しじみの塩抜きは〇%の食塩水が正解? 塩抜き後の常温放置で高まるアレは、知らないと損!

「放置することで旨味がUPする」という、ちょっと面白い特性を持つしじみ。どんな食品なのでしょうか。詳しくご紹介します。
また、砂をかまずにすむ上手な塩抜きの方法を覚えて、栄養満点のしじみをいただきましょう。

しじみとは

アサリよりも小ぶりなしじみ。河と海の水が混ざり合う場所や、淡水域に生息するものもいます。

漢字

しじみを漢字で書くと「蜆」です。「虫」を「見る」と書きますが、貝なので「虫」は違和感がありますよね。

二枚貝を数える場合、「枚」で数えますが、しじみのような小粒のものには、「個」「粒」で数えるほうがしっくりくるものです。そういった、小さくて数が多い生き物をまとめて「虫」と捉え、部首とされたようです。ちなみに、ハマグリも「蛤」です。

また、「蜆」の字は「みのむし」とも読みます。生き物としてはまったく別物ですが、水辺や野山で無数に生きる小さきものとして、共通の捉え方がされていたのかもしれません。

オルニチンの効果

成長ホルモンの分泌を促す働きがあるオルニチンが含まれることから、成長期のお子さんには、身長が伸びるよう働きかけます。大人にも、疲労回復、肌のターンオーバーを整えてくれる効果がありますよ。

また、肝機能を高める働きがあることから、二日酔いの解消にもよいとされます。アルコールの解毒、分解には欠かせない栄養素です。

コハク酸の増加

また、強い旨味はコハク酸です。同じ二枚貝のハマグリやアサリなどにも含まれますが、水のない環境に置かれた貝は、体内のグリコーゲンを燃焼させてエネルギーを得ています。この時に旨味成分であるコハク酸を多く生み出すため、私たちにはおいしく感じられるのです。つまり、塩抜き後の数時間、常温に放置するだけで旨味UP、というわけです。

さらに、しじみを冷凍すると、グルタミン酸、アラニンなどが増加します。その中でも特にオルニチンは8倍以上に激増。食感は生よりも落ちてしまいますが、栄養面からみると冷凍で保存することは、いいことづくめです。

効果的な食べ方

白濁したしじみのエキスに、みそを溶いて飲むことにより、適度な塩分と水分を体内に取り込むことになります。温かいスープは胃を温め、内蔵全体の機能を高めます。

いつもより多くアルコールを飲んで帰ってきた日の翌朝や、成長期のお子さんと共に、温かいしじみのおみそ汁を飲んでください。元気が戻ります。

塩抜きは余裕をもって6〜8時間前に

しじみの塩抜きについてポイントを確認します。

容器

できるだけしじみ同士が重ならない、底の広いザルを使用します。このザルを、さらに大きめのバットやボウルと重ねます。

吐いた砂が下にたまるように、大きめのザルと容器で、たっぷりの塩水に浸けるのがコツです。しじみが重なっていたり、水が少なかったりすると、もう一度砂を取り込んでしまうので要注意。

塩水

海で採れるアサリは2~3%の塩水を使いますが、海水と淡水が混じり合った場所で採れるしじみは、これよりも塩分濃度が低くい1~2%が目安です。1リットルの水道水に、小さじ2程度(10gほど)の塩を溶かします。

真水を使用すると、しじみの旨味が急激に減少するので、おすすめしません。浸透圧によってしじみの体内に含まれる塩分が真水に抜けていき、一緒に旨味成分も流れ出てしまいます。

時間

夏で3〜4時間、冬は4〜5時間くらいがちょうどよい塩抜き時間です。長くなるとしじみが弱り、味が落ちてしまいます。

その後、水から引き上げ、さらに3〜6時間程度、空気中で放置することで旨味成分が高まります。

夏場は冷蔵庫に入れてください。

砂抜きの手順を確認

【1】洗ったしじみを、重ならないようにザルなどに並べます。ザルとボウルを重ねます。

【2】1%の塩水(水、1リットルに塩、小さじ2)を作り、【1】のボウルに加えます。

【3】吐き出した水が飛び散らないように、軽くフタをします。暗くする必要はないので、ラップや新聞紙でOKです。

【4】3〜5時間、常温で放置します。夏場は冷蔵庫へ入れてください。

【5】もう一度よく洗い、水を捨てます。ぬれ布巾などをかけ、3時間程度放置します。その後、調理に使用してください。

しじみの冷凍方法

意外にも貝類は冷凍向きの食材ですから、ご紹介しておきます。

冷凍方法

塩抜きが終わったしじみを、フリーザーバッグに入れ、冷凍庫で保存します。

保存期間

1か月程度のうちに食べきってください。

解凍方法

沸騰したお湯や出汁に、冷凍のまま入れ、そのまま調理に活用します。

しじみ料理

しじみのおいしい旨味を味わえる、2種のスープを作ります。

しじみのみそ汁

ごく基本的な、しじみのおみそ汁です。

・材料

(2〜3人分)

しじみ(砂抜きしたもの) 200g
水 500ml
昆布 5cm角 1枚
酒 大さじ1
みそ 大さじ2

・作り方

【1】しじみを流水に当てながら、しっかりと洗います。

【2】鍋に水、しじみ、昆布を入れて火にかけます。昆布の出汁がよく出るよう、ゆっくりと温度を上げます。

【3】温まってきたらアクをすくいとり、沸騰する前に昆布を取り出します。この時、鍋の底に砂がないか、確認してください。もしあれば、しじみを別容器に移し、出汁をこします。

【4】しじみ、出汁の入った鍋にお酒を加え、再び温めます。みそを加え、沸騰直前で火を止めてください。

しじみチャウダー

アサリの代わりにしじみを使って、スープを作ります。ホワイトソースは市販の缶詰を使うと簡単です。

・材料

(4人分)

冷凍しじみ 300g
じゃがいも 1個
カブ 1株
にんじん 1/2本

水 100cc
酒 大さじ1
コンソメ 1個

ホワイトソース 1缶
牛乳 25cc
オリーブオイル 大さじ1
塩 適量

・作り方

【1】じゃがいも、カブの白い部分、にんじんの皮をむき、1.5cm角にカットします。

【2】鍋に水と酒、コンソメを入れ、【1】のじゃがいも、かぶ、にんじんを加えて加熱します。

【3】じゃがいもが柔らかくなったら、ホワイトソースと牛乳を加え、温めます。

【4】冷凍しじみをそのまま加え、フタが開くまで加熱してください。

凍ったまま入れます。

【5】最後に刻んだカブの葉、オリーブオイルを加え、塩で味を整えてください。

しっかりパワーを高めて食べる

しじみは栄養価が高く、旨味成分から独特のおいしさが味わえます。肝臓の働きを高めるので、大人にも、成長期のお子さんにも、食べて欲しい食材です。

塩抜きは簡単ですが、時間はかかります。空気中に放置することでパワーを増しますから、ぜひしっかりと栄養を高めて、お召し上がりください。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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