける子…2割

1枚目が終わると集中力が切れるけど、なんとか2枚目にチャレンジする子…3割

1枚目が終わって、「もう無理…」とぐったりする子…4割

1枚目の途中で集中力が切れる子…1割

2枚目にチャレンジする子もいましたが、やっぱり集中していた1枚目が最も丁寧に書けていました。

そんな経験から、続けて何枚も書くより、集中して1枚だけ書かせることをおすすめします。1日に何枚か書かせるときには、“朝1枚、夕方1枚”“1枚書いたらおやつを食べて、それから2枚目”など、しっかりと休む時間をとってあげましょう。

 声かけは具体的に!

ママやパパからの言葉は、本当に影響力の大きいもの! だからこそ、お子さんの心にぐっと届く言葉で伝えたいですよね。

お子さんへの言葉かけは、できるだけ具体的な言葉を使うのがおすすめです。あいまい言葉から具体的な言葉への言い換え、ぜひ使ってみてくださいね。

△「ていねいに書くんだよ」⇒◎「ゆっくりでいいから、お手本とそっくりな形に書くんだよ」

△「間違えてるよ」⇒◎「最初は1マス空けるんだよ」 

△「上手に書けたね」⇒◎「昨日よりもお手本をよく見て書けたね」 

間違えても責めない

 一生懸命書いていても、間違えることはあります。また、集中しているからこそ、間違えたときのショックは大きいものです。お子さんが間違えたときには責めずに、「そういうときもあるよね」「次の時に気をつけていけばいいよ」というスタンスで見守ってあげましょう。

ママパパからのよくある質問!硬筆QA

「書き初めのときだけ、4Bや6Bの濃い鉛筆を使うのはどうして?」

普段はBや2Bの鉛筆を使っていても、「書初めのときだけ4Bや6Bを準備してください」と学校から連絡があった方も多いですよね。

そもそも鉛筆に書かれているHやBは、鉛筆の芯の硬さや濃さを示しています。“H”はHARDのことで、数字が大きいほど薄く、芯が硬いことを表しています。また、“B”はBLACKのことで、数字が大きいほど濃く、芯が柔らかいことを示しています。つまり、4Bや6Bは、普段使っているBや2Bよりも、芯が柔らかく、濃く書けるということ。12年生のお子さんは手の力が弱い子が多く、筆圧が弱いので、このような濃く書ける鉛筆が推奨されています。さらに、同じ4Bや6Bでもちょっぴりお値段の高い「硬筆用」と書かれた鉛筆は芯がちょっぴり太く、折れにくい加工がされていて、とめ・はね・はらいが表現しやすくなっています

 「消しゴムを使っちゃいけないと先生に言われているらしいのだけど…」

書初めの練習の時、「消しゴムを使ってはいけません」という指導をされることがあります。子どもからすると、「じゃあ間違えた時どうしたらいいの?」「絶対間違えちゃいけない…」と感じる子もいますよね。

国語の書写教科書の中に、「消しゴムを使ってはいけない」というきまりはありません。実際に、間違えたらいつも通り消しゴムで消して直しながら練習する学校もたくさんあります。

では、どうして「消しゴムを使ってはいけない」と言われるのでしょうか。筆者が小学校低学年の担任をしていた際には、「作品展に出品するときに、消しゴムを使った作品は『消し残りが汚い』という理由で選ばれないから。本番の日だけ『今日だけ消しゴムはダメ!』といっても、集中して書いている子どもたちは忘れてしまうことが多い。だから練習の時から使わせないのよ」とベテラン先生に言われました。

 「書き終わると、手の横が真っ黒になります。本人は気にせずそのまま遊ぶので、家のいろいろなものが黒くなってしまいます。何か対策はありますか?

手のひらや小指のはじが鉛筆で真っ黒!これは小学生あるあるですよね。一生懸命書いたという証でもあります。ただ、そのままいろいろなものに触れて汚してしまうのは困りものです。手を洗ったりウェットティッシュで拭いたりすればすぐ落ちますが、いちいち手の汚れを気にする子は少ないかもしれません。特に4Bや6Bの鉛筆は芯が濃いので、いつも以上に手が汚れるでしょう。

そんなときは、手をつく場所に紙をおいて、汚れを防ぎましょう。すべってずれてしまうようなら、付箋でも構いませんよ。

 「書き初め」は子どもの成長を実感する機会になる

小学校低学年では、冬休みの宿題の定番である硬筆。お子さんが練習している様子をそばで見ていると、「もっと上手に書いたらいいのに…」「ちゃんと集中して!」と小言を言いたくなってしまうこともありますよね。
そんなときは、1年前のお子さんの様子を思い出してみましょう。「去年はまだ名前も書けなかったな」「1年前は1枚書くのでいっぱいいっぱいだった…」など、比べてみるとお子さんの成長が感じられるはず!
書き初めが、お子さんの成長を改めて実感する機会になればと思います。

あなたにはこちらもおすすめ

【小1・小2冬休みの宿題】硬筆、ひらがな・九九の復習が必須! 元・小学校教員が解説します
 今年の冬休みは長い! もうすぐ冬休み! 夏休みと比べると1/3程度の期間となります。 通常、2学期の終業式は12月25日ご...

文・構成/yurinako

編集部おすすめ

関連記事