【サイン本プレゼント】車いすバスケ日本代表・古澤拓也さん「さまざまな選択肢がある中で、子供たちが車いすバスケを選んでくれる方法を考えています」

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車いすバスケットボール選手として活躍中の古澤拓也さん。2021年には東京2020パラリンピックで日本代表として銀メダルをとり、2022年には自身の26年間を綴ったエッセイ『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』を発表。車いすバスケの普及に尽力しています。書籍発売の際にインタビューしてから約半年。HugKumは、書籍発売後の反響や近況について再びたっぷりとお話を伺いました!

後輩を引っ張っていく立場になり、新たなチームの手応えも感じています

自身の半生を描いた書籍を出版し、ますます車いすバスケの普及のために尽力した一年

車いすバスケットボールの日本代表選手として、東京2020パラリンピックに出場して銀メダルをとった古澤拓也さん。先天性疾患(二分脊椎症)とその合併症の影響で、小学6年生のときから車いす生活を余儀なくされた自身の半生を綴ったエッセイ『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』を昨年6月に出版しました。車いすバスケの試合だけでなく、書籍の発売やチームのイベント、講演活動などを通して、車いすバスケの普及に尽力しています。

HugKumは、書籍発売後の反響や、所属するクラブチーム「神奈川VANGUARDS」と再来年のパリパラリンピックに向けて動き出している日本代表のチームビルディングなどの近況について、お話を伺いました。

古澤拓也さん

古澤 拓也/1996年5月8日、神奈川県横浜市生まれ。車いすバスケットボール選手。WOWOW所属。13歳の時に車いすバスケットボールを始め、高校2年でU23日本代表デビュー。2017年のU23世界選手権では、キャプテンとして日本のベスト4進出に貢献、自身もオールスター 5に選出される。日本代表として出場した東京2020パラリンピックで銀メダル獲得。選手としての活動のかたわら、講演会や競技の普及活動にも努め、日本各地を回り、メディア取材を積極的に受けている。好きなものは抹茶、コーヒー。

2024年のパリパラリンピックに向けてチームビルディングの最中

――昨年の6月に書籍を出版されて、約一年が経ちました。その後反響はいかがですか?

古澤拓也さん(以下古澤):最初は、障害のある子供たちに向けて何かメッセージをと思って作った本だったんですが、障害のない子どもたちから大人まで、響くものがあるみたいだということに気づきました。例えば小中学生、高校生の子たちが学校の読書感想文のテーマにしてくれたり、その感想文を送ってきてくれたりして。すごくうれしいなと思っています。

それこそ、下は4歳くらいの女の子からの手紙も届きました。本は読めてはいないと思うんですけど、パラパラと写真を見て興味を持ってくれたのかな。たぶん車いすに乗っているとか乗っていないとかもわかっていないんだけど、楽しんで応援しに来てくれて。

昨年チームメイトの鳥海連志が出版している本と合同でイベントをやったときにも、たくさんの方が来てくださって。ちっちゃなお子さんから僕のおばあちゃんぐらいの世代の人たちまで、幅広いお客さんが来てくれました。

――いい反響を得た実感があるんですね。

古澤:あります。去年だけじゃなくて、今年もキープできたらうれしいです。出版1周年記念のイベントなんかもできたらいいなと思っているんですけどね。重版を目指して頑張りたいです!

古澤拓也さんと著書

――出版したあと、どんな一年を過ごしていましたか?

古澤:車いすバスケットボールの側面で言うと、(2024年の)パリパラリンピックに向けて日本代表強化活動がずっと続いている中で、自分の立ち位置であったり、東京(パラリンピック)とはまた違った新たなチームをどう作っていくかというのを考えながら、悩みながらの一年でした。手応えはありつつ、課題も見つかりましたね。

一方で所属するクラブチームでは目標としていた天皇杯での優勝を果たすことができました。27大会ぶりなんですが、年数で言うと僕の生まれた年以来なんです。確か1996年が最後の優勝だと聞いているので。

チームも新たな選手たちが加わって若くなり、僕はもうベテランというか、後輩を引っ張っていく立場。今までは上がいて自分はわりと自由にやりたいことをやるような感じだったんですが、新たに日本代表を背負っていく若い選手たちと一緒に切磋琢磨できる環境でプレーするというのも、新たなチャレンジでした。

新しく加わった4人は、全員U-⁠23日本代表選手。みんな実力があるし、ここからA代表…今はハイパフォーマンスカテゴリっていうのかな、そこに入っていくという環境を求めて上京してきてくれているので、またチームが強くなると思います。

地方活性化のために自らイベントを企画

©︎神奈川VANGUARDS

――古澤さんは、今チーム内の役割としてはどんなことを?

