「祝箸(いわいばし)」の意味を知っていますか?
その名の通り、祝箸はお祝いのときに用いられます。お正月は新しい年を迎える大変めでたい日ですから、まさに祝箸を使うのに適していますね。
祝箸の形は両端が細くなっていて、どちらからでも食べられる形になっています。これは、どちらから食べてもいいよ、ということではありません。先祖代々、神様に対する感謝の気持ちを表した形なのです。どういうことかというと、祝箸の片方の細い方は私たち人間が、もう片方は神様が召し上がるために細くなっているのです。神様と私たちが同じ食べ物を共に食するという考え方で「神人共食」といいます。
祝箸を使って食事をすることで、新しい年を無事に迎えられたこと、新年に御馳走をいただける有り難い気持ち、感謝する気持ちを表しているのです。
ぜひ、子どもたちにも祝箸の意味を伝えてみませんか?新しい年のはじまりに感謝の気持ちを持って食事をすることができたら、さらに食に対して成長できるのではないでしょうか。
祝箸はお正月限定のものではない
ちなみに祝箸はお正月だけに限定されたものではありません。結婚式のお食事や、子どものお食い初めをレストランや料亭などで行った方(もしくはこれから予定されている方)などは祝箸を見ることがあるかもしれません。ご自宅でお食い初めをされる方やその他のお祝いするときも祝箸にしてみてはいかがですか?
「祝箸」の特徴を解説!
祝箸をじっくりご覧になったことはありますか?先ほどもお伝えしたように箸の形は両端が同じ細さで真ん中がぷっくりとしているお箸。白くて手触りの良いお箸。そんな特徴がありますね。他にも祝箸には以下のような特徴があるのですよ。
【長さ】
祝箸は長さが24センチ(八寸)と決まっています。これは末広がりの八が縁起の良い数字のため、八寸のお箸を使って縁起を担いでいます。
【素材】
お箸を購入した袋の裏側をご覧になると、多くが〔ミズキ材(通称 本柳)〕と書かれています。祝箸は柳でできています。これは丈夫で折れにくい、という素材の特徴を生かしていることと「家内喜(やなぎ)」という縁起の良い漢字をあてることもできることからも適しています。
【呼び方】
祝箸が広く知られていますが、他にも言い方がいくつかあります。「神人共食」の考え方から「両口箸」、柳からできているので「柳箸」、両側が細く真ん中が膨らんでいるので「俵箸」などあります。同じ箸なのに、様々な呼び名があるのが面白いですね。
使うとき・処分するときに気を付けること
いつまで使う?
祝箸は元旦に使い始めますが、いつまで使うか気になりますね。元旦から松の内(一月七日まで)とも言われます。今は七日までお正月のお料理を食べ続けるご家庭は少ないと思いますが、それでも三が日までは使用されると良いと思いますよ。
やってはいけないこと
祝箸は人が食する方の反対側は神様が使用されるという考えなので、取分けるために箸をクルっと反対にして使用したりしないでください。
使い方
昔から「箸先五分、長くて一寸」という言葉があります。箸先は3、4センチまでを使って食べましょう、という意味の言葉です。厳密に何センチ・・というところを気にするよりも、いつも通り綺麗に箸を使って食べることを意識しましょう。
箸袋を子どもと手作りするのもおすすめ
箸袋を子どもと一緒に作ってみるのはいかがですか?お正月らしい折り紙などで作れば気分も変わりますし、子どもたちも楽しみながら食事の時間を迎えられます。インターネットや折り紙の本に簡単な折り方や、お正月用に少し凝った折り方なども載っていますので是非挑戦してみてください。私が折るのは簡単な折り方ですが、毎年子どもたちと折り紙を選ぶところから楽しんで取り組んでいます。
使い終わったら
使い終わった祝箸はどうされていますか?ごみの区分で言えば燃えるゴミですが、神様と食を共にしたお箸です。出来れば地域の神社などで小正月(1月15日)に行われるどんど焼きにお正月の飾りと一緒に出すのが良いですね。無理な場合はご家庭で処分しましょう。その時には塩で清め白い紙に包んで捨てるという方法もあるようですが、一番大切なことは子どもと一緒に祝箸に「お正月の美味しい食事をありがとうございました。今年一年よろしくお願い致します」という感謝の気持ちを持つことと、心からの‘ありがとうございました’の気持ちで箸を処分することかな、と思います。私は子どもたちが祝箸に「ありがとうございました」と言ってから自分で白い紙に包んで捨てるようにしています。
箸一膳であっても気持ちが込められています
昔からお正月は、人々の願いや感謝、希望が込められた事柄が多くあります。大小関係なくそれは箸一膳であっても同じように気持ちが込められているのです。
そんな昔からの想いを子どもたちに伝えて引き継いでいきたいですね。
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文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子