自分が子どもの頃はもっと勉強できたのに…「我が子が自分より出来が悪い」と感じていませんか?【教材の専門家が分析】

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タブレット教材を展開する RISU Japan 代表・今木智隆さんが10億件の学習データに基づいて、家庭学習での落とし穴や、効果的な学習術を指南する記事シリーズ。今回は、親が自分の子ども時代と我が子を比べて不満に思ってしまうときの原因と対処法について伺います。

自分は勉強が得意だったと記憶している保護者によくあるのが、「自分の子どもの頃はもっと勉強できたのに、うちの子はどうしてできないの?こんなに教えてあげているのに」という悩みではないでしょうか。

ご自身があまり勉強に苦労されなかったからこそ「どうして分からないのかが分からない」「分からない子どもにイライラしてしまう」「教えることにすごく疲れる」と感じることも多いようです。

自分と子どもを比べてしまうとき、どのように対処すればよいのでしょうか。

うちの子はどうしてできないの? と感じる理由

子どもの勉強を見ていて、同じ年頃の自分がどうだったかを思い出すのは、よくあることです。机に向かう我が子の真剣な目に、自分もそうだったと微笑ましい気持ちになるときもあれば、反対に、幼く頼りない我が子に「自分もこうだったっけ? もう少しできていたような?」と不安になることも。

保護者から見て、何となく我が子よりも昔の自分のほうが「よくできていた」ように感じてしまうのは理由があります。

「過去美化バイアス」のワナ

過去美化バイアスとは、過去の記憶を思い出したときに当時のことを美化してしまう認知バイアスのことです。過去美化バイアスが起きてしまうのは、次のような原因があるためと言われています。

・人間は良い記憶よりも悪い記憶を早く忘れようとするため、過去の記憶は良い記憶が多くなるから
・人間は自分の若さに憧れる傾向があるため、若い頃はよかったと思いがち
・人間は自分の過去の選択を否定されたくないため、過去の選択で生じた結果も良いものだったと捉えて美化しがち

大人になると、大半の人が「あの頃はよかった」という話をした経験が一度はあると思います。もしかしたら、子どもの頃の自分にまつわるエピソードも、少し美化して記憶されているのかもしれません。

実際に保護者のほうが勉強できることも大いにある

ただし、過去美化バイアスを除いて考えたとしても、実際に保護者の子ども時代のほうが勉強できる子だったという場合も大いにあります。残っている成績表などを客観的に見てもそうだという場合もありますよね。

我が子となると思い入れが強く、遺伝子的にも似ているはずとの思いから、自分と子どもを重ねて見てしまうことも多いと思いますが、「親子だから同じ能力を持っているはず」「同じぐらいの成績は取れるはず」という気持ちで子どもに接してしまうと、子どもにとっては「自分が劣っている」「努力が足りないのかも」とプレッシャーを感じてしまいます。

まずは、自分と子どもは親子であっても「別人」であることを前提として接する姿勢が大切です。

勉強を教えるときに気を付けたいことは?

「どうしてできない?」という気持ちで子どもに勉強を教えていると、なかなか理解できない子どもに対してついイライラしたり、教えたあとにどっと疲れたりすることがあります。

親の熱量ばかりが高くなっているとき、教え方が一方的で子どもは戸惑っていることもあります。例えば次のような教え方をしていないでしょうか。

【NG】自分が習った解き方にこだわって教える

昔と今では、問題の解き方が変わっていることもあります。親の世代が習った解き方にこだわって教えると、子どもは「学校で習ったことと違う……」と混乱してしまうことも。

例えば、小学1年生の算数で習う「さくらんぼ計算」をご存じでしょうか。保護者世代では習っていない人のほうが多いと思いますが、現在は多くの小学生が繰り上がりの計算方法として「さくらんぼ計算」を教わっています。

足される数(ここでは左の6)が10になるように、足す数(ここでは右の9)をさくらんぼのように分解して計算していくメソッド
足される数(ここでは左の6)が10になるように、足す数(ここでは右の9)をさくらんぼのように分解して計算していくメソッド