古澤:僕は今、副キャプテンです。チームの名刺もあるんですよ。スポンサーも自分たちで見つけないといけないので、名刺交換の機会も結構あるんです。今まで選手は名刺を作っていなかったので、もらうだけだったんですが、これからはいい繋がりをどんどん作っていこうということで。多分、日本のクラブチームで名刺まで作っているのはうちだけだと思います。

“革命を起こしていく”っていうのがチームテーマなので、ただ試合をしていくだけではなく、いろいろなイベントを開催して車いすバスケを盛り上げていきたいなって思っています。

僕は地方を活性化したいので、チームを引き連れて、各地を回りたいと思っています。日本のトップレベルのチームの試合を見てもらいたいです。地元チームと試合するとか、僕たちが行って紅白戦を見せるとか、イベントを企画立案して動いているところです。

――将来的にはどのように考えていますか?

僕の将来の目標は選手を育成する側、コーチなので、早めにいろいろな文化と触れ合っていきたいなという思いがあるんです。

「どういう障害を持った子供たちがいるのかな」とか、「そういう子たちがどうやったら車いすバスケを選んでくれるのかな」とか。いろいろな選択肢がある中で、どうしたら車いすバスケを選んでくれるかというのが結構大事かなと思っています。

古澤拓也さん

――地方活性化については、どういう経緯で興味を持ったんですか?

古澤:東京パラリンピックが終わったあと、イベントのために愛媛に行くことがあったんですが、すごくみんな温かくて。愛媛の車いすバスケの選手たちや四国の選手たちと触れ合う機会があったときに、車いすバスケを心から楽しんでる姿を見て、思うところがあったんです。

現状は、若手がどんどん関東に来てしまう。トップレベルのチームにいる僕が言うのもなんなんですが、いろいろなチームの若手が引き抜きされるようなことになってしまっていて。選手の立場からしたら、強くなりたいのでいいと思うんですが、日本が強くなることを考えたときに、やっぱり地方がきちんと成り立っていくことが大事なんじゃないかと。

©︎神奈川VANGUARDS

地方で車いすバスケを始める選手が増えていけば、僕が鳥海と一緒に練習していて、神奈川が今ほど強くなかった頃から他に移動しなかったように、強くなっていく過程を一緒に楽しめる仲間が同時期にそばにいたら、地方でも頑張れるのかなと考えたんです。

それに、僕たちがトップのプレーを見せることによって、地方のチームを支えてくれる企業が出てくるかもしれない。僕たち自身を応援してくれる企業が見つかったら、それはそれでうれしいですし。

いろいろな地方でファンができたらいいなと思います。それこそ東京パラリンピックがそういった機会のひとつだったのかなと。車いすバスケに興味を持ってくれる人が増えたらうれしいですね。それが本を出した意味でもありますから。

――次はパリパラリンピックが注目を集める機会になりそうですね。

古澤:それこそ今年の12月にパリ予選があるので、そこで負けてしまったら出られないんですけどね。枠も半分ぐらいに減ったんですよ。出られる国が東京のときよりも減ったので、すごく厳しい戦いが待っています。今はパリに向けてチームを強化中です。

古澤拓也さん

自分で考えて責任を持ったプレーをすることが若い世代の成長に必要

――クラブチームと日本代表の向き合い方の違いはありますか。

古澤:まず、目標設定がまったく違います。日本代表は間違いなく、2大会連続でメダルを取ることが最大目標です。実力ある選手たちがしっかりと集まっていく必要があります。

今はクラブチームも宮城MAXさんの記録の11連覇を目指しているので、似たようなものではあるんですが、仕事を持ち家庭を持ちながらバスケをしている選手もいるので、求められる範囲を考えつつ、モチベーションのギャップができないようにするのがすごく大事なところですね。

――チームメイトのモチベーションのギャップが生まれないために、何かしていることはありますか?

©︎神奈川VANGUARDS

古澤:例えばシュートかパスか迷ってる選手がいたら、その時に必要なアドバイスをすることはありますが、僕はコーチではないので、指導するのではなく伝えるというか、プレイの意図を聞いてみたり、こういう選択肢もあるんじゃないか、と提案する感じです。

最終的には同じ選手同士で、レギュラーを争わなければならないので、ポジションをわきまえないといけない。それが選手のためだし、自分の力で上がってくることが必要なのかなと思います。

あまり答えがありすぎると成長しづらいというのは僕も経験として感じています。僕はコーチに恵まれて、想像力を優先させてもらえてここまで来ています。

責任を持ったプレーをして成功すれば出られるし、成功しなければ出られない。ある意味当たり前のことなんですが、それが若い世代の成長には重要なのかなって。そうじゃないと、自信を持ってプレーできないと思うんです。

古澤拓也さん

――チームメイトとのコミュニケーションやプレイで気を付けていることは?

