言語、コミュニケーション力が伸びる2~4歳、親の関わり方が大事に。専門家がコツを伝授

体とともに、心もぐんぐん育っていく2~4歳ごろの子どもたち。身近なおとなが関わり方を少し工夫することで、子ども自身がもつ力をさらに大きく伸ばすことができます。

心や知的能力の発達には経験が大きく影響する

子どもの発達は、身長や体重の増加等に代表される身体的な成長と、社会性や言語などに関する心・知的能力の発達に分けられます。身体的な成長と心・知的能力の発達にはほとんど関連が見られないため、「体が大きいと言葉を話し始めるのも早い」などというわけではありません。

心・知的能力の発達には、生まれもった資質に加え、経験が大きく関わってきます。とくに2~4歳は、「言語」と「コミュニケーション力」が急激に伸びるときです。経験から吸収する力も、一生でいちばん高いと言われています。この時期に適切な関わり方をすることで、子どもの力はどんどん伸びていくのです。

言葉を使ったコミュニケーションには、①要求・拒否と②叙述・コメントの2種類があります。2~4歳の時期に意識したいのは、②叙述・コメントの力を伸ばして人とのやりとりを楽しめるようにすることです。さらに、遊びを通して想像力を育むことも心がけましょう。

発達のペースには、個人差があります。「いつ、どんなことができるようになる子が多いか」といった情報は、おおよその目安に過ぎません。言葉が出る時期が遅めでも、いったん話し始めると一気に言葉があふれ出すこともあります。周りとくらべるのではなく、子ども自身の発達や進歩に目を向けるようにしましょう。

落ち着きがない、かんしゃくを起こすなど、気になる行動が見られる場合も、2~4歳世代なら「叱らない」のが原則。子どもとしっかり向き合い、危険な場合を除いて「よくない行動には注目せず、よい行動はすぐにほめる」のが理想です。気持ちが満たされれば、「おとなの気をひくためのよくない行動」も自然におさまることが多いのです。

①要求・拒否

ほしいものを取ってもらうなど、特定の目的のためのもの。興味は自分が話しかけた「人」ではなく「目的」にある。

②叙述・コメント

人とのやりとりを楽しむためのもの。興味は「人」にあり、相手の反応を引き出し、関係づくりをするために行う。

社会性・言語を伸ばす!関わり方のコツ

リアクションはしっかり!

子どもの言葉には、ていねいに反応を。要求に応えるだけでなく、子どもが「話しかけてよかった、またやっ
てみよう」と思えるようにすることが大切。経験を重ねるほど、子どものコミュニケーション力は高まります。

「要求・拒否」のときも「話す」を楽しい経験に

例「お水ちょうだい」

OK…笑顔で子どもと視線を合わせ、声のトーンも楽しげに。話しかける→いいことがある、という流れをつくります。

NG…目線を合わせず、無表情。要求に応えてもリアクションがよくなければ、コミュニケーションの楽しさを感じることができません。

言葉の「種」をまく

話すことは、言葉のインプットから始まります。日頃からたくさん話しかけることで、子どものボキャブラリーは増えていきます。子どもの話す力に応じて、さまざまな言葉をわかりやすく聞かせていきましょう。

子どもの行動を実況中継

子どもの遊びを近くで見守り、手にとったものの名前を言ったり、行動を描写したりしてみましょう。

「1UP」で話す力を伸ばす

言葉かけは子どもの話す力に応じて行いますが、2語文を話せるならたまに3語文を混ぜるなどステップアップを。

遊びの主導権は1:1が理想

一緒に遊ぶときは子どもを楽しませることを最優先しますが、常に子ども主導ではなく、「~をしよう」などとおとなが提案する場面もつくります。相手に合わせる経験は、子ども同士で対等な関係を築く際の土台になります。

数回に一度はおとなが主導

子どもの様子を見ながらおとなが主導する回数を徐々に増やし、おとな:子ども= 1:1 で主導する関係を目指します。

子どもの要求にはすぐに応えるのが理想

子どもの要求に素早く・すべて応えれば、気持ちが満たされ、ものごとへの執着が弱まります。反対に、がまんをさせ、子どもが怒ったり騒いだりしたらしぶしぶ与える、という対応は逆効果。「相手を困らせれば要求が通る」と感じ、わがままな行動が増える原因になります。

想像力を育てる

想像力は、他人の気持ちを思いやる力につながっていきます。遊びに積極的にとり入れたいのが、ごっこ遊びや見立て遊び。楽しく人と関わりながら想像をふくらませる遊びは、社会性を育てるのに役立ちます。

ごっこ遊びの4ステップ

STEP1

好きなおもちゃなどを使い、相手の動作をまねるなど、「順番」「交替」で何かを行う。

STEP2

さるのぬいぐるみに生きたさるを演じさせるなど、「物」を「生きもの」に見立てて遊ぶ。

STEP3

ブロックをお菓子に見立てるなど、見た目が似ていないものを別の何かに見立てて遊ぶ。

STEP4

遊びの中で「おさるさんが一緒に遊ぼうって。何をする?」などとストーリーづくりを促す。

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教えてくれたのは

桑野恵介先生
株式会社スペクトラムライフ代表。臨床心理士、ESDM認定セラピスト。ESDMに基づき、自閉スペクトラム症などの発達障がいのある子どもの療育などに取り組む。

『めばえ』2023年2月号
イラスト/ウシヤマアユミ デザイン/島 寿・飯坂祐子(ビーワークス) 構成/野口由美子

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

再構成/HugKum編集部

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