さくらんぼ計算を習う前には、「いくつといくつ」を勉強します。2から10までの数字が、それぞれいくつといくつに分けられるのかを学習するのです。

繰り上がり計算のやり方もこのように違っていたりするので、保護者側が子どもの習う解き方を理解する必要があります。

【NG】「なんで分からないの?」と子どもに尋ねる

子どもが何度説明しても分からないときに、保護者側がついイライラして「なんで分からないの?」と言ってしまうことはありませんか?  なぜ分からないのか、いちばん知りたいのはお子さん本人のはずです。保護者も決して責めるつもりで言っている言葉ではないと思いますが、子どもは「分からない自分がおかしいのだ」と落ち込んでしまいます。

子どもに尋ねるなら「なぜ」ではなく「どこが」分からないのかを尋ねましょう。もし、どこが分からないかも分からないのであれば、その単元は学年を越えて復習をする必要があるかもしれません。教えるばかりでなく、子ども側の言い分を聞いてあげる姿勢を大切にしましょう。

勉強を教えてあげたいけど  ついイライラ! こんなときどうする?

子どもに勉強を教えてあげたいけれど、親が熱心になるほど子どもの態度にイライラしてしまうことがあります。イライラが起きる状況は次の3つが考えられます。

イライラが起きる3つのパターン

●勉強ができないことにイライラ
親が頑張って勉強を教えているのに、いくら教えても分かってくれなくてイライラするパターン。

●勉強しないことにイライラ
勉強ができないことより、勉強をしようとしない態度にイライラするパターン。

●焦らないことにイライラ
受験前など、親は目標の成績に届いていないことに焦っているのに、子どもが危機感を持っていない様子にイライラするパターン。

子どもにイライラする原因は?

ではイライラを感じるのはなぜでしょうか。イライラの原因は次のどれかに当てはまるのではないでしょうか。

●期待値が高すぎる
子どもの能力に対して親の期待値が高すぎる(自分の理想と比べている)

●周りと比べている
学校や塾の周りの子の話を聞いて比較している

●自分と比べている
同じ年齢の頃の自分を思い出して比較している

●以前のその子と比べている
学年が上がるにつれて、〇年生の頃はよくできたのにと比較している

このようにパターン分けして考えてみると、どうして子どもにイライラするのか客観的に分析することができます。

比較しないように意識するのは難しいことではありますが、気持ちを一度クールダウンして、目の前にいるお子さんと同じ目線で向き合ってあげることが大切です。

イライラに対処する方法は?

勉強に対する熱量が、どうしても子より親のほうが高くてイライラするときは、勉強時間だけ子どもと距離を置くというのも1つの方法です。

横で見ているとどうしても口出ししたくなりますし、子どもも親に頼ってしまって、自分の頭で考えずに少し分からないとすぐに聞こうとするなどデメリットもあります。リビングで学習する様子を少し離れたキッチンから見守ったり、子ども部屋で勉強する場合は様子をときどき見に行ったりする程度の距離感を試してみてはいかがでしょうか。

また、親が自分で教えないという方法もあります。インターネットが普及した現在はオンライン家庭教師などのサービスも充実していますし、ノートと問題集という勉強スタイルではどうしても集中できない子は、ゲーム感覚で問題をクリアしながら進められるタブレット学習を利用する方法もあります。お子さんに合った学習スタイルを探してみてください。

子どもの気持ちに寄り添って話を聴いてみましょう

今回は「自分が子どもの頃はもっと勉強できたのに、どうしてうちの子はできないの?」と思ってしまうときに気を付けたいことについてまとめました。子どもを何かと比較した物差しで「できる子・できない子」を測るのではなく、子どもと同じ目線で向き合ってあげること、教えるばかりでなく子どもの言い分を聞いてあげることの大切さをお伝えしました。

また、親の気持ちが熱くなりすぎているときは、少し距離を置いて見守ることで、見えていなかったものが見えることもあるとお伝えしました。お家の方はお子さんにとっていつも一番近くにいる応援者でいてあげてください。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。

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構成/HugKum編集部

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