古澤:日常のコミュニケーションは、結構多めに取りますけど、バスケットボールの会話は必要最低限だと思います。試合や練習のあとに、プレイについての確認のための会話はします。

結局はどちらかが主導権を持つことも大事。「僕はこういうプレーがしたかったから合わせてほしい」と話して自分が行くとか、そういう意識のすり合わせというか。結局どっちも迷っていたらいいプレーには繋がらないので。

今後、新しく入ってくる若手選手たちとプレーするときに、若手の特徴も出さなきゃいけないし、チームとして勝つにはいろいろと考えてやらないといけないのですが、楽しみなんです。いいチームにできたらなと思っています。

古澤拓也さんサイン

――車いすバスケの魅力って?

古澤車いすバスケは持ち点マイナス1.5で、女子も男子と同じチームで戦うことができるので、女性も挑戦してくれたらうれしいなと思います。なかなか、ゴツゴツした男たちの中に入るのは怖いと思うんですけど。男子は女子チームでは出られないけど、男子の大会には女子が出られるんです。女子もいて、健常者もいて、っていうふうになればいいなと。そういうのが、今の時代に合っていると思います。

――これから車いすバスケを見に行きたい人たちに、どんなふうに楽しむのがいいか教えてください。

古澤:競技面で言うと、やっぱり車いすバスケはパラスポーツの中でトップクラスに速くて競技性の高いスポーツで、障害の有無も男女も関係なく平等にできるスポーツなんですね。普通のバスケットボールと変わりなく見られるんじゃないかと思います。

まずは好きな選手や好きなチームを見つけて、その選手やチームの活動を追いかけてくれたら、きっと車いすバスケにハマるんじゃないのかなと思います。それこそ今はいろんな分野で推し活がありますよね。

僕のチームでもいいし、他のチームでもいいし…「車椅子バスケを見たいから」じゃなくて「好きな選手を見たいから」という理由でも全然いいと思うので、とにかくまずは見に来てほしいです。

――気になったら、まずどこから活動状況を追えばいいでしょうか?

古澤:応援したいチームが決まったら、各チームのインスタグラムを見るのが一番手っ取り早いかもしれないですね。頑張っているところだと大会情報を頻繁に上げてくれます。

古澤拓也さん

車いすバスケだけではなく、趣味のスイーツに関する取材を受けたい!

――試合以外で、今後の古澤さんの活動予定を教えてください。

古澤:講演活動も依頼があればどんどんやるし、車いすバスケットボールの普及活動ももっとやっていきたい。もちろん、本もたくさんの人に読んで頂きたいです。

――2冊目の可能性も…?

古澤:そうですね、続編はパリ(パラリンピック)の結果次第になるんじゃないですかね。

――もともと書くことは好きだったんですか?

古澤:はい。大学でも卒業論文が好きだったので。本当は大学院にも行きたかったくらい、学ぶことは昔からわりと好きなんです。

――将来的にやってみたい仕事や趣味も教えてください。

古澤:スイーツ巡りですね! 僕は抹茶スイーツがめっちゃ好きなんですけど、同じぐらいチョコとキャラメルも好きなんです。日本代表のときに「抹茶マニア」というネーミングだったので、抹茶オンリーみたいに思われているんですが(笑)。

今は、スイーツの取材が来ないかな~って思っています。書くのも好きなので、スイーツコラムがやりたいですね。

ご両親からのエールなどを語っていただいた前回のインタビューはこちら

車いすバスケ日本代表・古澤拓也さん「母と父の『拓也は何でもできるよ』という言葉が可能性を広げてくれた」
親御さんには、子どもの一番の応援団でいてほしい 古澤さんのエッセイには、スポーツや習い事に悩んだり、友達関係に悩む子どもに寄り添うヒントが...

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「東京パラリンピック銀メダルリスト・車いすバスケットボール日本代表の古澤拓也が26年の人生の葛藤と挑戦を綴った初のエッセイ。 第1章から泣けると話題!
「生まれた時から、歩けなくなることはわかっていた。でも、置かれた状況によって自分の人生が決まってしまうわけではない。
いつ、どんなふうに車いすユーザーである自分を受け入れたのか、幼少期から今までの26年の軌跡に触れていただき、何かを感じとってもらえたら・・・・・・そんな思いを込めて綴りました。」

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文・構成/小林 麻美   撮影/黒石あみ

構成/HugKum編集部

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